食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 運動に抗酸化物質?考え直そう

Antioxidants for Exercise? Second Thoughts
by Berkeley Wellness | September 12, 2016
http://www.berkeleywellness.com/supplements/vitamins/article/antioxidants-exercise-second-thoughts
運動が良いことに疑いはない。しかし激しい運動は−特に心血管系にメリットがあるようなものは人体に細胞を傷つけるフリーラジカルを増やす。そのためもう30年以上も多くのアスリートや運動する人たちが一部の専門家(エアロビクスという単語を作ったDr. Kenneth Cooperが有名)の助言に従って高用量抗酸化物質、しばしばビタミンCやE、を使用してきた。理論的にはこれらの化合物はフリーラジカルを消去し運動のパフォーマンスを向上させ疲労を減らし回復を促進するとされた。いくつかの研究では僅かな利益が見つかっていたが全体としては結果はばらばらだった。そして最近の研究では高用量サプリメントは過ぎれば毒であるという警告信号が出されている。
意図せぬ結果
2000年代初期には少数の研究がアスリートの高用量抗酸化物質に疑問を提示していたがあまり注目されなかった。それが2009年にドイツの研究がPNASに発表されてから変わった。この研究は抗酸化サプリメントを摂ると運動のメリットがなくなるというもので多くのニュースの見出しになった。その後いくつかの研究がこれに続き同様の結果を報告し、今や抗酸化サプリメントの負の影響についての根拠が増大している。
理論に疑問
抗酸化物質の運動への影響を一般化するのは難しい。なぜならどんな種類の抗酸化物質をどのくらいの量、どのくらいの長さ使うか、年齢や運動の種類などによる。もし抗酸化錠剤が運動に無害だったとしてもそれを使うことへの疑問はたくさんある。
・運動によってどのくらいの酸化的傷害がおこりそれが良かれ悪しかれどういう影響をもつのかわからない
・人体は時間とともに運動に適応する
フリーラジカルには良い効果もある−一部は免疫に関与し細胞間のコミュニケーションに使われる
・特定の抗酸化物質のみを過剰に使うのは特に望ましくない可能性がある、なぜならこれらは共同作業をしているので
・アスリートがフリーラジカルのせいで長期の健康への悪影響があることを示した研究はない。むしろ運動は健康に良いことが明確である
基本:Goldilocks効果
我々はアスリートだろうとカウチポテトだろうと誰に対しても抗酸化サプリメントは薦めない。運動の時にできるフリーラジカルが有害かどうかもわからない。わかっているのは運動がメリットがあるということである。抗酸化物質は食事から摂ろう。「Goldilocks効果」−少なすぎず、多すぎず、ちょうどいいところを。

抗酸化物質とフリーラジカル
抗酸化物質は生化学の複雑な世界の一部である。細胞の中では酸素が常に化学反応して電子が移行している。エネルギーを得るために、我々の細胞は糖、脂肪酸アミノ酸から電子を奪いそれを他の分子、特に酸素に与える。このプロセスは酸化と呼ばれフリーラジカルと呼ばれる反応性の高い分子を作る。フリーラジカルにはいろいろな種類があり反応は異なる。いろいろな種類のフリーラジカルを不活性化するのに多様な抗酸化物質がはたらく。フリーラジカルが抗酸化系より圧倒的に多いと酸化的傷害が生じ、多くの疾患に関与するとされている。しかしフリーラジカルは役にたつ場合もありそのために作られてもいる。白血球などの免疫細胞は敵と戦うためにそれを作る。またプロスタグランジンのような有用な化合物を作るのに役立つ。

  • 専門家に聞こう 1日のオメガ3推奨量は存在する?

Is There a Daily Omega-3 Recommendation?
by Berkeley Wellness | September 12, 2016
http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/nutrition/article/there-daily-omega-3-recommendation
Q:魚に含まれる主要オメガ3脂肪酸であるEPADHAに1日推奨摂取量はある?
A:米国には公式のRDAやDVはない。EPADHAは「必須」栄養素ではなく、人体は少量ではあるがアルファリノレン酸から作れる。
しかし世界中の保健当局はEPA/DHAについての助言を発表していて、その中身は健康や病気予防にどのくらいの量が必要なのかについての不確実性を反映して多様である。例えば欧州のいくつかの国では1日250mgのEPA/DHAを平均で健康な成人に勧めているがオーストラリアとニュージーランドは160mgでフランスは500mgでロシアは1300mgである。2016年4月には米国の商業団体GOEDが1日500mgを薦めている。
これらの数字を大局的に見ると、4オンス(113g)のサーモンを一回食べると1200から2400mgのEPA/DHAが摂れる。ニジマスなら1200-1400、缶詰サーディン1200-1600、ツナ缶300-1000。米国心臓協会が薦めているように週に2回魚を食べれば簡単に1日250mgを達成できる(何を選ぶかと量による)
我々の助言は、オメガ3の科学は流動的であるが、あなたがシーフードが好きなら週に2回以上油の多い魚を食べるのは合理的だろう。汚染物質暴露を制限するためには多様な魚を選ぼう。
魚の代わりに魚油カプセルは?サプリメントについての質の高い臨床試験ではほとんどが残念な結果になっている。多分魚のメリットはオメガ3以外の成分によるのだろう−だから我々はまず魚を薦める。

  • 幹細胞クリニックは連邦規制機関から新たに精査される

Stem-cell clinics face new scrutiny from federal regulators
By Laurie McGinley September 12
https://www.washingtonpost.com/national/health-science/for-stem-cell-clinics-new-scrutiny-from-federal-regulators/2016/09/12/7b101896-7540-11e6-b786-19d0cb1ed06c_story.html
Mark Bermanの美容外科特別室の角には「タイムマシン」と書かれた箱がある。これが彼の幹細胞手術の核心である。ミニ脂肪吸引で患者の組織を抽出し、タイムマシンに入れる。遠心で脂肪と幹細胞を分離しその細胞はあらゆる健康問題を解決するとして患者に戻される。Bermanは米国で最大のFDAが認めていない商用幹細胞クリニックネットワークの共同創業者である。
月曜日にFDAは幹細胞治療に関するFDAの見解を明確にするガイドライン案の2日間の公聴会を開始した。そのガイドラインでは多くの幹細胞クリニックの事業ができなくなるだろう。
Bermanの治療は$8,900で彼は患者に治療に効果があると主張したことはないという。
(長い記事)

  • 「実験的」水中出産は臨床試験としてのみ安全、とトップ医師が言う

'Experimental' water births safe for clinical trials only, says top medic
By Jamie Beatson  Mon, Sep 12, 2016
http://www.express.co.uk/news/uk/709943/Experimental-water-births-safe-clinical-trials-on
水中出産用プールで生まれてすぐ赤ちゃんが死亡した件についての審問で、水中出産は「実験的手法」であり「臨床試験の文脈でのみ」行われるべきである。
2012年9月30日にMontrose Royal Infirmaryの地域助産師ユニットで生まれたNevaeh Stewartは三時間半後に死亡した。Forfar州裁判所での致死的事故審問において鑑定人のPeter Fowlie医師は、医師会には緊急時にコミュニティ助産師ユニットに医師の特別班を確実に派遣するようなリソースはない、と語った。NHS Taysideの新生児搬送地域主任でコンサルタント小児科医は審問に専門医が早期に介入すればNevaehの命は助かったかもしれないと語った。
(以下略)

  • New Brunswick大麻について「間違ったアプローチ」をしている、と医師が言う

New Brunswick taking 'wrong approach' on marijuana, says doctor
Sep 12, 2016
http://www.cbc.ca/news/canada/new-brunswick/marijuana-economic-growth-reaction-1.3758965
カナダ精神衛生協会Jurgen Rehm医師が薬物のコストを思い出す必要があると言う
New BrunswickのGallant政権は大麻で経済成長をしようと間違った方向に行っている、とカナダ精神衛生協会長が言う。先週発表された経済計画には合法化された大麻と医療用大麻が大きな割合を占めている。向精神薬は全て公衆衛生上の費用がかかる。売り上げだけを考えるのは間違っている。

  • 美観用農薬禁止はまだ議論

Cosmetic pesticide ban still controversial
By Jim Bender, September 12,
http://www.winnipegsun.com/2016/09/12/pesticide-ban-still-controversial
美観用農薬禁止条例がなかなか実施されないことに活動団体がいらいらしている
(芝生の除草剤は必須ではないとして禁止することになっている)

Teen wants free HPV vaccine for all boys in B.C.
September 12, 2016
http://vancouversun.com/news/local-news/hpv-vaccine-for-boys
女の子だけ予防接種無料なんておかしいという男の子の主張を紹介した記事
(日本のメディアだけヘンなのがよくわかる)

  • 一部の議員はフッ素の議論をしたくない

Some councillors have no appetite for fluoride debate
September 12, 2016  By Annalise Klingbeil ,
http://www.calgarysun.com/2016/09/12/some-councillors-have-no-appetite-for-fluoride-debate
カルガリーの議会でフッ素が再び話題になったが全員が議論をしたいわけではない。2011年にフッ素添加をやめてからカルガリーエドモントンの子どもの虫歯を比較したところカルガリーの子どもの虫歯が増えているという研究が2月に発表された。1957年にフッ素の添加を決め、それから何十年も議論して2011年にフッ素を排除する決定をした議会には、もうフッ素の議論はしたくないという議員もいる。フッ素を巡る議論に議会がハイジャックされて虫歯の増加が問題ではないと思われていることがより大きな問題と指摘する議員もいる