食品安全情報blog過去記事

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Turmeric Comes on Strong
by Berkeley Wellness | October 04, 2016
http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/nutrition/article/turmeric-comes-strong
野菜や果物の鮮やかな色は一般的には栄養豊富で健康的であることを示す。スパイスの強い特徴的な香りも通常は有用な化合物の兆候である。だから伝統薬としてインドや中国で各種病気の治療にスパイスが使われたのは驚くべきことではない。
近年よく調べられているスパイスのひとつがターメリックである。インド原差Curcuma longaの根を乾燥して粉にしたものである。カレー粉の主成分として、食品に香りと色をつける。
科学者はターメリックに含まれる化合物を300以上同定しているが最も注目されているのがポリフェノールの一種であるクルクミンである。(クミンと間違えないように)
動物実験や実験室での研究で、他の多くの植物由来物質同様、クルクミンの良い作用になる可能性のある性質、抗炎症、抗酸化、抗菌、神経保護、免疫調節、抗がんなど、が示されている。ターメリックに含まれる他の化合物、特に各種クルクミノイド(クルクミン類似物)にも同様にこれらの性質がある。クルクミンについてのヒトでの臨床研究も多く行われてきた、あるいは実施中である。あらゆる病気の治療や予防を目的にして−関節炎や大腸炎などの炎症性疾患、がん、心血管系疾患、認知症、鬱、糖尿病、消化不良、運動後の筋肉の痛み、肥満、皮膚病、潰瘍など。提唱されているメリットと無数のマーケティング(Dr. Ozによるもの含む)により、クルクミンとターメリックはベストセラーサプリメントになっている。サプリメントの宣伝業者はさらに積極的に研究にから遥かに遠い宣伝文句を使う。例えば最近のプレスリリースの見出しはターメリックは「自然が人類に与えた最大の贈り物」である。
ほんの少しのクルクミン研究
小規模短期間で対照群がなく一貫しないことに注意。またクルクミンはほとんど吸収されないことが最大の問題。
・糖尿病
・心血管系疾患
・関節炎
・認知機能
潰瘍性大腸炎
(いくつかの研究紹介。2日酔いとか肝臓関係は注目されていないことに注目)
クルクミンとターメリックの安全性は?
クルクミンは少なくとも短期間使用では高用量であっても一般的に安全である。それでも下痢や腹痛や不快感、発赤、頭痛、黄色便、吐き気が報告されている。長期の安全性はわからない。ある種の濃い色の葉物野菜同様、ターメリックにはシュウ酸が多く含まれ、鉄やその他のミネラルの吸収を阻害する可能性がある。クルクミン抽出物にはシュウ酸は含まれないだろう。シュウ酸カルシウムの腎結石のある人はシュウ酸摂取を制限する必要があるのでターメリックを大量に食べるのは避けるべきだろう。
話がうますぎる?
テキサス大学MD Andersonがんセンターの研究者らが2013年にAAPS Journalにクルクミンのレビューを発表している。彼らは「終了した臨床試験の知見からはクルクミンの臨床上の有効性はあまりにも都合が良すぎる。しかしながらあまり吸収されず限定的な有害事象が報告されていることがクルクミンの治療上の利用価値の主要な限界である」と書いている。
基本:科学者が研究を続けるのは良い。いつかアスピリンのようなものになるかもしれない。現時点ではクルクミンの研究は期待できるとしてもまだ予備的なものである。我々は吸収率や適切な用量や安全性など多くのわからないことがあるサプリメントは薦めない。ある種のブランドの「生物学的利用度強化」という宣伝文句は疑うべき。臨床上の利益は質の高い臨床試験でのみ確認できる。もしあなたが味が好きならクルクミンはスパイスとしてのターメリックから摂ることを薦める。脂肪の多い食品と一緒だとクルクミンの吸収が増える。
(吸収されないから害が無くて済んでるのに吸収されたら健康被害が出やすくなるでしょうに)

  • 栄養研究の信頼性に疑問

Reliability of Nutrition Research Questioned
By Ruth Kava — October 4, 2016
http://www.acsh.org/news/2016/10/04/reliability-nutrition-research-questioned-10249
栄養の専門家として、私は長い間栄養研究を評価してきた。主流でない人たちによるダイエット法や流行ダイエットのインチキな主張については言うまでもないが、以下の記事で指摘されているように、栄養について我々が考えていることの多くは間違っているかもしれないことについては認めざるを得ない。
誤解しないで欲しいが、確立された栄養情報のことではない−ビタミンCが壊血病の予防や治療に効果があるとかビタミンDが子どものくる病に同様に効果があるということは間違いない。そうではなくて過去20年ほどの各種の食品や食事法と何らかの病気の関連を主張する研究のことである。この分野は無数のインチキ健康強調表示と非主流派の医者を生みだしてきた。
(以下の記事の紹介)

あなたは栄養について読んだことを信用できない
You Can’t Trust What You Read About Nutrition
By Christie Aschwanden
Published Jan 6, 2016
http://fivethirtyeight.com/features/you-cant-trust-what-you-read-about-nutrition/
我々はキャベツとへその関連を発見した、しかしそれは現実であることを意味しない
米国食事ガイドライン助言委員会が最新ガイドラインを発表し野菜や果物、全粒穀物低脂肪乳製品とシーフードと豆とナッツを多く赤肉や加工肉、精製穀物、砂糖入り飲料を減らすように薦める。心臓専門医はオリーブ油の多い地中海食を薦め糖尿病学会は低脂肪食と低炭水化物食の両方を推し別の団体は菜食主義を薦める。一部の人は原始人ダイエットを宣伝し私の同僚のWalt Hickeyはケトダイエットを薦める。誰が正しいのか言うのは難しい。栄養に関しては誰もが言いたいことがある。
以下食事頻度調査について
あまり正確ではないだけでなく膨大なデータを生みだし無数の何かと何かが関連があるという偽陽性を導き出す
かなり長いけれどしっかりした報告

  • PepsiCoがNakedジュースの健康上のメリットを誇張したと訴えられる

PepsiCo sued for exaggerating health benefits of Naked Juice
Published October 04, 2016
http://www.foxnews.com/health/2016/10/04/pepsico-sued-for-exaggerating-health-benefits-naked-juice.html
火曜日にCSPIがPepsiCoを訴えた。「砂糖無添加」という表示がこの製品は砂糖が少ないのだと思わせるが実際には加えていなくてもペプシコーラより砂糖が多い。
またケールやキュウリを表示したジュースは実際にはほとんどがオレンジやリンゴのジュースなのに消費者には緑の野菜を多く含むような印象を与える。
CSPI
PepsiCo’s Naked Juices Mislead Consumers, Says Lawsuit
October 4, 2016
https://cspinet.org/news/pepsico%E2%80%99s-naked-juices-mislead-consumers-says-lawsuit-20161004
(これ日本でも同じようなものある。)

  • 3D TV眼鏡のバッテリーを飲み込んで幼児死亡

BBC
Toddler died after swallowing battery from 3D TV glasses
http://www.bbc.com/news/uk-england-hampshire-37554515
3D TV眼鏡ボタン電池を飲み込んだ2才の幼児が一週間後(5月23日)に死亡
電池が見つかったのは死後解剖で。
最初は食中毒だと思って医者に行ったところ経過観察だけを支持された。数日経っても眠れず口が痛いと言うので歯医者に連れて行ったら歯が生える痛みだと言われた。少し安心して帰宅し、おむつを替えようとしたら真っ黒だったのでタクシーで病院に連れて行った。しかし病院に着いて間もなく急性胃出血で死亡した。
親はボタン電池が無くなっていることに気がついていなかった

Pharmacists defend selling vitamins and supplements
October 5, 2016
http://www.theaustralian.com.au/national-affairs/health/pharmacists-defend-selling-vitamins-and-supplements/news-story/eeb7bed0d2b569ace158f6cfef9acde8
厳密に調べられて規制されている医薬品と一緒にビタミンやサプリメントを販売するのは利益相版であるという批判に対して薬局組合Pharmacy Guildが、消費者が自然療法求めるので薬局はそれを提供するべきだと反論した。薬局はそのような製品を売る権利がある、と根拠のない代替療法を薬剤師が販売すべきではないと主張するオーストラリア医師会に反対する。
The Australianが7月に連邦政府の薬局報酬規制レビューが、薬剤師の専門家としての責任が店主としての役割によって毀損されていることに懸念をもっていることを暴露した。薬局所有者の圧力団体である薬局組合は補完医薬品の有効性についての疑いはTGAが対処すべきと主張する。
(日本にもあるけど、インチキ健康食品を薬と並べて、勧めすらする薬局。)