食品安全情報blog過去記事

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論文

  • BMJ症例報告:肝炎とエネルギードリンク;ミツバチに刺される;アヘンと鉛中毒

BMJ Case Reports: Hepatitis & energy drinks; bee stings; opium & lead poisoning
1-Nov-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-11/b-bcr102816.php
・エネルギードリンクの飲み過ぎで急性肝炎になった男性
毎日4-5本のエネルギードリンクを3週間飲んで急性肝炎で救急に来た50才男性。エネルギードリンクを飲み始めて不快、食欲不振、腹痛悪化、吐き気、嘔吐があったがインフルエンザだと思っていた。暗色尿と黄疸でびっくりした。彼は建設業労働者でエネルギードリンクはきつい労働に役立つと思って飲んでいた。医師はナイアシンの過剰摂取が原因だろうと考えている
・何回もミツバチに刺されることによる心臓への持続する影響に警告
ミツバチの群れに襲われて数週間後に重大な心臓への影響が出たインドの55才の男性。50回以上刺されて入院し抗炎症薬を投与されて良くなって退院したが3週間後心停止で死にそうになりペースメーカーを入れた。遅延型アレルギー反応によるKounis症候群疑い
・アヘン喫煙による鉛中毒
46才のイランから来た人が汚染アヘンの吸飲で鉛中毒。イランではこの手の中毒は良く報告されていて、ヘロインや大麻にも汚染がある。鉛はアヘンの重量を増やすために添加あるいは加工時に入り、相当な量が含まれている。

  • 紛らわしい食品表示が食物アレルギーのある消費者をリスクに晒す

Confusing food labels place consumers with food allergy at risk
1-Nov-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-11/arh-cfl102816.php
食物アレルギーのある消費者は「含むかもしれない」あるいは「同じ装置を使って製造」というアレルゲン表示をしばしば誤解している。最大40%がこのような予防的アレルギー表示のある食品を購入している。Journal of Allergy and Clinical Immunologyに発表された研究。

Simple food additive slows E. coli poisoning
1-Nov-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-11/msu-sfa110116.php
安全な食品添加物ポリソルベートが大腸菌中毒の有害影響を遅くできることがBiofoulingに発表された。大腸菌バイオフィルムを攻撃する。

  • WHO紀要

Bulletin of the World Health Organization
Volume 94, Number 11, November 2016, 785-860
http://www.who.int/bulletin/volumes/94/11/en/
核災害後の公衆衛生:放射線リスクを超えて
Public health after a nuclear disaster: beyond radiation risks
Claire Leppold, Tetsuya Tanimoto & Masaharu Tsubokura
http://dx.doi.org/10.2471/BLT.15.168187
(筆頭著者のClaire Leppoldは南相馬市立総合病院 研究者)
日本の三重の災害から5年、災害後の福島県の健康についての簡単な概要を伝える
災害後放射線のリスクが注目されたが放射線による死亡や急性健康影響は報告されていない。2015年に発表された甲状腺がんの報告は科学コミュニティから批判されたが一般の人々全てには届かず、医療の専門家すら混乱している。放射線に関する議論が放射線以外の被害への無視につながっている。事故後の強制的避難と福島への社会的スティグマが健康に大きな影響を与えた。1986年のチェルノブイリ事故でも最も深刻な健康被害は精神衛生上の負担だった。福島も同じである。内部被曝がほとんどないのに比べて非伝染性疾患や精神衛生上の負担はあまりにも大きい。特に高齢者で顕著である。放射線暴露を減らすための避難と生活環境の変化は包括的リスク評価無しには正当化できない。福島から学ぶことはまだ多い。
(この人
福島と、「知る」という技術
http://www.huffingtonpost.jp/claire-leppold/fukushima-and-the-art-of-knowing_b_10538826.html
結局チェルノブイリの教訓は福島で生かせていない。ただこういう人が来て発信していることはとても素晴らしい。旧ソ連と違って情報は開示されている。)