食品安全情報blog過去記事

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Twofold Bay地域藻類毒素警告−更新

NSW食品局
Twofold Bay area algal toxin alert – update
21 November 2016
http://www.foodauthority.nsw.gov.au/news/newsandmedia/departmental/2016-11-18-twofold-bay-area-algal-toxin-update
NSW食品局はTwofold Bayの貝中毒の危険があるとして、この地域の貝を食べないよう、引き続き警告している。

[CFIA]2013-2014 缶詰食品のビスフェノールA
2013-2014 Bisphenol A in Canned Foods
2016-11-08
http://www.inspection.gc.ca/food/chemical-residues-microbiology/food-safety-testing-reports/2016-11-10/bisphenol-a-in-canned-foods/eng/1478624666677/1478624721121
要約
カナダ食品検査庁(CFIA)は最も高いリスクの分野のサーベイランス活動に重点的に取り組むため特定の物質に的を絞った調査を行う。これらの調査から得られた情報の活用により、より大きな懸念のある分野に対して検査庁の活動の優先順位をおき、そして、懸念の少ない分野へは科学的根拠を提供することができる。もともと、食品安全行動計画(FSAP)のもとに始まったが、この的を絞った調査はCFIAの定期的なサーベイランス活動に組み込まれてきた。この調査は、食品中の特定のハザードに関する必須情報を作成し、新しく出現するハザードを特定し、特性を明らかにし、傾向の分析を報告し、ヒト健康リスク評価を促して改善し、カナダの法律遵守を評価し、潜在的な汚染問題を明らかにし、そして、コンプライアンス遵守を促す、価値あるツールである。
このビスフェノールAに的を絞った調査の主な目的は以下である。
・カナダの販売店で手に入る野菜、果物、ジュース、ソフトドリンク、エネルギードリンク、スポーツドリンク、乳児用調製粉乳、パスタ、スープ、パイの中身、ココナッツミルク、およびカレーソース、カレー製品の缶詰のビスフェノールABPA)の有無と量の基礎データを作成すること。
・可能であれば、ほかのカナダのデータや国際的データとこの調査で見つかったBPAの有無や量を比較すること。
ビスフェノールABPA)はポリカーボネートやエポキシ樹脂の製品に使われる化学物質である。食品や飲料の包装工程時、特に金属缶を使用するとき、食品が直接金属と触れることを防ぐため、エポキシ樹脂で内部表面を覆うことがある。BPAは特に高温で(例:缶詰食品の高温充填、熱加工)、エポキシ樹脂の被膜から移行する可能性がある。シロップ、ソース(例トマトソース)及び食塩水を含む食品でBPA濃度が高い。
カナダ保健省の食品担当(Food Directorate)は、食品包装によるBPAの現在の食事暴露は、一般市民、新生児や幼児を含め、健康リスクとはならないと、結論した。この結論は、カナダの主要な貿易相手国を含め、ほかの国際的な食品規制機関によって再確認されている。結果、食品包装材料へのBPAの使用はカナダでは禁止されていない。カナダ保健省は、特に子供や新生児が喫食する製品の場合、食品包装からのBPA暴露を制限するために、ALARA(合理的に達成できる限り低く)の原則が、食品包装業者や食品加工業者によって適用されるべきだと勧告している。これに関して、カナダ保健省の食品担当は、カナダで販売されている缶詰の乳幼児調製粉乳には通常BPAは検出されないことを確認し、2014年の12月(当該調査で分析された検体採取の後)に、カナダ保健省は乳幼児調製粉乳の大手製造者は液体の乳幼児ミルクへのBPAを含む包装の使用は段階的に廃止されたことを確認した。
2013-2014年のBPAに的を絞った調査において、総計391の国内製品、輸入品の検体が集められ、分析された。検体の内訳は、93のパスタ、スープ、70の野菜、55の乳児用調製乳、54のジュース、飲料、43のそのまま摂取する形態のエネルギードリンク、スポーツドリンク、ソフトドリンク、38の果物製品、20のパイの中身、13のココナッツミルク、そして、5のカレー製品である。エポキシ樹脂コーティングされている可能性の高い缶詰製品のみ検査された。この調査検体の35.5%にビスフェノールAは検出されなかった。すべての検体の検出量は、0.001ppm(南国フルーツサラダの検体)から0.565ppm(とうもろこしの検体)という範囲であった。
このFSAPの調査は、以前の当機関の調査や国際研究、NCRMP(全国残留化学物質モニタリングプログラム)データと比較しても、検体の商品中BPA検出率は、同様であった。全体として、この的を絞った調査の結果は、以前のFSAPの調査、カナダの研究、国際的なデータと同様だった。
カナダで販売されている食品中のBPAに対して、カナダの規制や最大量(許容値や基準)はないので、数値の基準に対するコンプライアンスは評価できない。カナダ保健省の化学安全局は、この調査においてヒトへの健康懸念をもたらすようなBPAを検出した検体はなく、当然製品の回収措置も行わないと判断した。
CFIAは、サーベイランス活動を続け、市民や関係者に引き続き報告していく予定である。