食品安全情報blog過去記事

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2013-2015 ベーキングパウダー、ベーキングミックス、焼き菓子類、及びパン類に含まれるアルミニウム

2013-2015 Aluminum in Baking Powders, Baking Mixes, Baked Goods, and Breads
2016-11-08
http://www.inspection.gc.ca/food/chemical-residues-microbiology/food-safety-testing-reports/2016-11-10/aluminum-in-baking-powders-baking-mixes-baked-good/eng/1478624024123/1478624064460
要約
特定の物質に的を絞った調査は、カナダ食品検査庁(CFIA)の活動をより大きな懸念のある分野に対して優先順位をおき、懸念の少ない分野に科学的根拠で対応することを支援する。もともと、食品安全行動計画(FSAP)のもとに始まったが、この的を絞った調査はCFIAの定期的なサーベイランス活動に、食品中のある種のハザードに関する必須情報を作成し、新しく出現するハザードを特定し、特性を明らかにし、傾向の分析を報告し、ヒトへの健康リスク評価を促し、改善し、カナダの法律遵守を評価し、潜在的な汚染問題を明らかにし、コンプライアンス遵守を促す価値あるツールとして組み込まれてきた。
この特定の物質に的を絞った調査の主な目的は以下のようである。
・カナダの販売店舗で購入できる国内および輸入の焼き菓子類、ベーキングミックス、ベーキングパウダーおよびパン類に含まれるアルミニウムの量に関するベースラインサーベイランスデータを作成すること
・この調査において、実現可能な場合には、対象となった食品に含まれるアルミニウムの分布や量とカナダ保健省のトータルダイエットスタディや科学文献におけるそれを比較する。
アルミニウムは環境中に自然に存在し、地殻に存在する最も豊富な金属元素である。ヒトに対するアルミニウムの暴露の主なルートは、アルミニウムを含む食品添加物の使用によるものである。例えば、硫酸ナトリウムアルミニウムや硫酸アルミニウムカリウムは、ベーキングパウダーのpH調整剤として、また、小麦粉製造の漂白剤として使われる過酸化ベンゾイルの担体として、使用が認められている。他のアルミニウム化合物は、乳化剤、安定剤、凝固防止剤、および着色剤として使われることがある。ベーキングパウダーや小麦粉および全粒小麦粉に含まれるアルミニウムやアルミニウム含有の食品添加物に対してのカナダ保健省の認可食品添加物リストの中に、使用条件は述べられてはいるが、現在、この調査で対象となっている商品のアルミニウムのカナダの法的規制値はない。
2013-2015CFIAアルミニウム調査は国内製品、輸入品のベーキングパウダー、ベーキングミックス、焼き菓子類、パン類を対象とした。940の検体が2013年5月から2015年3月にカナダの6都市で販売店から採取された。採取された検体の内訳は、386のベーキングミックス、256のパン類、203の焼き菓子類、及び95のベーキングパウダーである。検体は店舗から採取されたもので、加工や保管の過程の条件(例:温度や期間)に関しては、すぐわかる情報はない。商品のタイプによって、それぞれの商品ごとのアルミニウムの量の違いの原因を断定することはできない。
アルミニウムは調査した検体のうち、99%で検出された。934の陽性検体は0.190ppmから34943ppmの範囲のアルミニウムの量だった。この調査に含まれるすべての食品は、カナダ保健省の認可食品添加物リストに従い、ある種のアルミニウム含有食品添加物を含むことが認められている。加えて、アルミニウムは環境中に自然に存在し、食物に少量存在すると予想される。分析の方法は、総アルミニウム量を報告しているが、アルミニウムの由来を決定することはできない。
アルミニウムの存在とその量は、科学文献やカナダ保健省のトータルダイエットスタディの報告書と同程度だった。アルミニウムの量はすべて、カナダ保健省の化学安全局(BCS)によって評価された。BCSはこの調査で検出された量は、ヒト健康懸念となる可能性はない、と結論付けた。ヒトの健康懸念がないので、商品の回収措置は当然ない。