食品安全情報blog過去記事

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症状の間違った解釈とシンプルな診断法がないため、真の食物アレルギー有病率はわからない:新しい報告書が食物アレルギー安全性の公衆衛生上の懸念に対応するためのステップの概要を示す

True Prevalence of Food Allergies Unknown Due to Misinterpretation of Symptoms and Lack of Simple Diagnostic Tests; New Report Outlines Steps to Address Public Health Concerns of Food Allergy Safety
Nov. 30, 2016
http://www8.nationalacademies.org/onpinews/newsitem.aspx?RecordID=23658&_ga=1.208468498.147430040.1465349714
一般の人や医療の専門家の間に食物アレルギーが増加しているという認識は広くあるものの、真の有病率を決めるための十分な研究はなく、ほとんどの研究は過剰推定である可能性が高い。さらに一般でも医療従事者でも食物アレルギーとその症状に誤解があり最良の予防や管理方法を知らない。

  • 食物アレルギーの安全性への道を探す:世界的負担、原因、予防、管理、公共政策の評価

Finding a Path to Safety in Food Allergy: Assessment of the Global Burden, Causes, Prevention, Management, and Public Policy
Released:November 30, 2016
http://nationalacademies.org/hmd/reports/2016/finding-a-path-to-safety-in-food-allergy.aspx
食物アレルギーは特定の食品の暴露により繰り返しおこる特定の免疫応答による有害健康影響で、いろいろな面で人々の生命に影響し、日常生活に影響ししばしば社会的交流を妨げ重大な健康影響をひきおこすことがある。この複雑な疾患については多くのことがわかっているが、多くの基本的疑問は残っていて公衆衛生当局による助言は限定的、あるいは乏しくあるいは研究結果と一致しない。NASは専門家委員会を招集して科学的根拠を評価した。
報告書のハイライト
Finding a Path to Safety in Food Allergy
http://nationalacademies.org/hmd/~/media/Files/Report%20Files/2016/Food-Allergy-report-highlights.pdf
http://nationalacademies.org/hmd/~/media/Files/Report%20Files/2016/Slideset-highlights-food-allergy.pdf
・正確な有病率の推定が必要
・根拠に基づいた診断と予防アプローチ
・教育と訓練
危険な可能性のある誤解が医師や患者や一般の人たちの間に残っている
・重症反応を予防するための政策と実践

(国別の食物アレルギー有病率の比較があるのだが(日本は入ってない)オーストラリア多い
キネシオロジーやIgG検査のような根拠のない検査による診断はしないこと、生後4ヶ月以降アレルゲンとなる食品を食べさせることなどを薦める。間違ったアレルギー予防法としては妊娠中や授乳中の女性にアレルゲンとなる食品を食べないように薦める、乳児に長期間アレルゲンとなる食品を食べさせない、経膣分娩、母乳で育てる、タンパク質を分解したミルク、特定の栄養素サプリメントなどを例示している。
食品業界全体には食品安全の基本としてアレルギーについての訓練が必要で、表示は定量的リスク評価に基づくべき。
日本の場合、助産師業界はこのへんの新しい知識についてはダメだと思う。そもそもWHOの母乳推進からしてアレルギー対策と矛盾する部分がある。先進国においては、母乳のあるかないかのメリットより圧倒的にアレルギー管理のほうが重要。母乳を薦めつつ離乳食の適切な導入をすればいいだけなんだけど。)