食品安全情報blog過去記事

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論文

Screening to blame for thyroid cancer 'epidemic' in South Korea
30-Nov-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-11/b-stb112816.php
BMJ。現在の韓国での甲状腺がんの異常発生は小さな腫瘍を検出することが増えたためで、検診による過剰検出のせいである可能性が高い。不必要な一般人への甲状腺がん超音波検査を減らすため、国レベルでの一致した努力が必要である。
韓国は世界で最も甲状腺がんの発生率が高く、1999年から2009年の間に10万人あたり6.3から47.5に7倍以上に増加した。経済的負担も2000年の2億5700万ドルから2010年の17億2400万ドルに約7倍になった。最も可能性が高いのは過剰診断であると信じられている。過剰診断は患者が生きている間に症状をおこしたり死亡したりすることのない害のないがんを検出することを指す。しかし致死的ながんと害のないがんを区別することができないために、主に検診で検出された全てのがんが治療される。このことは人々に、利益のない治療の副作用の可能性に晒す。
しかし一部の懐疑派は納得していない。そこで国立がんセンター研究所のJin Soo Leeらのチームは1999年、2005年、2008年に診断された5796人の甲状腺がん患者の医療記録を解析した。ほとんどは女性で平均年齢47才だった。年齢調整甲状腺がん発症率を推定して1999年から2008年の変化を、どうやって腫瘍が検出されたかにより検討した。この間の甲状腺がんの発症率は10万人あたり6.4から40.7人に6倍に増加した。その増加のうちの94%は検診で見つけられた20mm以下の腫瘍で、増加の97%は限局的腫瘍だった。臨床症状があって見つかった事例であっても増加分の99.9%が20mm以下の腫瘍だった。
著者は「我々の研究は韓国の甲状腺がんの増加は主に過剰検出によることを示す。」という。
彼らは、症状のない一般人への不必要な甲状腺がん超音波検診は減らすように国レベルで一致した努力が必要だと呼びかけている。
関連するエディトリアルでは米国の研究者がこれらの知見は「発症率の増加は未知のリスク要因ではなく過剰診断によることを強く示唆する。さらに重要なのは、このデータは我々が臨床症状のないあるいは不活性な病気の定義をどうするか再検討する必要性があることを示す」と述べている
Association between screening and the thyroid cancer “epidemic” in South Korea: evidence from a nationwide study
http://www.bmj.com/content/355/bmj.i5745
Overdiagnosis of thyroid cancer
http://www.bmj.com/content/355/bmj.i6312

Levels of total cholesterol, LDL-C, triglycerides continue to decline among US adults
30-Nov-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-11/tjnj-lot112916.php
JAMA Cardiologyに発表されたNHANESの1999/2000と2013/2014の8つの調査の20才以上成人の傾向を解析した結果。TC濃度のデータがあるのは39049人、トリグリセリドは17486人、LDL-Cは17096人。
(肥満は増えているはずなのに健康的になっている、というのは薬のおかげかな?)

  • 軽度の体内鉄貯蔵過剰であっても2型糖尿病リスクが増える

Even mildly excessive body iron stores increase the risk of type 2 diabetes
30-Nov-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-11/uoef-eme113016.php
フィンランド大学のDr Alex O. Aregbesolaの学位論文
(複数の論文のまとめである学位論文がダウンロードできる)

  • 研究は手洗いと温度についての注意のあるレシピが食品安全を改善することを発見

Study finds recipes with hand-washing, temperature reminders improve food safety
30-Nov-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-11/ksu-sf113016.php
料理のレシピに手洗いと肉用温度計の使用を含めることでキッチンでの食品安全が向上する。Journal of Sensory Studiesに発表。
台所の照明を節電型のものに変えると肉がより火が通っているように見えるので注意とのこと

  • グルテンフリー食はセリアック病の子ども達の腸の傷害を減らさないかもしれない

Gluten-free diet may not reduce intestinal damage in all children with celiac disease
30-Nov-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-11/mgh-gdm113016.php
驚くべきことに、マサチューセッツ総合子ども病院(MGHfC)とボストン子ども病院(BCH)の研究者らが、セリアック病の子どもの約5人に1人は厳格にグルテンを含まない食事をしても腸の傷害が持続する。この知見は最近の成人患者での研究で33%がグルテンフリーダイエットでも腸の傷害が持続するという報告と一致する。Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutritionに発表。さらに驚く知見はセリアック病を監視するのに主に使われている検査である自己抗体IgA tTGの量が粘膜の修復を正確に測定していないことである。実際のところ血液検査も患者の症状も繰り返し生検の結果を正確に予想しない。