食品安全情報blog過去記事

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その他

  • ダム建設がメコンの漁業を脅かす

Dam-building threatens Mekong fisheries
Richard Stone
Science 02 Dec 2016:Vol. 354, Issue 6316, pp. 1084-1085
ラオスやその近傍諸国が電力のためにメコン川やその支流にダムを建設することが食糧安全保証の危機となる。影響を減らすための方法が検討されている。

  • 何故テキサスが反ワクチンの主要戦場になっているのか

Scienceニュース
Why Texas is becoming a major antivaccine battlefield
By Kai KupferschmidtDec. 1, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/12/why-texas-becoming-major-antivaccine-battlefield
テキサスのBaylor 医科大学感染症研究者Peter Hotezは貧しい国の住血吸虫症などのような遠い国の子どものワクチンについて心配するのが主だった。しかし今は家の近くの子ども達の心配をしている。テキサスで予防接種をしていない学童の数が急速に増加している。不祥事をおこした反ワクチンの医師Andrew Wakefieldがテキサスの首都オースチンに店舗をひらき、政治的活動委員会がワクチン関連法案に圧力をかけているのだ。今やテキサスが反ワクチン運動の中心になっている。テキサスはまだ予防接種率は高いが、親の個人的信念によるワクチン拒否が2003年の2300から今年は既に44000になった。
Hotezには自閉症の娘がいて、Wakefieldによる保護者の恐怖をくいものにするやりかたには個人的にも関係がある。そしてDonald Trumpも何度も自閉症がワクチンのせいだとtwitterやインタビューで言っているのも心配の種である。

  • 不正行為の申し立てがマイクロプラスチックと魚の幼生についての論文を巡っての諍いに

ScienceInsider
Misconduct allegations fly in spat over paper on microplastics and fish larvae
By Martin EnserinkDec. 1, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/12/misconduct-allegations-fly-spat-over-paper-microplastics-and-fish-larvae
Fredrik Jutfeltと Josefin Sundinが、 Scienceの6月3日号に掲載されたホットな環境問題についての論文を読んだとき、二人の研究者は直ちに何かがひどく間違っていると感じた。二人ともこの研究を行ったスウェーデンのUppsala大学の研究フェローであるOona Lönnstedtを知っていて、Lönnstedtがマイクロプラスチックが魚の幼生を害することを示したとする実験を行ったと言っている頃にGotland島のAr研究ステーションにいた。Jutfeltはノルウェー科学技術大学の准教授で、SundinはUppsala大学のポスドクで、二人ともLönnstedtがこんな複雑な実験をできたはずはないと信じている。
それから3週間ほどして二人はUppsala大学に「研究不正についての強い疑い」をもっていると報告し調査を要請した。彼らの文書は最初Retraction Watchに8月に掲載され、カナダ、スイス、オーストラリアの5人の科学者の署名があった。
今週Scienceがこの論文について「編集者による懸念の表明」を発表した。Lönnstedtとその管理者であるUppsala大学のPeter Eklövが結果の背景にある全ての生データを提供できなかったからである。Lönnstedtはデータはラップトップコンピュータに入っていて、それが論文の発表の10日後に彼女の夫の車から盗まれた、バックアップはないという。
しかし論文の行方はまだ極めて不明瞭である。8月31日にUppsala大学の3人の専門家委員会が予備的調査を完了し完全調査を助言した。委員会はSundinと Jutfeltの警告も批判していて、彼らの指摘の多くが「通常の学術上の議論の範囲内で、直接著者とやりとりできた」と書いている。しかしスウェーデンの中央倫理審査委員会による二つ目の調査が進行中である。Scienceの編集者Andrew Sugdenは最初この委員会の判定を待つつもりだった。しかし予想より時間がかかるので懸念を表明することにした。
問題の論文は広く報道された。
(以下長い。)

  • 皮膚がん発症率を減らすためサンベッドを禁止−ニュースから

SMC NZ
Ban sunbeds to reduce skin cancer rates – In the News
December 2nd, 2016.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2016/12/02/ban-sunbeds-to-reduce-skin-cancer-rates-in-the-news/
オタゴ大学の研究者らによる新しい研究が、ニュージーランドで日焼けベッドサービスを禁止することが皮膚がんを減らすのに役立ち事業や雇用には最小限の影響しかないと示唆する
New Zealand Medical Journalに本日発表された研究は全国の日焼けマシンサービスを提供している事業者の会計報告を含む。著者らはニュージーランドもオーストラリアに続いて商用のサンベッドを禁止し、その損害を補償し安全な廃棄を指示するべきだと主張する。
この研究がいくつかのメディアで報道された。以下リンク。

  • 水を飲みすぎた女性の症例研究への専門家の反応

SMC UK
expert reaction to case study of a woman who drank too much water
December 1, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-case-study-of-a-woman-who-drank-too-much-water/
BMJ Case Studiesが水を飲みすぎて低ナトリウム血症になった女性の症例を報告した。
King’s College London栄養と食事名誉教授Tom Sanders教授
これは膀胱炎の女性が極めて早く水を飲みすぎて低ナトリウム血症になった女性の症例報告である。このような状態は大量の水を短時間に飲んだときにのみおこる。1時間に750mL以下ではおこらない。NHSは膀胱炎の人には特別なアルカリ水やクランベリージュースではなく水をたっぷり飲むように薦めている。このことのメリット示すRCTの根拠はないものの、そのことだけでこの助言が間違っていることを意味しない。この報告を水をたくさん飲むようにという医師の助言が間違っていると解釈するのは間違いである。
Queen’s University Belfastの生理学Dunville教授Graham McGeown教授
感染症患者には通常脱水を防ぐために水分をとるよう助言される。特に熱があって汗が出るような場合には。この事例のように、やりすぎる場合もある。この女性は医師の助言を真剣に受け止め、短時間に数リットルの水を飲み危険なほど体液が薄まったようだ。
しかし24時間以内に1Lまでに飲む量を制限、あるいは全く飲まなければなおる。教訓は、医師はもっと具体的な助言をする必要がある、ということだろう。