食品安全情報blog過去記事

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その他

  • NK603 GMトウモロコシのマルチオミクス解析ヘの専門家の反応

SMC
expert reaction to multiomics analysis of NK603 GM maize
December 19, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-multiomics-analysis-of-nk603-gm-maize/
Scientific Reportsに発表された研究でNK603とその同系対照は「実質的同等」ではないと主張する
Sainsburyラボのバイオインフォマティクス部長Dan MacLean博士
この解析の大きな問題は材料が全く異なる条件で集められていることだ。同じ農場の異なる場所、異なる化学組成の土壌、異なる水分、異なる高度・暴露・温度。厳密な実験室の条件でもメタボロームとプロテオームは大きく変動し、ここで使われている統計ではこれらの要因を考慮していない。植物で発現するあらゆるものの発現と量には膨大なことが影響を与えるがそれらをコントロールしたあるいは探った統計は行われていない。この解析は「全てのものが全く同じである、検定しよう」と突き進み力不足の方法を使った。検定をするためには実験条件の違いがタンパク質や代謝物の変化に与える影響を考慮できる、より良い統計学的変数のモデル化が必要である。このp値をもとに明確な結論は出せない
EFSAのGMOパネルのもと委員長Joe Perry博士
全ての申請の際に行われている組成分析と比較して、この研究は一回だけの再現できない結果のようである。従って確実なことは言えない。別の言い方をすると、実験デザインの基本原則を満たしていないようだ。
Surrey大学分子遺伝学教授Johnjoe McFadden教授
この解析は「実質的同等性原則」を不適切だと強調する。どのくらい同等である必要があるのか?もしこのようなどんな生物のどんな変動も検出できるような詳細なレベルで解析したら、この程度の変化は検出できる。現実的には生物になんらかの撹乱を与えればこうした強力な技術なら反応が検出できるだろう。生命とはそういうものだ。
もしそれを根拠にGMを禁止すべきなら全てが禁止されるだろう。

  • しかし誰が実際に内分泌撹乱化学物質の科学を操作しているのか?

Science 2.0
But, Who’s Really Manipulating The Science On Endocrine Disrupting Chemicals?
By Gregory Bond | December 13th 2016
http://www.science20.com/endocrine_policy_perspectives/but_whos_really_manipulating_the_science_on_endocrine_disrupting_chemicals-185566
11月29日のLe Mondeに、94人の科学者の署名のある「科学の操作を止めよう」というタイトルの論説が掲載された。それはたくさんの主張をしているがそのなかで最も目立ったのは企業がEDCの科学についての「疑いを作っている」というものだ。しかしEDC問題を追いかけている人なら誰でも知っているように、この議論の多い極端に分かれた件については両方に重大な疑問がある。以下にLe Mondeの記事の主張に疑問を示す。
主張1−石油化学、農業化学企業が科学を意図的に歪めている
主張2−石油化学、農業化学企業が気候変動の科学を否定している
主張3−欧州委員会は内分泌撹乱化合物の規制を世界で初めて行おうとしている
主張4−我々はかつてなくホルモン関連の病気やがんや脳の発育障害や精子の質の低下に苦しんでいる
以下7まで
(Le Mondeへのリンク、フランス語ではなくて英語だった。署名している人たちがいつものメンバー。)

  • FEMA: Annistonでのリシン騒動で化学・生物学作戦停止

FEMA: Chemical, biological operations suspended following ricin scare in Anniston
http://www.wtvm.com/story/34090764/fema-chemical-biological-operations-suspended-following-ricin-scare-in-anniston
Anniston訓練センターで訓練用の安全なリシンを注文したところ、供給業者が2011年から猛毒のリシンを送っていた。この間9500人がリシンに暴露された可能性がある。訓練を受けた人で病気になった人の報告はない。
FEMAが訓練生に向けて通知を出している。

  • シベリアでアルコール代わりにバスローションを飲んで49人が死亡した件で逮捕

Arrests made after 49 die in Siberia from drinking bath lotion for alcohol buzz
Dec 19, 2016
http://www.cbc.ca/news/world/siberia-bath-oil-alcohol-fatal-1.3902823
「こんなことは終わりにする必要がある」当局が州に緊急事態宣言をし、総理大臣が言う
シベリアのバスローション摂取後の犠牲者が少なくとも49人になり、月曜日に州が緊急事態と宣言した。イルクーツクの担当者はさらなる犠牲者がいないか各戸をまわり、州は緊急事態とし、ロシア政府はアルコールのより厳しい規制を呼びかけた。
アルコールを含むローションやチンキの販売は、ロシアの西側諸国による制裁と原油価格の変動による不景気により近年増加している。安価な代用アルコールによる中毒はいつものことだが、イルクーツクのような大規模事例は前例がない。
ロシアの調査機関はこの事件を調べ始め、ローションを販売した疑いで何人かを逮捕した。当局はローションに危険な量のメタノールと不凍液が入っているのを発見している。警察はローションを作っていた地下工場を発見し、イルクーツクの約100店舗から500Lを押収している。ローション入りボトルは明確に摂取用ではないと警告があるが、エタノールを含むと書いてある。
死者は週末以降急増し49人になり他に8人が入院している。

  • Splenda(商品名):そんなに素晴らしくない?

Splenda: Not So Splendid?
by Berkeley Wellness | December 19, 2016
http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/food-safety/article/splenda-not-so-splendid
もしあなたがスプレンダに入っているようなスクラロースをいつも使っているなら、今年初めにこの甘味料ががんの原因だという見出しが気になったことだろう。このニュースはInternational Journal of Occupational and Environmental Healthに発表された動物実験が根拠である。スクラロースは1990年代後半に米国に導入されたショ糖の600倍甘い甘味料である。この研究はイタリアのRamazzini研究所によるものでマウスに大量のスクラロースを一生涯与え、雄の高用量の群で白血病などのがんが多かったというものである。雌ではそうではない。これをもとにNPOのCSPIがスクラロースを「避けるべき」に分類している。スプレンダを作っている会社のCEOはこのイタリアの研究を公開文書で批判している。FDA、ヘルスカナダ、EFSA、WHOも全て80ヶ国以上で認可されているスクラロースの安全性を支持している。FDAのADIは5 mg/kg体重/日で、体重150ポンドならスプレンダの黄色い小袋を約28個、ダイエットソーダは6-13缶に相当する。EFSAのADIはその3倍である。イタリアの研究は有害影響は250 mg/kg以上でみられたというのと比較してみよう。
メディアの誇大広告とは違って、この研究はスクラロースが有害であることを証明したものではない。動物でみられることが常にヒトでおこるとは限らず、雄マウスでしか見られない理由もわからない。そして計算してみればわかるように使ったスクラロースの量は食べられる量より遥かに多い。そして認可に使われた研究は110なのに対してこれはたった一つの研究である。
それでも何の有害影響もないとは完全に言えないので何事もほどほどに、が良い考えであろう。そして砂糖代用品で痩せられるという決定的根拠はない。そしてもしあなたが砂糖代用品をたくさん使用しているのなら、それは不健康な食生活の兆候であろう。
ではスクラロースを砂糖に代えるべきか?我々はそうは思わない。スクラロースの有害影響が明確ではないとしても、添加した糖を多く摂ることに関連する健康リスクはたくさんある。もっと良い方法は甘いものを減らして炭酸飲料やダイエットソーダの代わりに水を飲むことだ。
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20160314#p5の件)

  • 研究者はTrumpが科学アドバイザーに誰を選ぶか不安をもって待つ

Scienceニュース
Researchers anxiously await Trump’s pick for science adviser
By Jeffrey MervisDec. 19, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/12/waiting-science-adviser

  • Plexusについてあなたが知っておくべきこと

Truth in Advertising (TINA)
What you should know about Plexus
https://www.truthinadvertising.org/what-you-should-know-about-plexus/
ダイエタリーサプリメントなどを販売しているMLM企業Plexus Worldwideについて
製品の病気治療効果の宣伝はFDAから違法医薬品だと警告されている、乳がん検査キットはインチキであると米国がん学会から勝手に名前を使うなと言われている、製品の鉛について裁判をおこされている、カナダやオーストラリアでも表示されていないDMAAを含む等警告されている、お金が儲かるというのも嘘、FTCへの苦情がたくさん寄せられている、など

  • カイロプラクターが反ワクチンムーブメントを支援?

Forbes
Are Chiropractors Backing The Anti-Vaccine Movement?
Dec 10, 2016
http://www.forbes.com/sites/brucelee/2016/12/10/are-chiropractors-backing-the-anti-vaccine-movement/#3d638cf65db6
Andrew Wakefieldが国際カイロプラクター協会の年次会合のキーノートスピーカーだったことについて。