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ダイエット飲料、砂糖入り飲料と体重についてのコメントへの専門家の反応

SMC UK
expert reaction to commentary on diet drinks, sugary drinks and body weight
January 3, 2017
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-commentary-on-diet-drinks-sugary-drinks-and-body-weight/
PLOS Medicineに発表されたレビューで、著者らが砂糖なしの飲料は減量や体重の増加抑制に砂糖入りのものより良くはないかもしれないと主張し、人工甘味料を使った飲料は健康的食生活の一部として推奨すべきでないと示唆する
King’s College London栄養と食事の名誉教授Tom Sanders教授
これは根拠の系統的レビューではなく意見である。これは先に発表された系統的レビューで砂糖のみで甘くした飲料を人工甘味料で甘くした飲料に置き換えると少し体重が減るということが示されたことに異議を唱える。理由は用いられた科学的手法ではなく企業がお金を出したからである。
また著者らは観察研究で肥満と2型糖尿病人工甘味料入り飲料摂取量の多い人と関連することも強調している。これは著者らも認めているように因果関係を証明するものではない。観察研究から結論を出すことの問題点は肥満や過体重のヒトの方がそうするように助言されているために低カロリー飲料を買う可能性が高いということである。砂糖を人工甘味料で代用することの体重への影響がはっきりしないとしても、二重盲検で砂糖をこっそり人工甘味料に代えた研究では明確に体重にメリットがある。著者らがほのめかしている、人工甘味料が体重を増やすという根拠はない。
砂糖を減らしたり砂糖なし飲料を健康的食生活の一部として推奨すべきでないという結論は正当な理由が無く、人々の混乱を増すだろう。
オックスフォード大学食事と集団の健康教授Susan Jebb教授
この説話的レビューは人工甘味料で甘くした飲料(ASB)に関するいろいろな根拠を集めたものである。肥満のコントロールに特に有用であるという根拠は限られているのは妥当である。しかしその「害を減らす」戦略については考慮していない−つまりASBが特にメリットがあるかないかに関わらず、そのほうが砂糖入り飲料よりましだという根拠はある。著者が示しているように、砂糖入り飲料とASBの影響を調べるRCTでは差が無く、従ってASBが有害だという根拠にはならない。
この論文ではASBの環境影響も検討している。これらは栄養がないので生産や販売や消費による環境影響が不必要であると結論するのは不合理とは言えない。この点についてはさらなる研究が必要であるが同時に文脈も考慮する必要がある。人工甘味料だけ問題にするのは他のもっと重要な問題から意識を逸らすリスクがある。
水道水で体重管理をしようとしているヒトにとってはそれが環境にも健康にもベストであることは言うまでもない。しかし砂糖入り飲料を飲み慣れたヒトにとってそれはあまりにも難しい変更である。人工甘味料はカロリーを減らすためには正しい方向への一歩である。