食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 主要道路の近くに住むことが認知症リスクの高さと関連

Living near major traffic linked to higher risk of dementia
4-Jan-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-01/pho-lnm010317.php
The Lancetに発表されたオンタリオ公衆衛生局と臨床評価科学研究所の研究。交通量の多い道路の50メートル以内に住む人は300メートル以上離れて住む人に比べて7%認知症発症の可能性が高い

  • 2型糖尿病予防のために「検査して治療する」アプローチは大きな影響がなさそう

'Screen and treat' approach to prevent type 2 diabetes unlikely to have major impact
4-Jan-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-01/b-at010317.php
The BMJに発表された研究。予防には二つの戦略があり、ハイリスク群を検査により同定して個別に介入する「検査して治療する」、と公衆衛生政策により集団全体にアプローチする方法である。「検査して治療」が有効であるためにはハイリスク群を正確に同定し低リスク群は排除できる検査法(特異性と感度が高い)があり、患者や病院にとって受け入れられる介入方法があることが必要である。そこでオックスフォード大学のTrish Greenhalgh教授らのチームが前糖尿病のスクリーニング検査の正確性と介入の有効性を評価した。
その結果空腹時血糖は特異性が高いが感度が低く、HbA1cは特異性も感度も高くない。ライフスタイル介入は相対リスクの37%の低下、メトホルミンは26%の低下。これらから「検診と治療」はある程度は効果があるが全ての人をカバーできず集団アプローチを併用すべきと結論している。関連するエディトリアルではNorman Waugh教授が全ての人を対象にしたライフスタイル変更のアプローチが重要であるとしている。ライフスタイルに関する助言に従っている人は少なく、一般の人が自分の健康を守るための動機付けに有効な対策が必要である。

  • 乳児の「補完」食−ESPGHAN(欧州小児消化器病肝臓病栄養学会)政策方針書がガイダンスを提供

'Complementary' feeding for infants -- ESPGHAN position paper offers guidance
4-Jan-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-01/wkh-ff010417.php
離乳食の導入に関する根拠に基づいた助言更新。Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutritionの1月号に発表。各助言の根拠の詳細についてもウェブサイトに発表。
導入時期:母乳のみで育てるのは少なくとも4ヶ月(17週間)は推奨すべきで、母乳のみあるいは主に母乳は6ヶ月まで(26週)望ましい目標である。離乳食は4ヶ月より前にははじめないが6ヶ月より遅くならない時期に導入し、母乳は継続する。12ヶ月になるまでは牛乳を主要飲料として使うべきではない。
アレルギー誘発性食品:近年の研究で導入を遅らせることが食物アレルギーリスクを減らさないため、アレルギー源となる可能性のある食品は4ヶ月以降いつでもはじめることができる。ピーナッツアレルギーリスクの高い乳児は4-11ヶ月の間に導入する。ただし専門家の評価を受けてから。
グルテン:セリアック病の発症にグルテン導入時期は影響しないため4-12ヶ月の間に。乳児期に大量のグルテンを与えることは薦めない
菜食主義:全ての乳児は適切な量の鉄を摂る必要があることを強調し、菜食主義は適切な医学あるいは栄養学的監視のもとでのみ行うこと
離乳食の方法:いろいろな風味やテクスチャーの食品を与えること。離乳食に塩や砂糖を加えない。乳児の空腹や満腹の合図に反応し、報酬や宥める手段として食べものを与えることは避けるように。

Liquid nicotine for electronic cigarettes is toxic for kids
4-Jan-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-01/acoe-lnf010417.php
Annals of Emergency Medicineに発表された症例報告。両親の電子タバコ用の液体ニコチンを飲み込んだ6才の子どもが小児ICUに入院した事例。母親が空になったイブプロフェンのボトルに自分で混合したニコチンを入れていたのを、父親がそれと知らず子どもに与えた。影響は直ちに現れ5分以内に救急通報。