食品安全情報blog過去記事

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論文

  • インドのMuzaffarpurでの2014年のアウトブレイクにおけるライチ摂取に関連する急性中毒性脳症:症例対照研究

Association of acute toxic encephalopathy with litchi consumption in an outbreak in Muzaffarpur, India, 2014: a case-control study
Aakash Shrivastava et al.,
http://www.thelancet.com/journals/langlo/article/PIIS2214-109X(17)30035-9/fulltext
オープンアクセス
2014年5月26日から7月19日にかけて、15才以下でMuzaffarpurの二つの病院に入院した急性神経疾患の評価。症例の定義にあう患者は390人でそのうち122人が死亡した。入院時の血糖は204人(62%)が70 mg/dL以下。病気と関連するのは発症の24時間前以内にライチを食べたことと夕食を食べないことで、ライチを食べることの影響に対して夕食を食べることが相当な修飾要因になる。66%の患者の尿からヒポグリシンA代謝物、メチレンシクロプロピルグリシン(MCPG)あるいはその両方が検出されているが対照群では検出されない。Muzaffarpurのライチ種衣の36検体のヒポグリシンA濃度は12·4 μg/g から152·0 μg/g、MCPGは44·9 μg/gから220·0 μg/gだった。
従ってこのアウトブレイクはヒポグリシンAおよびMCPG中毒と関連することが示唆され、この病気を予防し死亡率を下げるにはライチの摂取を減らすことと夕食を確実に食べること。
(ライチの種ではなくて普通に食べる部分arilsに毒素があるというところが重要。そしてお腹一杯食べられるヒトには影響が出にくい・・自然は何と無慈悲なのだろう)

  • The Lancet:社会経済的地位の低さは寿命を短くし、保健政策の主要リスク要因として数えるべきである、と研究が言う

The Lancet: Low socioeconomic status reduces life expectancy and should be counted as a major risk factor in health policy, study says
31-Jan-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-01/tl-tll013017.php
英国、フランス、スイス、ポルトガル、イタリア、米国、オーストラリアの170万人のデータを用いた研究で、社会経済的地位の低さを運動不足や喫煙、糖尿病、高血圧、肥満、飲酒などの健康リスク要因の影響と比較した。社会経済的地位の低さが病気や早期死亡の予測因子であることは世界中で知られているが、しばしば保健政策では見過ごされている。
社会経済的地位の低さの影響は運動不足と同じくらいで喫煙や糖尿病よりは小さいが肥満や高血圧より大きい。
社会経済的地位の指標として使ったのが職業上の立場であるため、社会経済的地位の複雑さを正確に反映していない可能性があること、他の要因との分離が難しいことなどが弱点。

Endocrine Society experts issue clinical practice guideline on pediatric obesity
31-Jan-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-01/tes-ese013117.php
「小児肥満—評価、治療、予防: 内分泌学会臨床ガイドライン」をJournal of Clinical Endocrinology & Metabolism (JCEM)の2017年3月号に発表。
小児はBMIがその年齢と性での85パーセンタイルから95パーセンタイルで過体重、95パーセンタイル以上で肥満、95パーセンタイルの120%以上だと極度肥満、と診断する。
家族を中心にしたライフスタイル変更が最も重要なアプローチとなる。