食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 精神に影響する薬物を健康な人が使うことのベネフィットはリスクを上回るか?

Do benefits outweigh risk of mind-altering drug use by healthy individuals?
20-Apr-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-04/w-dbo041917.php
British Journal of Pharmacologyに発表されたケンブリッジ大学のBarbara Sahakianらによるレビュー。健康な人たちが認知機能向上、創造性向上、内省、娯楽などの目的で薬物を使うことがますます増加していて社会を変えている。我々には対話が必要である。安全上の懸念もありさらなる研究が必要である
この話題に関連するBBCドキュメンタリー「勉強のための薬物と若い人たち」も放送された。
(何故カフェインはいいのにモダフィニルはダメなのか、といった問いはあるだろう)

  • 炭酸飲料はあなたの脳に悪い?(そしてダイエット飲料はさらに悪い?)

Is soda bad for your brain? (and is diet soda worse?)
20-Apr-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-04/bu-isb042017.php
Framingham心臓研究のデータを用いて、砂糖入り飲料を頻繁に飲む人は記憶力の貧弱さや脳容量が小さい可能性が高いことを発見した。さらにフォローアップ研究では毎日ダイエット炭酸飲料を飲む人はそうでない人に比べて脳卒中認知症を発症する可能性が約3倍だった。Alzheimer's & DementiaとStrokeにそれぞれ発表。研究者らは関連があることは因果関係を意味するものではないと注記しながらも、砂糖入り炭酸飲料もダイエット炭酸飲料も摂りすぎに注意と呼びかけ、使うべきは水という。
(糖尿病による血管障害なら因果関係は逆で、糖尿病になって砂糖禁止にされた人たちがダイエット飲料を飲んでいる群に多いのでは)

  • BP重油流出は自然資源に172億ドルのダメージ、科学者が発見

BP oil spill did $17.2 billion in damage to natural resources, scientists find
20-Apr-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-04/vt-bos041817.php
2010年のBP Deepwater Horizon重油流出事故はメキシコ湾の自然資源に172億ドルのダメージを与えた、と6年の研究後科学者が発見した。1億3400万ガロンの重油流出が自然資源の経済的価値に与えた損害の最初の包括的評価である。Scienceに発表。
この推定のために研究者らは予防対策のためにいくらお金を払う意志があるかを聞いた。平均して153ドル払うということが示されたのでそれをもとに172億ドルとなった。
(そんな方法でいいのか?払う意志がある、と実際払う、の間には深い断絶があるのは他の研究で明らかなのに)

  • 新しいデータはミツバチの群れの農薬の危険性を発掘する

New data unearths pesticide peril in beehives
20-Apr-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-04/cu-ndu042017.php
コーネル大学のScott McArt昆虫学准教授がNature Scientific Reportsに4月19日発表
ユーヨーク州周辺でリンゴの果樹園近くにおかれた120のミツバチコロニーがリンゴの開花期に数日蜜を集めた後で巣に蓄えられた"beebread"を分析した。17%は農薬の高濃度暴露があり73%は慢性暴露があった。「驚くべきことにミツバチが主要作物の授粉をしたときの農薬暴露リスクの程度についてよくわかっていない。養蜂家は農薬について非常に心配しているがフィールドでのデータがほとんどない。」という。検出された農薬の60%以上がリンゴの開花時期に散布されたものではない果樹園や周辺農地に由来するものだった。そしてリスクは各種の農薬に由来しネオニコチノイドだけではない。

Scienceニュース
Naked mole rats can survive 18 minutes without oxygen. Here’s how they do it
By Kai KupferschmidtApr. 20, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/04/naked-mole-rats-can-survive-18-minutes-without-oxygen-here-s-how-they-do-it
ハダカデバネズミは実験動物のスーパーヒーローである。彼らは加齢の兆候をほとんど示さずある種の痛みには耐性がありほとんどがんにならない。そして科学者はもう一つのスーパーパワーを発見した。18分以上酸素無しで生きられる。彼らはそれを基本的に人体の燃料を切り替えることで行う。Scienceに発表。
酸素のない容器に入れるとマウスは1分以内に死亡するがハダカデバネズミはそうではない。心拍数が1分当たり200から50に低下し意識を失う。しかし18分後に普通の空気をいれると完全に回復する。酸素がない場合のエネルギー源としてブドウ糖の代わりに果糖を使う。ただしそれだけで説明できるとは限らない。
(この子達はほんとうに面白い。年をとらないというか生まれたときから年寄りみたいというか。)

  • Science21 Apr 2017 の特集は生態系としての地球
  • 新しい無視されている作物:大麻

A new neglected crop: cannabis
Elizabeth Pennisi
Science 21 Apr 2017:Vol. 356, Issue 6335, pp. 232-233
ある人にとっては大麻は娯楽用である人にとっては薬である。今や作物としての注目が高まっている。薬理作用だけではなく、繊維含量の多さと生長の早さからバイオ燃料としても有用とみなされている。今月Critical Reviews in Plant Sciencesが特集を組んでいる

  • Twitterにいる科学者は実際何をやっているのか

Natureニュース
What all those scientists on Twitter are really doing
Sarah McQuate 20 April 2017
http://www.nature.com/news/what-all-those-scientists-on-twitter-are-really-doing-1.21873
解析の結果Twitterには女性科学者が過剰で数学者やライフサイエンスの研究者はあまりTwitterを使わない
また科学者はソーシャルメディア上でも自分の専門分野の人とくっついている傾向がある
PLOS ONEに発表。
ツイート内容は多くが個人的なものでコーヒーやニュースや政治で必ずしも科学的なものではない。