食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 変わった副作用:知ってた?

Odd Side Effects: Who Knew???
April 20, 2017
http://www.berkeleywellness.com/self-care/preventive-care/lists/odd-side-effects-who-knew/slideid_3680
朝起きて鏡を見たら舌が黒かった、トイレに行ったらおしっこが青かったあるいは便が明るい赤や幽霊のような灰色だったら驚くだろう。日常の物質の一部には普通でない副作用のあるものがある。ここにあなたがびっくりする可能性のある8つの反応を紹介する。
1. ペプトビスモル(胃腸薬)と黒い舌/便
このピンク色の薬は、有効成分のビスマスが口や腸で硫化水素と反応して舌や便を煤のように黒くする。舌を黒くする作用を減らすには薬を飲んだらすぐに口をゆすいだり歯を磨く。しかし便の黒色は薬を止めた後も数日続く。
2. ビートと赤い尿
ビートを食べるとベタレインという色素により尿が赤くなる。どのくらい赤くなるかはあなたの血中鉄濃度と食品の酸(アスコルビン酸やシュウ酸)などによる。遺伝的要因もある。また便を赤っぽくするという報告もある
3. クラムチャウダーと白っぽいうんち
もし便の色が幽霊のような灰色あるいは白っぽい色だったら、ニューイングランドクラムチャウダーのせいかもしれない。動物実験によると色の変化は一部の缶詰チャウダーを白く見せるために使われている二酸化チタンのせいである可能性がある。二酸化チタンは食品表示に書いてあるが単に「合成色素」とある場合が多い。
4. 医薬品と緑/青の尿
制酸剤シメチジン(Tagamet)、麻酔薬プロポフォル(Diprivan)、非ステロイド抗炎症薬インドメタシン(Indocin)などの医薬品は尿を緑にする場合がある。びっくりするだろうが害はない。一部の診断薬に使われるメチレンブルーは尿を青に、あるいは通常の尿の黄色と合わさって緑にする
5. アスパラガスと尿の臭い
アスパラガスは尿を腐ったキャベツのような臭いにすることで悪名高い。何故一部の人でそんな臭いになるのか長い間議論があったが2011年の研究で、臭いを作ることとそれを感じることの両方で遺伝子のため人による違いがあることが確認された。
6. 練り歯磨きと歯茎の腐肉形成
ある種の練り歯磨きを使うとあとで歯肉に沿って何か繊維質のものがくっついているという人たちがいる。これはあなたがCrest Pro Healthのような歯石コントロール製品に含まれる練り歯磨き成分のピロリン酸塩に過敏だとおこる。ラウリル硫酸ナトリウムでも一部の人で関連する。
7. ニホンカボチャと表皮剥脱
生のニホンカボチャやドングリカボチャの皮を剥いたり切ったりすると接触性皮膚炎になる人がいる。1994年の症例報告ではステロイドで治療している。この症状はすぐに治まり数週間後に再びカボチャを剥いて切った時に再発した。過敏症の原因はトリテルペン化合物であると考えられている。もしそのような反応が出るなら料理の時にはゴムやラテックスの手袋をする
8. 抗がん剤と指紋
カペシタビンはがんの治療に用いられる薬物だが希な副作用がある。指紋が無くなる。指紋認証を使う海外に行くときには医師の証明を持っていくように。

  • オプンチア

Prickly Pear Cactus
by Berkeley Wellness | April 20, 2017
http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/food/article/prickly-pear-cactus
Q: オプンチアは食べられる?医薬品としては、あるいはそのジュースは?
A: オプンチア(nopales、nopalあるいは paddle cactusとも)は栄養があるがエネルギー豊富ではない。カリウムと少々のカルシウム、鉄、ビタミンC、βカロテンその他を含む。サボテンは棘がありそれを除くには厚い手袋がいる。店で売られているものはしばしば棘を抜いてある。また毛のような棘も抜く必要がある。葉の部分はきれいにして皮を剥いて生でサラダにしたり揚げたり茹でたりして食べられる。サヤインゲンのような味とオクラのようなテクスチャーがある。サボテンの実の部分は少しメロンやイチゴのような味がしてパンケーキシロップやキャンディに使われる。
オプンチアには2日酔い治療から体重調節、糖尿病予防まであらゆる効果が宣伝されている。カプセル剤やジェルでも売られている。予備的研究では血糖やコレステロールを下げるのに役立つ可能性が示唆されているがこれまでのところしっかりした根拠はない。もしあなたが糖尿病の薬を飲んでいるなら思わぬ相互作用があるかもしれない。
購入の際には注意:市場ではアサイーやザクロなどと並ぶ「スーパージュース」の仲間としてノパルジュースが売られている。いつもの「デトックス」「抗炎症」「アンチエイジング」「免疫強化」といった宣伝がなされている。濃縮物1クオート(0.946リットル)で25-40ドルになる。普通のジュースでも抗酸化物質は豊富で値段はもっと安い。

  • WHOのIARCがんハザード機関:改革できるかあるいは無くすべきか?

WHO’s IARC cancer hazard agency: Can it be reformed or should it be abolished?
Alan Boobis & Angelo Moretto & Samuel Cohen | April 18, 2017 | Genetic Literacy Project
https://www.geneticliteracyproject.org/2017/04/18/whos-iarc-cancer-hazard-agency-can-reformed-abolished/
編集注:40年にわたりIARCは989の物質や活動、ヒ素から赤肉や塗装工や日光まで、を評価して、ひとつを除き全てが人のがんの原因になる可能性があるとしてきた。「グループ1発がん物質」の中には木材ダストや中国風塩漬魚もある。その知見は多くの世界機関により規制担当者への情報提供として使用されている。しかしそれらは、特にその何十年も前に確立された評価基準が現代の毒性学的知見の実態を反映していないと信じる科学者に驚かれている。問題になっているのはその判定が何百万人もの人の生命と多くの国や多国籍企業の経済活動に影響するからである。IARCの判定はその化合物の使用認可から消費者がある種の製品やライフスタイルを受け容れるかどうかまで、多くのことに影響する。
グリホサートの健康影響への懸念は2015年にIARCがそのハザード分類基準で「おそらく発がん性」と分類した後増加した。この分類は、禁止や厳しい規制を求める反化学物質・反GMO活動団体の間に広められた。
さらに最近の赤肉と加工肉を発がん性とした分類を巡る議論は科学者と規制担当者にIARCの方法論と任務への再検討を促した。Regulatory Toxicology and Pharmacologyに発表された論文で10人の主導的科学者がIARCの任務と方法を改革するよう求めた。その10人の共著者のうちの3人がIARCのやりかたを21世紀のものにするために必要な改革について議論する。
Alan Boobis :Imperial College London医学部薬理学治療学毒性学ユニットセンター
Angelo Moretto :Università degli Studi di Milano生命医学臨床科学部
Samuel Cohen:ネブラスカ大学医学センター病理&微生物学部Havlik-Wall腫瘍学教授
(コレスポンデンスはCohen教授。)
発がんリスク評価についてのIARCモノグラフ計画は改革して21世紀のものにしなければならない−あるいは廃止すべきである
要約
IARCモノグラフ計画は1970年代初期に確立されてから基本的に変わっていない時代遅れのがん分類計画である。この間の45年余でがんの原因についての科学的理解は深まり、意志決定者に対して実験動物で見られた影響をヒト健康保護のためにどうやって使うべきかについてのより進んだ概念を提供してきた。がんの原因についての概念的実験的画期的知見がWHO IPCS、米国EPA、英国発がん性に関する委員会、その他などに取り入れられてきた。それらとは対照的にIARCは過去半世紀の科学的研究がまるで無かったかのように分類システムを適用し続け、世界中で何十年も実践されているリスク評価の基本である用量と暴露量を完全に無視している。発がん性の強さが何桁も違う化合物を同じグループに分類するその評価結果は役にたたず、不条理主義ですらある。IARCモノグラフ計画はその設立目的の機能をもはや果たさない歴史的遺物である。それは改革して21世紀のものにしなければならない−あるいは廃止すべきである。
(本文も是非読むべき。IARCがグリホサートの遺伝毒性陽性の根拠だと主張した論文の著者がその論文はグリホサートに遺伝毒性はみあたらないという結果だったのに全く逆の根拠として使われてショックを受けているという記事が引用文献にある。)

SMC UK
expert reaction to artificially-sweetened fizzy drinks, stroke and dementia
April 20, 2017
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-artificially-sweetened-fizzy-drinks-stroke-and-dementia/
Strokeに発表された新しい前向きコホート研究が、参加者が砂糖と人工甘味料を使った飲料を摂取した後の脳卒中認知症のリスク増加について検討している
グラスゴー大学代謝医学教授Naveed Sattar教授
これは興味深い論文であるが、私は人工甘味料入り飲料が脳卒中アルツハイマー病リスクを上げるかもしれないという結論には強く注意したい。これは比較的小規模の一つの研究に過ぎず、人工甘味料入り飲料と有害健康アウトカムの関連を支持する他の強い根拠はほとんど無い。これは観察研究で、著者らは砂糖入り飲料を人工甘味料に変えたせいで病気になったのだと確認することはできない。これは逆の因果関係と言われる現象で、一部の一見健康的な行動が、病気の原因ではなく結果である場合がある。アルコールでも同様のことがおこり、病気になると飲酒量が減ったり止めたりする。この研究にはさらに他の交絡が残っている可能性もある。
従って、個人的意見として、私は砂糖の多い飲料よりはダイエット飲料のほうを喜んで飲み続ける。砂糖の多い飲料は明確に精製された砂糖が多く歯に悪い。
臨床データサイエンス上級臨床講師でUCL心臓専門名誉相談医Amitava Banerjee博士
我々は砂糖入り飲料が糖尿病、高血圧、脳卒中、冠動脈疾患リスク増加に関連することを知っている。しかし砂糖入り飲料の代用品としてしばしば使われる人工甘味料入り飲料と心血管系疾患や認知症との関連についてはまだ良くわかっていない。この研究は人工甘味料脳卒中認知症に関連があるが砂糖入り飲料には関連がないと主張する。
これは観察研究で交絡要因をコントロールするのが非常に難しい。さらにこの集団は人種的に多様ではなく米国やその他の国の集団を代表しない。研究者らは飲食については自己申告に頼っており、それにはバイアスがある可能性がある。
決定的なのは、脳卒中認知症との関連が糖尿病と高血圧や心臓発作既往症のような血管リスク要因を補正すると無くなることである。つまり、人工甘味料入り飲料をたくさん飲む人は既に心血管系リスクの高い人であり、飲料そのものではなく、そのことが認知症脳卒中リスクを説明する。
この解析をもとに人工甘味料入り飲料が脳卒中認知症の原因だと言うことはできない。しかし同時にそれらが健康に良いとも言えず、ほどほどに使うべきであろう。
ブリストル大学認知症神経学コンサルタント上級講師Elizabeth Coulthard博士
興味深いものの、この論文は人工甘味料入り飲料が脳卒中認知症の原因だと言うことはできない。糖尿病を調整すると認知症との関連に有意差が無くなる。つまり人工甘味料入り飲料を飲んでいるのはリスク要因があるため砂糖を減らすよう助言されている人たちである可能性の方が高い。脳卒中への影響は糖尿病を考慮しても残るものの比較的小さいサブグループであることに注意が必要である。
アルツハイマー研究UKの研究部長Rosa Sancho博士
砂糖の多い食事の帰結について多くの人が気がつくようになって代用品として人工甘味料入り炭酸飲料に代えている。この研究は人工甘味料入り飲料をたくさん飲んでいる人に認知症の率が多いことを指摘しているがそれはこれらの飲料が原因でリスクが変わったことを示すものではない。他の要因を考慮すると有意な関連が消えるということは飲料が全原因ではないことを示唆する。現在の最良の根拠は、認知症のリスクを下げたいなら、心臓にとって良いことは脳にも良いということである。健康的でバランスのとれた食事、身体的にも精神的にも活動的、タバコは吸わない、お酒はほどほど、健康体重を維持し血圧やコレステロールはチェックしよう。