食品安全情報blog過去記事

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その他

レビューワーは文献計量学的指標に目隠しされている
Natureコメント
Reviewers are blinkered by bibliometrics
Paula Stephan, Reinhilde Veugelers& Jian Wang
26 April 2017
http://www.nature.com/news/reviewers-are-blinkered-by-bibliometrics-1.21877
科学委員会は質とインパクトを判断するのにあまり役にたたない指標に依存している。そのことがリスクを避けた研究になる

  • マイクロプラスチックが魚をどう傷つけるのかについての論文は取り下げるべき、報告書が言う

Scienceニュース
Paper about how microplastics harm fish should be retracted, report says
By Martin EnserinkApr. 28, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/04/paper-about-how-microplastics-harm-fish-should-be-retracted-report-says
10ヶ月以上かかったが、Scienceに掲載されたマイクロプラスチックの魚への危険性についての論文に警告していた科学者が今日報われた。スウェーデン中央倫理レビュー委員会(CEPN)の専門家グループが、この論文の著者であるウプサラ大学のOona Lönnstedt とPeter Eklövが「科学的不正」を行ったと結論し、Scienceは2016年6月の論文を取り下げるべきだと言う。Scienceは2016年12月3日に編集者による懸念の表明を発表していて、副編集長のAndrew Sugdenは現在取り下げの文章を準備している、という。
(以下いろいろ略。)

  • ワクチン戦争

Science Vol 356, Issue 6336  28 April 2017の特集
The vaccine wars
ワクチン裁判:米国の裁判所は事実と虚構を分ける
Vaccines on trial: U.S. court separates fact from fiction
By Meredith WadmanApr. 27, 2017 ,
http://www.sciencemag.org/news/2017/04/vaccines-trial-us-court-separates-fact-fiction

最もリスクの高いワクチン?しないこと
The riskiest vaccine? The one that is not given
By Meredith WadmanApr. 27, 2017 , 1:15 PM
http://www.sciencemag.org/news/2017/04/riskiest-vaccine-one-not-given

何故ワクチンが害より利点が多いのかの目で見える証拠
Here’s the visual proof of why vaccines do more good than harm
By Jia YouApr. 27, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/04/heres-visual-proof-why-vaccines-do-more-good-harm

疑っている親は予防接種するよう説得できるのか?
Can skeptical parents be persuaded to vaccinate?
By Kai KupferschmidtApr. 27, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/04/can-skeptical-parents-be-persuaded-vaccinate

ワクチンについての4つの神話とそれらがどこから来たか
Four vaccine myths and where they came from
By Lindzi WesselApr. 27, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/04/four-vaccine-myths-and-where-they-came

  • 驚くことに、狩猟採集民は虫歯に悩んでいる

In surprise, tooth decay afflicts hunter-gatherers
Science 28 Apr 2017:Vol. 356, Issue 6336, pp. 362
http://science.sciencemag.org/content/356/6336/362
農業により砂糖やデンプンを食べ始めてから虫歯になったという説は新しい二つの研究でそれほど単純ではないとされる。

  • アダプトゲン:あなたの全ての患いのためのハーブ?

Adaptogens: Herbs for All That Ails You?
by Jeanine Barone | April 27, 2017
http://www.berkeleywellness.com/supplements/herbal-supplements/article/adaptogens-herbs-all-ails-you
我々はみんな家でも職場でもあるいは病気のためでもストレスを感じている。だからストレスによる悪影響への抵抗力をつける何かを探したいのは当然である。多様なハーブ化合物が、免疫強化、全体的健康促進、身体的心理的ストレスからの回復や抵抗力を強化すると宣伝されている。それらの中の一群にロシアの科学者Israel Brekhmanが1960年代初期に提唱した用語アダプトゲンと呼ばれるものがある。
アダプトゲンの概念は、一部はオーストリアの内分泌学者Hans Selyeが提唱した「一般的適応症候群」と呼ばれるストレス理論に基づく。これは基本的にストレスが人体に三つの段階をもたらすというもので、戦いに備える、ストレスに適応する、そしてストレスが長く続くと疲労する。アダプトゲンはストレスの影響を緩和し人体の機能を正常化し人体の自己治癒に役立つ一般的回復作用をもとものとされる。
この考えは西洋薬の主流に受容されていないが、アダプトゲンハーブが強さや生命力を強化できるという概念は伝統的東洋医学に内在する。そのためこうしたハーブはしばしば究極的には何でも治せる−魔法の、ミラクル治療薬と宣伝される。例えばDr. Ozはいつものようにあてにならないやりかたで「アンチエイジングのための魔法の錠剤」と呼んでいる。アダプトゲンを「力の源」と称賛しているサプリメント業界グループの一つですら、アダプトゲンのマーケティング宣伝は誇大広告で、研究結果を間違って提示している、あるいは「単なるファンタジー」と警告している。
他の多くのハーブ同様、アダプトゲンには質の高いヒト試験はほとんど無い。さらにその研究の多くは中国やインドでのもので、しばしばハーブ複合物を使っていて、何かに効果があったとしてもどれがそうなのか知ることは不可能である。
重要な問題の一つはハーブの多様性である。異なる種や品種のハーブには異なる化合物が含まれ生物学的性質も異なる。また植物の異なる部位(根や葉や茎など)では化合物の量は異なる。加工のしかたも生物活性に影響する。さらに多くの曖昧な効果宣伝を研究するのは難しい。例えば、「生命力」が増えたというのはどうやって測定する?そしてダイエタリーサプリメントに意味のある規制がほとんどないことから、あなたが買った製品に実際に入っているものを知ることは非常に難しい。
以下に7つの人気のあるアダプトゲンについて記す(説明略)
アシュワガンダ(Withania somnifera)
アストラガルス(Astragalus membranaceus)
エゾウコギ(Eleutherococcus senticosus)
ニンジン(Panax ginseng or Panax quinquefolius)
ホーリーバジル(Ocimum sanctum)
イワベンケイ(Rhodiola rosea)
チョウセンゴミシ(Schisandra chinensis)
アダプトゲンの有害影響
これらのハーブの多くは出血しやすくするので出血性の疾患があったり血液凝固抑制剤などの出血リスクを高くする薬を飲んでいる人、手術予定のある人にとって危険な可能性がある。また多くは血糖を下げるので糖尿病の治療薬を使用している人にもリスクとなる可能性がある免疫系の疾患や高血圧などの病気のある人はこれらのハーブを使用する前に医師に相談すること。妊娠または授乳中の女性は避けること。
基本
アダプトゲンを客観的に評価するのは困難である。それらの西洋での使われ方は伝統的使われ方とは違う。これらのハーブに含まれる化合物がいつの日か効果があると証明されるかもしれないが、それを薦められるようになる前にしっかりした研究が必要である。それまでアダプトゲンの病気を治すとか細胞をスーパーチャージするといった宣伝は信じないように。