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May 2017
https://ntp.niehs.nih.gov/update/index.html
・ブラックコホシュ−植物の試験のためのケーススタディ
消費者が植物成分のサプリメントを使おうかどうか決めるとき、安全か、効果はあるのかを考えるだろう。パッケージに記載されている免責事項を読むと、安全性や有効性についての宣伝内容はFDAによって評価されていないことを学ぶだろう。なぜなら連邦法では植物製品の市販前のそのような試験は求められていないので。
だから植物由来成分80ほどがNTPの試験対象候補に挙がっているのは驚くべきことではないだろう。女性の月経や閉経期症状用にと宣伝されているブラックコホシュ抽出物(BCE)もそのような物質の一つである。
NTPのブラックコホシュ試験へのアプローチは植物成分の評価に関する課題とプロセスを垣間見させる。NTPの遺伝毒性学者Stephanie Smith-Roe博士が4月7日にDuke大学で行ったセミナーでBCE試験について説明した。
植物とその製品は多様である
・使われている品種や部位
・他の植物や医薬品の混入
・金属やカビなどの汚染
・抽出物、チンキ。お茶等の製造法の違い
・必ずしも活性があるわけではない未知の化合物を含む無数の成分
・成分同士が相互作用する可能性
毒性試験
BCE試験のために、科学者は最初いくつかの市販製品を調べた。Smith-RoeはBCE に含まれる化合物は100以上あるという。植物性品に多数の化合物が含まれるのは珍しいことではない。何が有効成分なのかを同定するのもトピックの一つである。代表的な検体を用いて90日試験を行ったところ、意味のある毒性もエストロゲン活性も見つからなかった。BCEにはサリチル酸や他の神経伝達物質に影響する物質が含まれ、それが気分に影響しているのかもしれない、とSmith-Roeは示唆している
DNA傷害性を評価する
それから他の物質同様の遺伝毒性試験を行った。赤血球の染色体が傷害を受けているバイオマーカーがみつかった。遺伝毒性は安全上の懸念である。しかし組成が多様なことから他の製品も同様かどうかわからなかったので調べたところ確かに用量依存性の遺伝毒性があった。現在論文投稿準備中。
次は−化合物とメカニズム
もう一つわかったことはBCEを与えた動物に非再生性大赤血球性貧血という貧血がおこることである。このことは葉酸代謝が撹乱されていることを示唆する。遺伝毒性試験で観察されたような染色体異常もまた葉酸代謝の阻害で起こりうる。BCEが生殖可能年齢の女性に販売されていること、葉酸は先天異常に関連することを考え、NTPはBCEが細胞の葉酸またはビタミンB12利用にどう影響するのかを調べている。
人々については?
一方NIEHSの臨床研究者らは現在BCEを使用している女性に血液や何らかの健康指標に変化があるかどうかを調べている。動物での遺伝毒性試験の結果に興味をもち、それを使用している女性に同様の影響があるかどうか懸念している。この研究に参加したい女性はNIEHSブラックコホシュ研究のサイトで詳細を知ることができる。

(これの続き
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20160711#p10
言われている効果はないけれど害がある可能性があっても実際に犠牲者が確認できないと何もできないのがサプリメント。ただし米国ではFSMAがあるので食品なら多分規制できる。日本だとそれすらないし被害者を同定しようともしていない。)