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ミネラルオイルによる食品汚染を減らすためにANSESは助言を発表する

ANSES issues recommendations to reduce foodstuff contamination by mineral oils
09/05/2017
https://www.anses.fr/en/content/anses-issues-recommendations-reduce-foodstuff-contamination-mineral-oils
ミネラルオイル(ミネラルオイル炭化水素- MOHs)はミネラルオイル飽和炭化水素(MOSHs)とミネラルオイル芳香族炭化水素(MOAHs)から成る原油由来の複合混合物である。それらは紙のインクや接着剤、段ボール製食品梱包材に存在するため、これらのミネラルオイルは食品に移行することがある。ANSESは以前、包装から食品に移行するミネラルオイルによるリスクに関する専門家評価を行うよう求められた。この専門家評価の結論から、ANSESがMOH混合物の組成についてより詳しく性質を調べるよう助言することになった。さらに、特定のMOAHsに遺伝毒性と変異原性の性質が示されたことを考えて、ANSESはこれらの化合物による食品汚染削減を優先すべきだと確信し、いくつかふさわしい方法を提案する。
食品と接触するミネラルオイルの問題は、紙や段ボール製梱包材に包装された乾燥食品に特定の種類のミネラルオイルの存在を明らかにした、チューリッヒ州研究所(スイス)の仕事の後で明らかになった。
さらに、2012年の意見において、欧州食品安全機関(EFSA)はMOSHsへの暴露は懸念であり、MOAHsへの暴露は特に懸念となると考えた。EFSAはこれらのミネラルオイル炭化水素の特定カテゴリーに新しい毒性参照値を設定する必要があると強調した。
この関連で、競争、消費者問題及び不正利用検知総局はANSESに食品と接触する物質から移行するMOHs (MOSHs とMOAHs)の定義を提案するよう正式な要請を出した。ANSESは食品中のMOHs の存在に関連するリスクについての規則を作ることも求められ、もし毒性ベンチマークを設定するのが無理ならば、MOHsの化学的組成と毒性を特徴づける見解からの優先作業分野と現在欠けている点とをレビューするよう求められた。
ANSESの助言
ANSESは最初に、ミネラルオイル混合物の組成を決めるための特別で堅固な分析法の妥当性評価を助言する。ANSESはその混合物成分についてのよりよい知識が毒性上の助言をするための必要条件であると考え、特に消費者が暴露するMOSHsの代表的な混合物についての追加の毒性研究を行うことを助言する。
次にリサイクル紙と段ボール製梱包材由来MOHsによる食品汚染に関する追加データを得ることが必要になる。
特定のMOAHsに示されている遺伝毒性と変異原性を考えて、ANSESはこれらの成分による食品の汚染を削減するたことを優先すべきだと確信する。
それまでは、紙と段ボール製梱包材の主なミネラルオイル源について最初に行動することで、MOHsへの、特にMOAHsへの消費者暴露を制限することをANSESは推奨する。特に、ANSESは紙と段ボール製梱包材の製造工程でMOAH-フリーの印刷インク、糊、添加物、加工助剤の使用を推奨する。

さらに、リサイクル繊維で作られた紙と段ボール製梱包材の汚染が高いことから、リサイクル繊維のMOAH量を制限すべきである、この目標に向けたANSESの助言は:
・印刷部門(雑誌、新聞、他の印刷紙)でMOAH-フリーの印刷インク、糊、添加物及び加工助剤を使用する実現可能性を検査すること。実際、リサイクルチェーンに入った新聞や他の印刷媒体はリサイクル紙と段ボール製食品包装材の主なミネラルオイル源として確認されている。
・リサイクル紙と段ボール製梱包材へのMOHsの導入につながるリサイクル工程の段階(分類、紙パルプ製造など)を確認する研究を行うこと。これはリサイクル繊維の汚染を減らすために使用できる技術手段を確認するのに役立つ(より有効な分類、二次汚染の削減、インキ抜き工程の改善など)。
最後にANSESは梱包材から食品へのMOHsの移行を制限するためにバリアの使用を推奨する。紙と段ボール製梱包材に直接障壁として様々なコーティングをすること(PET、アクリレート、ポリアミドなど)は、実際に汚染物質の移行を制限するために文献で提案された一つの解決策である。他の障壁の有効性、特にデンプンベースのものも現在研究されている。