食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

新しい食品酵素暴露ツールは評価の道を開く

New food enzyme exposure tool paves the way for evaluations
10 May 2017
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/170510
EFSAの科学者はEU法の求める安全性評価を改善する、食品生産に使用する酵素の消費者暴露をより正確に推定する方法を考案した。
本日発表する4つの科学的意見は新アプローチを用いて残りの300申請の評価への道を開く。
このアプローチを開発した、食品と接触する物質、酵素、香料及び加工助剤に関するEFSAのパネル(CEF)の一員である暴露専門家のChristina Tlustos博士は述べた:「私達は食品酵素を含む各食品工程に適合可能な暴露ツールを開発した。このツールは技術的な変換係数を用いている、つまり食品摂取データと酵素使用量を結び付け、食品に移行する食品酵素量を考慮している。」
関係者からの情報提供
食品酵素作業グループ長でCEFパネルメンバーであるKarl-Heinz Engel教授は述べた:「作業グループの専門家はどの技術的データを使用するか決定した。このツールの開発中に関係者は役立つ知見と追加データを提供した。
「食品酵素使用量と食品摂取データ両方を調和させることで、以前よりもより正確にこれらの物質への消費者暴露を推定することができる。」
EFSAの評価が予定されている残り全ての食品酵素申請に、この同じ方法が適用される。
食品酵素とは?
酵素は化学的反応を触媒するタンパク質分子である。それはパンやビールなど食品の生産に何世紀にもわたって使用されている。
歴史的に、生きている生物が自然に生産し食品を作る成分に存在するため、酵素には毒性がなく消費者の安全上の懸念はないと考えられている。だが、今日の食品は工業的に生産された食品酵素を用いて作られてもいる。これらの酵素は植物や動物の組織から取り出したり、微生物の発酵で生産されたりする。
背景
工業的に生産された食品酵素は食品生産での使用が安全であることを保証するためにEC規則1332/2008で科学的評価対象である。EFSAは欧州委員会から300以上の食品酵素安全性評価の申請を受け取っている。
2016年9月にCEFパネルは個々の欧州市民から集めた実際の摂取データに基づく食品酵素の食事暴露のための新しい方法論を発表した。

オオムギ(Hordeum vulgare)から採取した食品酵素β アミラーゼの安全性評価に関する科学的意見
Scientific opinion on Safety evaluation of the food enzyme β amylase obtained from barley (Hordeum vulgare)
EFSA Journal 2017;15(5):4756 [22 pp.]. 10 May 2017
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/4756

・小麦(Triticum spp.) から採取した食品酵素β アミラーゼの安全性評価に関する科学的意見
Scientific opinion on Safety evaluation of the food enzyme β-amylase obtained from wheat (Triticum spp.)
EFSA Journal 2017;15(5):4754 [12 pp.]. 10 May 2017
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/4754

・ダイズ(Glycine max)乳清から採取した食品酵素β アミラーゼの安全性評価に関する科学的意見
Scientific opinion on Safety evaluation of the food enzyme β-amylase obtained from soybean (Glycine max) whey
EFSA Journal 2017;15(5):4757 [13 pp.]. 10 May 2017
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/4757

・遺伝子組換えクロコウジカビ系統XYLから採取した食品酵素エンド-1,4-β-キシラナーゼの安全性評価に関する科学的意見
Scientific opinion on Safety evaluation of the food enzyme endo-1,4-β-xylanase obtained from genetically modified Aspergillus niger strain XYL
EFSA Journal 2017;15(5):4755 [20 pp.]. 10 May 2017
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/4755
(食用酵素の総固形有機物量total organic solids (TOS)を申請者の提案した使用方法で計算。その量での毒性やもともとその酵素が含まれる食品から摂取される酵素の量と比較)