食品安全情報blog過去記事

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チョコレートと心房粗動についての論文への専門家の反応

SMC UK
expert reaction to paper on chocolate and heart flutter
May 23, 2017
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-paper-on-chocolate-and-heart-flutter/
Heartに発表された新しい研究で、科学者が適度なチョコレートの摂取と心房細動あるいは粗動の関連を調べた
エセックス大学スポーツ運動科学研究部長で臨床生理学(心臓病学)准教授Gavin Sandercock博士
この論文は「チョコレート摂取量の多い参加者は臨床的に明白な心房細動(AF)あるいは粗動の率が低かった」と述べているが、これは事実ではない。週に1-6回チョコレートを食べる人のリスクがほとんど食べない(月に一回以下)人より低かったが、毎日食べる人との差はない。もしAF/粗動の少なさがチョコレートが原因なら、たくさん食べたほうがリスクが低くなるはずだがそうはなっていない。
チョコレート摂取量が最も少ない集団は奇妙な集団で、血圧が最も高くコレステロール濃度も高く心疾患の既往症も2倍である。全体の中で最もカロリー摂取量が少ないのに太っている。運動も最も少ない。
単純に言って、この集団は全体の中で最も不健康な集団である。つまりどの群もこの集団よりは健康的に見えるだろう。従ってこの群との比較は何らかの誤解を招くものだろう。
チョコレートを食べるのが月に一回以下の人は5人に1人だけである。理由はわからないが、この集団の人の糖尿病の割合が他の集団の5倍であることは注記する必要があるだろう。つまりチョコレートをあまり食べないのは糖尿病のために食事制限している可能性がある。
AFはそれほど重大な問題ではなく、害のないことが多い。従ってチョコレートがAFに「ベネフィットがある」というのは奇妙である、特にこのようながんリスクを調べようとした研究デザインの場合には。
シェフィールド大学心血管医学准教授で心臓相談医のTim Chico博士
一部の研究がチョコレートを食べるのは心臓にいいかもしれないと言うが、健康に関する話がうますぎるときには、残念ながら大抵事実ではない。
この研究ではチョコレートを食べる人はよくある不整脈のリスクが低いことを発見したが、そのメリットは月に一回以上で、それ以上食べても何のメリットもなさそうである。さらにこの研究ではチョコレートを食べる人の方が痩せていて健康的である。私はチョコレートではなくこちらのほうが大きく関係しているのではと疑う。