食品安全情報blog過去記事

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論文

  • オーストラリア、ヨーロッパ、米国のソフトドリンクの砂糖含量

The sugar content of soft drinks in Australia, Europe and the United States
Pia Varsamis,et al.,
Med J Aust 2017; 206 (10): 454-455.
https://www.mja.com.au/journal/2017/206/10/sugar-content-soft-drinks-australia-europe-and-united-states
オーストラリアのソフトドリンクは主にサトウキビ由来のショ糖で甘くし、米国では高果糖コーンシロップ、欧州では甜菜糖であるため、ショ糖、果糖、ブドウ糖の含量は地域により異なる。
ファンタ、スプライト、コカコーラ、ペプシの名前で販売されている5検体の糖の濃度を豪州、欧州、米国で調べた(つまり60検体)。欧州代表としてはイタリアを選択、人工甘味料は含まない異なるロットの検体を調べた。
豪州と欧州のソフトドリンクは米国のソフトドリンクより平均総ブドウ糖濃度が高い。米国は果糖が多い。
(これは米国が高果糖コーンシロップ使ってるから、というだけのこと。何故かメディアでは「オーストラリアのソフトドリンクは他の国より砂糖が多い」と報道されている
Aussie soft drinks found to have more sugar than rest of the world
Monday, 5 June 2017
https://thewest.com.au/lifestyle/health-wellbeing/aussie-soft-drinks-found-to-have-more-sugar-than-rest-of-the-world-ng-b88498356z
ブドウ糖の濃度が米国より22%多い」と。Sugarはブドウ糖だけを指すわけではないはずなのだが。甜菜もサトウキビもショ糖メインであることに違いはないはず。)

  • 包装済み食品や飲料から家庭が得るナトリウムの量は減った?

Did amount of sodium households acquire in packaged food, beverages decrease?
5-Jun-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-06/tjnj-dao060117.php
JAMA Internal Medicineに発表された新しい論文は、過去15年で包装済み食品のナトリウム含量が変わったかどうかを調べた。
Nielsen社の2000年から2014 年の包装済み食品と飲料購入に関するNielsen 家庭調査消費者パネルデータを用いた。この調査では家族が購入したものをバーコードスキャナーを使って記録する。172042の米国家庭のサンプルでは:
・包装済み食品や飲料購入由来のナトリウムは2000年から2014年の間に一人一日あたり396mg減って2363mg/dから1967 mg/dになった。
・包装済み食品のナトリウム含量も約12%減った
・ナトリウム含量は全ての主要ナトリウム源となる食品で減っている
・それでも望ましいナトリウム濃度1.1mg/kcal以下の総購入である家庭は2%以下
この研究の限界には、家庭での全ての購入・消費が記録されている分けではないことも含む

  • ナッツアレルギーの診断と管理のための初めての単一のガイダンス

First ever single guidance published for investigating and managing nut allergy
5-Jun-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-06/w-fes060517.php
英国の専門家団体による、最近の研究と専門家の見解をひとつにまとめたガイダンスをClinical & Experimental Allergyに発表。

Cesarean Delivery and Body Mass Index at 6 Months and Into Childhood
Pediatrics May 2017
Rebecca Kofod Vinding et al.,
http://pediatrics.aappublications.org/content/early/2017/05/29/peds.2016-4066
世界中で帝王切開による出産(CD)が増えていて子どもの肥満も増えていて関連があるという研究がある。そこで生まれたときから子ども期までのBMIを追跡した。結論としてCDで生まれた子どものBMIは6か月時点でそうでない子どもより高いが子ども期(5才、13才)まで続くことはない。CDが肥満の原因だという仮説は支持しない。

  • 何がMonterey Bayでの観察された中で最も有毒な藻類の大発生を引き起こしたのか?

What caused the most toxic algal bloom ever observed in Monterey Bay?
5-Jun-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-06/mbar-wct060517.php
2015年の春遅く、北米西海岸は記録にあるなかで最も有毒な藻類の大発生を経験した。その大発生は魚や海鳥やアシカなどの野生動物に影響し、カリフォルニアからワシントンにかけての漁業を閉鎖させた。科学者はその大発生がPseudo-nitzschia属の珪藻類であることを発見したが、何故これらがそんなに高い毒性を示すようになったのかはわからなかった。Geophysical Research Lettersに発表された新しい論文は、少なくともMonterey 湾では、この大発生で藻類が特に毒性が高くなった理由は湾の水のケイ酸と硝酸の比が著しく低くなったためであることを示した。
Pseudo-nitzschia属の珪藻の一部はドーモイ酸という強力な神経毒を作るが、研究者らは何故一部の大発生が特に毒性が高いのかを明確にしようとしている。2015年の大発生はMonterey 湾でのECOHABという大規模生物実験と同時におこった。
(以下長い説明。私達は海のことをよく知っているわけではなく、変動する環境の中で、いつシーフードが毒化してもおかしくない)