食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 研究は、食品の導入を遅らせることは感作リスクを増やすことを発見

Study finds delayed food introduction increases risk of sensitization
8-Jun-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-06/mu-sfd060817.php
Pediatric Allergy and Immunologyに発表されたカナダ健康乳児縦断発達(CHILD)研究の新しい知見。アレルギーの原因となる可能性のある食品を赤ちゃんが一才になるまで食べさせないことは、その後の食物アレルギーになる可能性を増やす可能性がある。
またこの研究ではカナダの多くの親がアレルギーの原因となる可能性のある食品を与えることを遅らせていることも明らかにした。卵を生後6か月以内に与えているのはたった3%、ピーナッツはたった1%である。さらに最初の1年にピーナッツを完全に避けているのは63%になる。
(アレルギーになる可能性のある食品は離乳食ではあまり早くから食べさせないように、ということはしばらく前までよく言われていたと思う。それこそが食物アレルギー増加の原因だったとしたら罪深いことだ。しかもその根拠にはデータの捏造まで関与している。現時点では「アレルゲンは6か月前後で導入」、だから大幅修正と言っていい)

  • 研究がタバコの発がん物質削減は続かないことを発見

Study finds failure to sustain reductions in carcinogens in cigarettes
8-Jun-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-06/oupu-sff060817.php
Nicotine & Tobacco Researchに発表された研究によると、カナダで販売されているタバコの、強力な発がん物質であるタバコ特異的ニトロソアミン類(TSNAs)のレベルは、2000年のオンタリオ政府の助成後一時的に減ったが2007年以降は増加している。

  • アイオワ大学の研究は肥満と食品容器化合物代用品の関連を検討

University of Iowa study examines link between obesity, food container chemical subsitutes
9-Jun-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-06/uoi-uoi060817.php
Lancet Planetary Healthに発表されたアイオワ大学の研究。ビスフェノールAの代用品として「BPAフリー」製品に使われているビスフェノールFとビスフェノールSについて、肥満と関連するかどうかを検討した。CDCの行った全国調査のデータを用いて、BPAと肥満の増加は関連するがBPSとBPFは関連がなかった。ただし世界に流通しているこの種の化合物の半分以上はBPAが占めていて、アメリカ人のBPSとBPF濃度はBPAの約1/4である。
(本気でBPAのせいで太ってると思っているのだろうか?普通はたくさん食べるから太るし食品容器から溶出する物質も多く摂るのは当然だろうと思うのだが)

Scienceニュース
How to tell whether that whiskey is fake
By Ryan Cross Jun. 8, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/06/how-tell-whether-whiskey-fake
ドイツの研究者らが合成蛍光色素を使って異なるウイスキーを分類する方法をChemに報告している。この方法は特定のウイスキーをそれだと同定することはできないが、怪しいサンプルを既知のものと比較するのに使える。この方法は他の食品や飲料や香料のにせ物や不純物を排除する目的でも利用できる可能性がある。
A Hypothesis-Free Sensor Array Discriminates Whiskies for Brand, Age, and Taste
Jinsong Han et al.,
http://www.cell.com/chem/fulltext/S2451-9294(17)30174-2