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飲酒、喫煙する人が体内の重金属の濃度がより高い 

食品危害評価課/有害物質基準課 2017-06-13
http://www.mfds.go.kr/index.do?mid=675&pageNo=3&seq=37570&sitecode=1&cmd=v
食品医薬品安全処は体内重金属濃度に影響を及ぼす要因を調査した結果食品からの暴露以外にも飲酒‧吸煙する生活習慣とカルシウム‧鉄分などを十分に取らない食習慣が体内重金属濃度を高めることがわかったと発表した。
○ 今回発表は国民を対象に‘10年から’15年まで体内重金属濃度変化を追跡調査して体内重金属濃度と食品摂取、生活習慣などとの関連性を分析した結果である。
‘10年1次調査では4,000人を対象にしこのうち870人に対しては’15年まで2次追跡調査を実施した。
調査の結果国民の体内重金属濃度は‘10年に比べて‘15年には鉛12%(2.13㎍/㎗→1.87㎍/㎗)、カドミウム2%(1.04㎍/L→1.02㎍/L)、水銀23%(3.78㎍/L→2.91㎍/L)減少した。
○ 食品からの重金属暴露量も鉛0.175 ㎍/kg b.w./day、カドミウム0.235 ㎍/kg b.w./day、水銀0.085 ㎍/kg b.w./dayで1次調査に比べて低くなった。
* ‘10年1次調査での食品由来暴露量は鉛0.205 ㎍/kg b.w.day、カドミウム0.260 ㎍/kg b.w./day、水銀0.110 ㎍/kg b.w./day
これはこれまで食薬処が重金属基準規格管理を通じて暴露量を持続的に減らした結果で、国民の体内重金属濃度の減少に一部影響を与えたと解析される。
○ 体内鉛と水銀濃度は男性が女性より高かったが、食品からの暴露量には性による違いがなく食品以外の他の暴露要因(飲酒、喫煙など)が影響を与えることが明らかになった。
<飲みすぎは体内重金属濃度を高める>
○我が国成人のうち酒を飲む人(1週間に4杯以上)が飲酒しない人に比べて体内重金属濃度が鉛は54%、カドミウムは11%、水銀は89%も高かった。
* 飲酒回数: 酒を一杯でも飲む場合飲酒回数を1回とみなす
*鉛(㎍/㎗): 飲酒3.04,非飲酒1.97 / カドミウム(㎍/L): 飲酒1.19, 非飲1.07/ 水銀(㎍/L): 飲酒5.94, 非飲酒3.14
これは飲みすぎ習慣を持った人々は日常生活でバランスの取れた食習慣を維持しにくくカルシウム、鉄分など栄養成分を十分に取ることができなくて、その結果カルシウムなど栄養成分が体内に吸収されなければならないところに重金属が代わりに吸収されて体内重金属濃度が高くなったと解析される。
また、アルコールはカルシウム‧鉄分‧葉酸など栄養成分の吸収を妨害して体内重金属濃度を高めて、飲みすぎが体内免疫力を低下させてこれによってマクロファージなどによる重金属除去能力を低下させると知られている。
*飲酒回数が多い人の生活はそうではない人に比べてバランスの悪い食習慣や喫煙などの生活習慣を持つ可能性が高い <遺伝的特性が飲酒習慣に影響 体内鉛濃度高くなる>
○一般的に体内鉛濃度に影響を及ぼす遺伝的特性であるアルコール代謝物質分解酵素(アセトアルデヒド分解酵素ALDH2)と関連して我が国国民を対象に調査した結果でもALDH2遺伝子と体内鉛濃度の間に相関性があると明らかになった。
ALDH2遺伝子型は大きくアルコール代謝物質分解能力が高いGG遺伝型と分解能力が低いAA遺伝型に分けられ、GG遺伝型を持った集団(2.26㎍/㎗)がAA遺伝型を持った集団(1.98㎍/㎗)に比べて体内鉛濃度が14%高かった。
ALDH2酵素はアルコールの代謝物質であるアセトアルデヒド分解酵素であり、GG遺伝子型集団の飲酒割合は81.4%、AA遺伝子型集団の飲酒割合は10%
カドミウムと水銀に対する遺伝的特性分析は現在進行中で評価が完了すれば公開する予定である。

<喫煙者が体内重金属濃度さらに高い>
○喫煙習慣も体内重金属濃度を高めることがわかったが、喫煙者が非喫煙者に比べて体内濃度が鉛は30%、カドミウムは23%、水銀43%が高かった。
* 鉛(㎍/㎗): 喫煙2.61,非喫煙2.01 / カドミウム(㎍/L): 喫煙1.27,非喫煙1.03/ 水銀(㎍/L): 喫煙4.93,非喫煙3.45
特に、男性の場合飲酒と喫煙を同時にする集団が非飲酒非喫煙集団に比べて体内重金属濃度が2倍以上高かった。
○ 吸入による体内吸収率が経口(摂取)による体内吸収率より高いので喫煙によりタバコ自体が持つ重金属など有害物質が体内に入って来て体内重金属濃度を高めると解析される。
*吸入暴露時体内吸収は鉛50-80%、カドミウム25-50%、水銀80-95%水準; 経口暴露時体内吸収は鉛10-20%、カドミウム2-6%、水銀1-7%水準<魚介類、牛乳摂取食習慣が体内重金属濃度を下げるのに役立つ>
○ ‘10年から’15年まで体内重金属濃度を追跡調査した結果を土台に重金属濃度が30%以上減少または増加した集団の食習慣を分析した結果、体内重金属濃度が減少した集団が増加した集団に比べて魚介類、乳製品をたくさん摂っていることがわかった。
○ これはカルシウム、葉酸、鉄分を豊富に含む魚介類、乳製品を取る食習慣が体内重金属濃度を下げるのに役に立つと解釈される。
参照でカルシウム‧鉄分は体内重金属吸収を妨害して、重金属排泄に助けになる栄養成分と知られている。
食薬処はまた実生活で▲禁酒‧禁煙などの生活習慣改善▲カルシウム‧鉄分など栄養成分が豊かな食品を取るバランスの取れた食習慣が体内重金属濃度を減らすということを確認した。
○ 調査対象中体内重金属濃度が高い78人について生活習慣と食習慣改善のための教育を3ヶ月間4回実施した結果、教育を受けた後体内鉛と水銀の濃度が各々26%、15%減少した。
* 鉛: 2.33 ㎍/㎗ → 1.72 ㎍/㎗、水銀: 7.79 ㎍/L → 6.65 ㎍/Lで減少
カドミウムは体内残留性が長い特徴のため短期間では減少効果が現れなかったが持続的な教育及び生活習慣改善を通じて減らして行くことができると考える。
○ 今回の結果は認識改善だけでも実生活で飲酒、喫煙、食習慣などの変化をもたらして体内重金属濃度を減らして行くことができるということを示すので、飲酒‧喫煙などの生活習慣と食習慣改善を通じて持続的に暴露を減らすことができると確認された。

□ 食薬処は体内重金属濃度を下げるためには▲カルシウム、鉄分など栄養成分が豊かな食品をバランス良く取る食習慣を維持して▲禁酒、禁煙などの生活習慣改善などが必要であるとお願いする。
○ 食薬処は今後も重金属体内暴露を持続的に観察して健康影響評価と教育などを通じた重金属低減化を実践する計画である。
○ 同時に食品中重金属モニタリング拡大、周期的評価及び基準再評価結果公開、幼児‧妊婦などを対象に‘生活の中で重金属暴露を減らす要領’など国民安心情報を持続的に提供して行く予定である。