食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 過去最大の、議論のある農薬についての研究がミツバチへの害を見つける

Natureニュース
Largest-ever study of controversial pesticides finds harm to bees
Daniel Cressey 29 June 2017
http://www.nature.com/news/largest-ever-study-of-controversial-pesticides-finds-harm-to-bees-1.22229
科学者は企業がお金を出した仕事でネオニコチノイドの有害性を確認したという、しかし製造業者はその結論に疑問
Scienceに6月29日に発表された英国生態学水文学センターのRichard Pywellらの大規模野外試験で、全体としてネオニコチノイドへの暴露はミツバチの集団に有害で、特にミツバチが冬眠から生き残る能力を減らすと研究者は言う。しかしこの研究の主な資金を提供したBayer CropScience とSyngentaは科学者の結論に疑問を提示する。
この研究では全体としてネオニコチノイドがネガティブな影響があることを発見したがその結果はそれほど明確ではない。この殺虫剤は英国とハンガリーの地域では害があるように見えたがドイツでは見かけ上ポジティブな影響がある。お金を出した企業は著者らのデータ解析と結論に疑問を提示している。データからはネオニコチノドが安全に使える状況があることが示されているのに、結論は「非常にネガティブ」でフェアではない、とSyngentaのPeter Campbellは言い、バイエルのChristian Mausも著者の結論と統計解析に疑問を指摘する。
同時にScienceに発表された別の研究では北米の状況を調べている。オンタリオ農業食品地方省の出資したカナダでのトウモロコシ栽培地区でのミツバチへのネオニコチノイドの定期的使用の影響を調べた。最大の驚くべき発見は全シーズンでネオニコチノイドが検出されたことである。また抗真菌剤と組み合わせるとミツバチの状態はさらに悪くなる。
これら全ての研究が明らかにしたのはシステムの複雑さである。
(いろいろ略)

  • 議論のある殺虫剤はミツバチを殺すことができる、大規模研究が発見

Controversial pesticides can decimate honey bees, large study finds
By Erik StokstadJun. 29, 2017 ,
http://www.sciencemag.org/news/2017/06/controversial-pesticides-can-decimate-honey-bees-large-study-finds
Scienceのほうは論文のみ

Country-specific effects of neonicotinoid pesticides on honey bees and wild bees
B. A. Woodcock et al.,
Science 30 Jun 2017:Vol. 356, Issue 6345, pp. 1393-1395
http://science.sciencemag.org/content/356/6345/1393
Chronic exposure to neonicotinoids reduces honey bee health near corn crops
N. Tsvetkov et al.,
Science 30 Jun 2017:Vol. 356, Issue 6345, pp. 1395-1397
http://science.sciencemag.org/content/356/6345/1395

Time trends in radiocaesium in the Japanese diet following nuclear weapons testing and Chernobyl: Implications for long term contamination post-Fukushima
Jim T. Smith et al.,
Science of The Total Environment
Volumes 601–602, 1 December 2017, Pages 1466–1475
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0048969717313487
(ファーストオーサーの所属は英国ポーツマス大学、他二名は国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構、自然環境研究評議会の試験提供によるオープンアクセス)
福島第一原子力発電所事故後の主な汚染物質はセシウム
・我々は福島事故以前の、50年以上に渡る4000以上の日本のセシウム測定を解析した
・食材や食事中のセシウムの経時変化が同定された
・福島前後で比較的一定の時間変化がみられる
・1959-2009年のデータのモデルが線量予想と管理に情報提供できる
(いろいろ計算しているが1日当たり食事から0.1ベクレルとか、気にする必要があるのか、というレベル。放射線分析の感度が高いということがコミュニケーションにとって難題であることを再確認。一部の化学物質もそうなんだけど。結論としてはもっとも汚染の大きかった福島の地方ですら核実験時代の汚染と同程度なので今後の傾向は予想可能とのこと)