食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

食品サプリメントと妊婦:ANSESは必要性が認められないのに、複数のビタミンとミネラルを組み合わせて摂ることに対して警告する

Food supplements and pregnancy: ANSES warns against combining multiple sources of vitamins and minerals, in the absence of an identified need
07/06/2017
https://www.anses.fr/en/content/food-supplements-and-pregnancy-anses-warns-against-combining-multiple-sources-vitamins-and
ANSESが監視する国家ニュートリビジランス計画のもと、妊婦用食品サプリメントの絡んだ新生児の高カルシウム血症と先天的な甲状腺機能低下症の事例が報告されている。これらの報告によりANSESは妊婦用のビタミンDヨウ素を含む食品サプリメント摂取に関連するリスクを評価することになった。本日発表される意見では、ANSESは必要性が認められないのに複数のビタミンとミネラルを組み合わせて摂ることに対して警告している。特に定期的な生物学的モニタリングを行わないでビタミンとミネラルを複数摂取源から摂らないことの重要性に対し医療従事者に注意喚起している。ANSESはまた、最初に医療従事者の助言を求めることなく食品サプリメントを摂取すべきでないと妊婦に再確認している。
国家ニュートリビジランス計画のもと、全て十分に確認された妊婦用食品サプリメントの摂取に関連する可能性がある、5例の新生児の高カルシウム血症と2例の先天的甲状腺機能低下症がANSESの注意を引いた。これらの有害影響の報告によりANSESは妊婦用食品サプリメントによるビタミンDヨウ素の摂取に関する内分泌及び代謝リスクを評価することにした。
新生児の高カルシウム血症ビタミンD
受け取った報告の分析から「妊婦用」食品サプリメント由来ビタミンDの用量はそれ自体で妊婦や健康な胎児の高カルシウム血症につながる恐れはないことが示された。
しかしながら、ビタミンDへの遺伝的高感受性は高カルシウム血症につながる恐れがある。ニュートリビジランス計画で報告された事例では、当時めったに行われなかったビタミンD過敏症になりやすい遺伝子突然変異のスクリーニングにより、観察された高カルシウム血症の原因を確認することができただろう。
先天的な甲状腺機能低下症とヨウ素
適切なヨウ素摂取状態は正常な神経及び行動発達のために必要である。他方、妊娠中のヨウ素の過剰摂取(経口及び経皮)は、新生児の甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、甲状腺腫のリスクを増す。
ニュートリビジランス計画で受け取った十分確認された先天的な甲状腺機能低下症の2事例では、ヒトが暴露した唯一のヨウ素源ではなかったため、入手可能なデータでは食品サプリメントが原因だと正式に確定することはできなかった。
ANSESの助言
明確にニュートリビジランス報告の対象であるビタミンDヨウ素の事例に加えて、ANSESは必要性が認められないのにビタミンとミネラルを複数摂取することに対して警告する。実際、いくつかの事例ではこれが安全限度を超える恐れがある。
ANSESは以下の助言を発表している:
妊婦向け:
・ANSESは妊婦に、最初に医療従事者の助言を求めることなく食品サプリメントを摂取しないよう再確認する。処方でも店頭で購入する場合でも、医師、薬剤師、助産婦に彼らが取るあらゆる製品(薬や食品サプリメント)の情報提供をするよう助言する。 
医療従事者向け:
ビタミンD過敏性の場合、高カルシウム血症が新生児の健康に与える帰結については、適切な予防措置を取るよう求めた。高カルシウム血症が確認された場合には、適切な検査で原因を調べ、妊婦のビタミンDサプリメントの可能性を再検討する必要がある。
・新生児の、説明できない高カルシウム血症ビタミンDへの遺伝的過敏性に関連することがある。説明できない高カルシウム血症の事例では、そのため、その子供の高カルシウム血症の遺伝的変異の可能性のいついて検査し、適切な手段をとることが重要である。
ヨウ素の複数の供給源(薬や食品サプリメントによる)への同時暴露は新生児の甲状腺疾患リスクが増すので妊娠中は避けなければならない。
・ANSESは定期的に生物モニタリングせずにビタミンとミネラルの様々な摂取源を組み合わせないことが重要だと強調している。
最後にANSESは、食品サプリメントの摂取に関連する可能性がある、医療従事者が気付いたあらゆる有害影響をニュートリビジランス計画に通知する重要性を、再認識する。