食品安全情報blog過去記事

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砂糖の摂取とこどものアレルギー−専門家の反応

SMC NZ
Sugar consumption and childhood allergies — Expert Reaction
July 6th, 2017.
https://www.sciencemediacentre.co.nz/2017/07/06/sugar-consumption-childhood-allergies-expert-reaction/
英国の新しい研究が、妊娠中の砂糖の摂取量が多いことが子どものアレルギー性喘息やアレルギーのリスクを増やすかもしれないと示唆する。European Respiratory Journalに発表された研究では、英国の集団ベースの出生コホートであるAvon親子縦断研究のデータを用いて母親の妊娠中の砂糖の摂取量と子どもが7-9才の時のアレルギー診断、喘息、花粉症、肺機能に関連があるかどうかを調べた。研究者らは妊娠中に砂糖を多く食べた母親の子どもがアレルギーの可能性が高いことを示したものの、これは他に原因がある可能性があり、母親の食習慣がアレルギーの原因であることを意味しない。
英国SMCが専門家の反応を集めた。
Open大学応用統計学名誉教授Kevin McConway
これは相当数の親子を調べた質の高い調査であるが、あまり大げさに受け取らないことが重要だ。著者らはいくつかの重要な欠点を、論文中でもプレスリリース中でも記述している。これは観察研究であり因果関係は確立できない。著者らは多くの交絡要因をリストアップしている。また関連があるのは検討されたアレルギーのうちの一部のみである。
Royal Free London Foundations NHS Trustの小児科相談医で小児科と子どもの健康王立学会(RCPCH)広報Rahul Chodhari博
我々は母親の健康が子どもの健康に影響することを知っている。この研究は興味深い。しかしこのコホートは子ども達のアトピーが増えるより前のもので、砂糖の摂取量推定が難しいことやアレルギー性疾患には多数の要因が関与するなどのことから解釈には慎重になる必要がある。因果関係の証明と公衆衛生政策の変更にはさらなる研究が必要であろう。それまでは現在のガイドラインに従って、食事は多様のあものをほどほどに、体重はしっかり管理するべきであろう。
Manchester大学免疫学上級講師で英国免疫学会代表Sheena Cruickshank博士
この研究は大きなデータについてたくさんの仕事をしたもので、妊娠中の母親の遊離の砂糖摂取と子どもの7才の時点でのアレルギーやアレルギー性喘息の間に小さな関連があることを報告している。これらの知見からはその影響がどれほど強いのかはわからない。関連を示しただけで因果関係かどうかはさらなる研究が必要である。アレルギーやアレルギー性喘息などのアトピー性疾患には遺伝や環境などの多くの要因が関与する。