食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

SMC UK

  • トリクロサンと抗生物質耐性の研究への専門家の反応

expert reaction to study of triclosan and antibiotic resistance
July 3, 2017
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-of-triclosan-and-antibiotic-resistance/
Journal of Antimicrobial Chemotherapyで科学者が抗生物質耐性がトリクロサンで悪化する可能性があると主張する
St George’s, University of Londonの感染と免疫研究所Jodi Lindsay教授
我々の人体や家庭環境は細菌の生態系で、これらが抗菌剤に暴露されると耐性のあるものは生き残り残りは死ぬ。この研究は既にフルオロキノロン耐性の細菌がトリクロサン暴露で生き残る可能性を示した。この研究はトリクロサンが抗生物質耐性の原因であることを示したわけではない。家庭用殺菌剤の全てが抗生物質耐性細菌を選別するわけではないが、トリクロサンはしそうである。これらの製品の使用を制限することを検討すべきであろう。
Nottingham大学分子微生物学准教授Kim Hardie博士
この研究は実験室で行われたもので、現実生活での状況を調べる必要がある。この研究はトリクロサンを禁止した他の国に倣って英国の家庭や病院での日常の行いを変える決定をするのにさらなる情報が必要であることを強調する。
London School of Hygiene & Tropical Medicineの感染症と熱帯病学部長Brendan Wren教授
この研究は抗生物質使用を減らす必要があるというさらなる根拠を提供する。

  • 軽度認知機能不全用「脳トレ」アプリについての専門家の反応

expert reaction to ‘brain training’ app for mild cognitive impairment
July 3, 2017
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-brain-training-app-for-mild-cognitive-impairment/
The International Journal of Neuropsychopharmacologyに軽度認知機能不全を改善する「脳トレアプリ」を開発したという報告があった
UCLの高齢者精神科教授Robert Howard教授
多くの研究が発表されているが、我々はいまだに認知機能訓練や練習が高齢者やアルツハイマー病患者の認知機能を改善するポジティブな作用があるのかどうかを知らない。この研究は対照群のないオープン試験で、神経心理学的試験の点数がほんの少し上がったことの意味がどのくらいあるのかを知るのは困難である。多分もっとも重要なのは参加者が楽しんだということである。最終的に何の利点もなかったとしても(私はそう思う)少なくとも参加者は楽しかった。
エジンバラ大学准教授で総長のフェローで認知及び神経システムセンター暫定部長Tara Spires-Jones博士
この結果はこれまでの、軽度認知機能不全のある人に認知機能訓練は記憶を改善するという結果を再確認する
Alzheimer’s Research UKの研究部長Carol Routledge博士
認知症と診断されることへの恐怖がかつてなく高くなっているため、脳トレなどに関心が高い。精神的に活動的であることは脳に良い影響があると報告されているものの、特定の訓練の影響は明確ではない。この研究の影響の一部は人々が研究チームと関係をもったことによるだろう。認知症を予防する確実な方法はないが、現状の最良の根拠は、身体的精神的に活発でありつづけ、健康的でバランスのとれた食生活をし、タバコは吸わず、飲酒はほどほどにして体重とコレステロールと血圧を維持することである。