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INCA 3:摂取習慣と行動様式の変化、食品安全と栄養の新しい課題

INCA 3: Changes in consumption habits and behaviours, new challenges for food safety and nutrition
12/07/2017
https://www.anses.fr/en/content/inca-3-changes-consumption-habits-and-behaviours-new-challenges-food-safety-and-nutrition
本日ANSESは、INCA 3、第3回フランス人の食品摂取と食習慣に関する調査の結果を発表する。この大規模栄養調査では2014-2015年におよそ200のインタビューを集め、5800人以上の人(18-79歳の成人3157人、0-17歳の子供2698人)が参加した。参加者は生活様式と食習慣に関する150の質問を聞かれ、摂取した320,000食品のデータを集めた13,600日分の摂取が記録された。フランス人の食品摂取習慣のスナップ写真を更新するのに全部で6年間かかった。
平均してフランス人は一日に2.9 kgの食品、すなわちおよそ2200 kcalを摂取し、そのうち50%は飲料である。女性は一般的にヨーグルト、白いソフトチーズ(フロマージュブラン)、フルーツピューレ、家禽肉、スープを好む。男性はといえば、チーズ、肉、デリカテッセンの肉、ジャガイモ、クリームデザートを楽しむ傾向がある。フランス人は加工製品をさらに摂取していて、2007年より食品サプリメントが明らかに増え、塩分過多で、最も重要なのは繊維不足である。
さらにリスクを引き起こす可能性のあるいくつかの習慣もある:動物由来の生製品の摂取が増えていること、常に適切ではない冷蔵庫の温度、賞味期限を超える頻度がさらに多いこと。
最後に、フランスの運動とじっとしている時間の量は不適当だといえるだろう:運動は集団の大部分で不足しており、毎日画面の前で過ごす時間(労働時間外の)が増え続けて、過去7年間で子供で20分間、成人で1時間20分間増えている。
INCA 3調査が出したこれらの新しいデータは食品分野の機関が行う作業にきわめて重要である。欧州レベルの統一された手順の枠組みで実施されたこの作業によりフランス人の現在の習慣に沿って助言ができるようになる。
INCA調査は食品に関するリスクを評価する必須のツールである。これはフランス人の習慣についての知識 (食品の選択、調理、食品サプリメントの摂取、運動とじっとしている時間) を改善する。後に食品摂取に関するANSESのデータベースと結びつけて、食品に存在する有益物質の摂取量を決める(ビタミン、必須脂肪酸など)。
フランス人の食事
平均して10歳までの子供は一日当たり1.6kgの食品と飲料を摂取する。この量は11-17歳までの年齢の青年では2.2 kg、18-79歳の成人では2.9 kgに増える。飲料はこの一日摂取量の半分以上を占め、摂取される飲料の半分を水が占める。
INCA 3調査によると、男性は女性より多く食べる。女性はヨーグルト、白いソフトチーズ(フロマージュブラン)、フルーツピューレ、家禽肉、スープ、暖かい飲料を好み、一方男性は穀物製品、チーズ、肉、デリカテッセンの肉、クリームデザートが好きである。
フランス人の食事には高い割合で加工食品が含まれていて、まだ塩分過多である(平均して男性9 g/日、女性7 g/日、フランス国家健康と栄養計画の目標はそれぞれ8 g/日、 6.5 g/日)。繊維の摂取量(成人の平均は20 g/日)はANSESの助言(30 g/日)と比較してまだ低すぎるようだ。フランス人は自分自身で、あるいは友達や親族が作る多くの食品(個人の井戸からの水を含む)と同じ様に、多くの食品サプリメントも摂取している。
年齢、性別、教育レベル、宗教による行動様式で差異がある。例えば65-79歳の成人は自宅で作った食品をより多く摂取し、男性は動物由来の生の食品をより多く摂取し、少なくとも4年間の高等教育を受けた人は果物をより多く摂取し、冷たいノンアルコール飲料の摂取は半分で、大都市居住者は、農村地域居住者(デリカテッセンの肉、野菜、チーズを多く摂取する)より多く魚、菓子、チョコレート、フルーツジュースを摂取する、など。
より大きな健康リスクを引き起こす可能性がある新しい行動様式
INCA 3調査の結果は食品の微生物学的安全性に関する新しい問題の発生を示している。実際、INCA 3調査では、リスクを引き起こす可能性のある多くの行為がより頻繁である:動物由来(主に魚と牛肉)の生の食品の摂取が増え、傷みやすい食品の摂取前の保存時間が長くなり、賞味期限はより頻繁に超過し、冷蔵庫の不適切な温度が時々見られる。
さらに、フランス人の体重と運動量の状況は不適切なままである。2014-2015に、子供と青年(17歳までの)の13%と18-79歳の成人の34%は太りすぎで、それぞれ4% と17%は肥満だった。さらに、動かない行動様式がある人は注意が必要で、11-14歳の青年の半数と、15-17歳の青年の3分の2と、18-79歳の成人の80%以上は懸念される。7年間で、画面の前で過ごす一日の平均時間は、仕事/ 勉強時間を除いて、子供で20分間、成人で1時間20分間増えていた。
そのため国家政策の枠組みで取り組みが強化されなければならない。これらの取り組みは栄養学的観点から食品を改善することと、運動の促進と、動かない時間を減らすことに焦点を置く必要がある。
INCA 3以降どのような行動をとるべきか?
INCA 3調査はANSESの専門活動を行うための基本データベースである。従って、この先数年、大都市フランスの食品に関する栄養学、物理化学、微生物学的リスクの評価を行うのに求められる今後のあらゆる要求に答えるために、この収集されたデータをうまく利用する必要がある。
とりわけ、ANSESはリスク評価、特に成人の主要栄養素(脂質、炭水化物、タンパク質)、脂肪酸、ビタミン、ミネラルの不適切な栄養摂取に関するリスク評価と、じっとしていることと不十分な運動に関するリスクの評価との関連で、INCA 3調査のデータを徹底して分析することを計画している。
このようにして、INCA 3調査の関連で収集したデータにより、ANSESは新興リスクの一歩先を行きながら、フランス人の習慣にもっとより沿った助言を発表できる。