食品安全情報blog過去記事

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論文等

  • 脳の幹細胞がマウスの加齢を遅らせる

Natureニュース
Brain’s stem cells slow ageing in mice
Sara Reardon 26 July 2017
http://www.nature.com/news/brain-s-stem-cells-slow-ageing-in-mice-1.22367
移植した細胞が中年の齧歯類を長生きさせる
Natureに7月26日に発表された研究によると、視床下部にある幹細胞が、中年マウスの低下する脳の機能と筋肉の強さを再活性化させる。
(胡散臭いアンチエイジング法が出てきそう)

  • 統計の大御所が厳しい非難を浴びているP 値を改革したい

Big names in statistics want to shake up much-maligned P value
Dalmeet Singh Chawla 26 July 2017
http://www.nature.com/news/big-names-in-statistics-want-to-shake-up-much-maligned-p-value-1.22375
主導的研究者らが、科学者のお気に入りの統計の一つであるP 値にはより厳しい基準を当てはめるべきと言う
科学は再現性の危機という非常に困難な状況にあり、研究者や出資者、出版社は学術論文が信頼できない結果に溢れていることへの懸念をますます増している。今回、72人の高名な研究者らが、その問題の原因の一つに標的を定めた:新しい発見の根拠とされるものの薄弱な統計学的水準である。
多くの分野で知見の有意性がP値で判断されている。小さければ小さいほど偶然の可能性が低く、0.05より小さいと「統計学的に有意」とされる。しかし多くの科学者は0.05という閾値は文献に溢れるあまりにも多くの偽陽性の原因であると懸念している。この問題は、研究者らが最初に検定すべき仮説を作ることなく結果のパターンを見てから何か有意なものを探して報告するPハッキングと呼ばれる行為でさらに悪化している。そのため7月22日にPsyArXivプレプリントサーバーに投稿された挑発的論文で、研究者らは社会科学と生命医学の分野ではP値の閾値を0.005に引き下げるべきだと主張している。最終論文はNature Human Behavior.に発表される予定である。
「研究者らは0.05のP値がどれだけ弱い根拠なのか認識していない。」とこの論文の共著者の一人であるDaniel Benjaminは言う。0.05-0.005の間のP値は単なる「示唆的根拠」として取り扱うべきと考える。他の共著者John IoannidisとBrian Nosekは再現性を重視する。
(中略)
P値を引き下げるとネガティブな結果が報告されない「お蔵入り」問題を悪化させる可能性があるが、全ての研究はP値にかかわらず出版されるべきであるとDaniel Benjaminは言う。
既に他の科学分野はP値を破棄している。2015年には心理学の雑誌がこれを禁止した。粒子物理学の分野では0.0000003 (3 × 10−7)以下を要求している。遺伝学では10年以上前にゲノムワイド関連研究では5 × 10−8を閾値にしている。
P値そのものが悪いのではない。
(トクホ含めて、健康食品終了のお知らせ。もともと科学ではないので気にしないのだろうけれど)

  • 研究が何故一部の人はそんなに自分が正しいと確信しているのかを理解する助けになる

Studies help understand why some people are so sure they're right
26-Jul-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-07/cwru-shu072617.php
知見は、大切な信念と矛盾する根拠を無視する人々とコミュニケーションする方法を示唆する
独断的(Dogmatic)な人は自分の信念を確信している、たとえ専門家が合資せず根拠が信念に反していても。Case Western Reserve大学の新しい研究は、近年ますます社会に増えているように見える宗教や政治などについての極端な見解を説明するのに役立つかもしれない。
信仰をもつ人とそうでない人でのドグマティズムにつながるパーソナリティの特徴を検討した二つの研究で、どちらの集団でも批判的論理的思考スキルの高さはドグマティズムの低さと関連した。しかしこの二つの集団では独断的思考に与える道徳的問題の影響については違っていた。Journal of Religion and Healthに発表。
(いまいちどう役にたつのかわからなかった。感情的な信念に対して感情的に訴えることがいいと考えるのは難しい。だから負けるんだろうけれど。)

  • 科学者が世界初の青い菊を遺伝子組換え

Scienceニュース
Scientists genetically engineer the world’s first blue chrysanthemum
By Elizabeth Pennisi Jul. 26, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/07/scientists-genetically-engineer-world-s-first-blue-chrysanthemum
自然界には本当に青い花は希である。今や研究者が、通常ピンクまたは赤みがかった花に二つの遺伝子を加えることで真に青い菊を作った。この進歩は他の種にも適用できるだろう−それは青い花を売りたい花屋はもう染める必要がないということを意味する。
この研究に関与していない東北大学の植物生化学者Toru Nakayamaは「これは非常に大きなインパクトがある」という。
我々は青い花を見たことがあると思っている。そして一部の場合それは本当ではない。花のゴールドスタンダードである王立園芸協会のカラースケールによると、多くの場合「ブルー」は実際には紫(バイオレットあるいはパープル)である。バラのような人気のある花の鮮やかな青を作ることは非常に難しかった。つくばの農業・食品産業技術総合研究機構の植物生物学者Naonobu Nodaらは菊のアントシアニンを赤っぽい色から紫に変える風鈴草という植物の遺伝子と、アントシアニンに糖を加えるチョウマメの遺伝子を加えて青い花にすることができたとScience Advancesに報告した。
欧州ではGMOが問題となり続けるので将来は困難とアムステルダム大学のRonald Koesは予想するが、ミネソタ大学のNeil Andersonは世界中に青い花が溢れるだろうと言う。

Natureでも
'True blue' chrysanthemum flowers produced with genetic engineering
http://www.nature.com/news/true-blue-chrysanthemum-flowers-produced-with-genetic-engineering-1.22365
(Scienceの選んだ写真のほうがきれいだと思うんだが)

The vitamin B6 paradox: Supplementation with high concentrations of pyridoxine leads to decreased vitamin B6 function.
Toxicol in Vitro 2017; 44:206-12
Vrolijk MF, Opperhuizen A, Jansen EHJM, Hageman GJ, Bast A, Haenen GRMM
http://www.rivm.nl/en/Documents_and_publications/Scientific/Scientific_Articles/2017/juli/The_vitamin_B6_paradox_Supplementation_with_high_concentrations_of_pyridoxine_leads_to_decreased_vitamin_B6_function