食品安全情報blog過去記事

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「でぶスイッチ」の発見が肥満を治すだろうか?

Could discovery of 'fat switch' cure obesity?
Wednesday August 2 2017
http://www.nhs.uk/news/2017/08August/Pages/Could-discovery-of-fat-switch-cure-obesity.aspx
「でぶ『スイッチ』が発見されたので肥満は治癒する可能性がある」はDaily Telegraphの幾分早まった見出しである。
研究者は脂肪細胞が脂肪を体のエネルギーに変えることをコントロールする「生物学的スイッチ」を同定した。しかし見出しはこの発見が人間でなく、マウスにおいてであることをはっきり述べていない。
現在の考え方は、脂肪細胞が本質的に中立的な状態である「ベージュ」で始まるということである。その後白色の脂肪細胞にも褐色脂肪細胞にも変化し得る。
白色脂肪細胞はエネルギーを蓄え肥満に寄与する。褐色脂肪細胞は身体を温めることでエネルギーを燃焼させる状態になっている。
例えば断食などによって褐色化として知られている過程により、白色脂肪細胞は褐色脂肪細胞に変わることは可能である。場合によっては、褐色脂肪細胞が再び白色脂肪細胞に戻ることも可能である。
この研究はマウスのこの過程を調べて、この切り替えをコントロールするメカニズムを見つけた。これは視床下部と言われる脳の分野とインスリン受容体に作用するTCPTPと言われるタンパク質が関与する。
研究者はこの切り替えのスイッチは肥満のマウスに刻み込まれており、体重増加を促進する常にエネルギー蓄積モードになっているということを発見した。
しかし、この切り替えスイッチが人間にも同様であるか、どの程度肥満に貢献するのかはまだわからない。
脳の神経経路の妨害は予期せぬ結果となるだろうから、この過程を標的として開発された医薬品は安全であることを確認するために徹底的な試験が必要であろう。
今のところ、健康的な体重に達する一番よい方法は活動的に体を動かし、バランスのとれた食事をすることである。