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マーマイトに含まれるビタミンB3は流産を予防するとは証明されていない

Vitamin B3 found in Marmite not proven to prevent miscarriage
Thursday August 10 2017
http://www.nhs.uk/news/2017/08August/Pages/Vitamin-B3-found-in-Marmite-not-proven-to-prevent-miscarriage.aspx
「好きであろうと大嫌いだろうと、マーマイトは世界中の何百もの流産、出生異常を予防するのに役立つことだろう」というのはDaily Telegraphの過度に楽観的過ぎる見出しである。
このニュースは出生異常のある子供を持つ4家族のみの研究に基づいている。そのうち3家族は流産も併せて経験していた。研究者は家族のDNA配列を決定し、そのすべての子供が体内のニコチンアミドアデニンジヌクレオチドNAD)と呼ばれる物質の合成と循環を阻害する類似の変異を持っていることがわかった。NADは身体によって細胞情報伝達のために使われる。ナイアシンとしても知られているが、ビタミンB3はNADの産生を刺激すると考えられている。
同様の変異を持つようつくられたマウスで、かつ流産や欠陥のある子マウスを持つマウスはビタミンB3のサプリメントを与えられた。すると健康な子マウスを産むようになった。
理論的にはビタミンB3サプリメントはB3欠乏の妊娠している女性や妊娠を予定している女性にとっては効果的かもしれない。
しかし、研究者はこれを調べず、4家族の珍しい遺伝的変異とマウスでの再現しか調べていない。女性の妊娠への影響は研究されていない。
すべての妊娠している女性にビタミンDと同じように、ビタミンB3サプリメントの摂取を開始するよう推奨するのは確実に時期尚早である。
ビタミンB3について心配があれば、摂取を安全に増やす1つの方法はマーマイト(またはべジマイト)、鶏肉及びグリーンピースのようなものを食べることである。
不幸なことではあるが、流産や出生異常の発生の理由はたくさんあり、その多くは現在避けられないものである。