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吸入暴露されたTrp53ハプロ不全マウスにおけるホルムアルデヒド誘発性新生物が生じないことについてのNTP研究報告書

NTP Research Report on the Absence of Formaldehyde-Induced Neoplasia in Trp53 Haploinsufficient Mice Exposed by Inhalation
https://ntp.niehs.nih.gov/ntp/results/pubs/rr/reports/formaldehyde_508.pdf
ホルムアルデヒドの吸入はヒトの鼻腔がんと白血病に関連する。ホルムアルデヒドによるDNAとタンパク質の架橋と細胞増殖の亢進が鼻腔がんの発生に重要で、白血病発症にも重要である可能性がある。腫瘍抑制遺伝子Trp53がホルムアルデヒド誘発性鼻腔がんに関係し、ホルムアルデヒド誘発性白血病の重要な作用メカニズムである可能性がある。この研究の目的は遺伝的に感受性の高いマウスでのホルムアルデヒド誘発性鼻腔がん、白血病あるいはリンパ造血性がん、その他の新生物の発生におけるTrp53遺伝子の役割を評価することである。雄のTrp53ハプロ不全(Trp53±)マウス系統(B6.129-Trp53tm1Brdおよび C3B6.129F1-Trp53tm1Brd)に、0-, 7.5- あるいは 15-ppmホルムアルデヒドを (25/群) 6 h/d, 5 d/wk 、8 週間暴露し32週維持した。主なホルムアルデヒド関連の所見は鼻の呼吸上皮の扁平上皮化生であった。ホルムアルデヒドのMTDでの吸入は鼻粘膜の相当な傷害をと細胞増殖を引き起こしたが、鼻腔がんや白血病の増加はみられなかった。観察された新生物は全てこれらの動物のバックグランドと考えられ、この長期発がん性試験からはTrp53の役割は支持されない。