食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

米国食品医薬品局長官、州の農務局長に向け、「米国食品安全強化法に対応するため、州との協力を強め農家を守る新たな措置が講じられる」と説明

FDA Commissioner Addresses State Agriculture Commissioners; Announces New Steps to Enhance Collaboration with States and Ensure Farmers Are Prepared for FSMA
September 12, 2017
https://www.fda.gov/food/newsevents/constituentupdates/ucm575532.htm
米国では、食品安全強化法(FSMA)に基づいて農産物生産安全規則が定められ、確実な遵守を図るため、包括的な対応がとられているところであるが、米国食品医薬品局(FDA)長官の医学博士Scott Gottliebは、2017年9月12日、それらの対応のうち、近々実施される多くの措置について概要を説明した。
長官は、米国州農務局協会(National Association of State Departments of Agriculture: NASDA)の年次総会において、FDAが、生産業界および州の行政組織に対し、この新しい規則が求める要求事項に関する教育をしていくよう努力することが求められている認識を有していると語った。さらに、来年にかけて、準備、指針作成および普及活動といった項目に照準を合わせ続けることを表明した。これらの発言は、米国の農村が未だかつてこのような管理下に置かれたことがないため、特に重要である。
また、長官は、農業用水の基準を守ることが複雑で実現が難しいという懸念に対応するための措置についても言及した。
これからとられる措置は、以下のとおりである。
農業用水の基準遵守期日:農業用水に求められる事項を遵守すべき期日を延ばしにする。FDAは、これについての規則案を2017年9月12日に提出した。これが決まると期日は2〜4年先になる(モヤシ栽培用以外の水)。延期によりFDAが農業用水の基準を再考し、米国のどの地域の農家も遵守できかつ公衆衛生が担保される基準を設けるための時間が得られる。農業用水基準遵守の新しい期日案は、大規模農家については2022年1月26日、小規模農家については2023年1月26日、零細農家については2024年1月26日である。この規則案は、60日間、パブリックコメント募集にかけられる。
(期日延期により、規則遵守までの行程も簡素になり、農業用水に関する要件すべてが、当初の期日より4年遅れの発効となる。農業用水に関する要件については、あるものは現段階でも遵守期日が2年延期されているが、他は延期がないなどまちまちであった。)
FDAでは、モヤシ栽培用を除く農業用水に関する要件を厳しくする意向は無く、遵守期日の延期に向けたルール作りが進行中である。モヤシは汚染を受けやすい性質を有するため、最終的な規則に盛り込まれる要件と元々の遵守期日がそのまま適用される。
農業用水基準についての関係者との連携:FDAは、遵守期日の延期によって生じた期間を使って、関係各所と連携し、農家や州の行政組織などから、水の様々な利用実態について学び、基準が農業従事者全てによって遵守される現実的で有効なものとなるように活動する予定である。そうした活動には、来年の早い時期に開催される「農業用水に関するサミット」も含まれる。これについては、年内に追加情報を提供する予定である。
水質検査法:FDAは、Western Growers(カリフォルニア州の農業生産者組合)宛の最新の文書において、追加された8つの試験法を提示した。これらの方法は、米国環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)や公衆衛生関連団体に由来するものであり、農産物生産安全規則中に引用され組み入れられている方法と同等であると認められている。多くの関係者が、農業用水の検査に適した他の方法について、FDAに問い合わせている。FDAは、ウェブサイトに、同等性が認められた方法の一覧を提示しており、別の方法についても確認が取れ次第、リストに加える方向である。
生産農家の検査:大規模農場は、農業用水に関する要件を除き、モヤシ以外の生産に関する規則が定める生産安全要件を、当初に決められた2018年1月26日までに遵守できるようになることが求められる見通しである。ただし、FDA長官は、農業用水以外の要件(モヤシ以外の生産に関する生産安全規則が定める要件)が遵守されているかどうかの検査は、2019年まで開始されないと述べている。FDAと州の関連組織は、このタイムラグを使って、新しい要件についての教育、訓練、支援をさらに行っていくことになる。特に、州の関連組織は、NASDAFDAと連携して、既に6州で試験的に行われている「農場の準備状況報告」活動を広げていく予定である。この活動のために州の当局、農業相談員およびFDAが専門家養成チームを作り、それら専門家によって新しい要件に対する農家の「準備状況」の見極めを行うこととしている。FDAの規制関連事務局は、州の連絡窓口に対し、変更内容についての詳細な情報を文書の形で送付する予定であり、質問への電話窓口も設けることになっている。
FDAには、今年は既に3千万ドルを超える予算が、43州における農業生産安全計画の進展を支援する目的で投じられている。この前身として、FDAは昨年、42州の支援のために2千2百万ドル近くを与えられている。各州は今週FDAから、既存の協同契約基金をどのように再分配して検査目的から教育的・支援的活動といった新たに追加された目標へと振り分けるかについて、情報を受け取ることになるであろう。
生産者および監視官を育成する機会:FDAは、生産農家および州の監視官が農業生産安全規則の実施に必要な教育を受けられるよう、引き続き専心する。州の監視官の教育は、FDAにとって2018年の最優先課題となると考えられ、教育の機会やFSMA関連の講習会の詳細については、追加の情報を10月に予定されているオンラインセミナーで提供する予定である。FDAは、農家や州と協力していく所存であり、特に来年にかけて、我々の家族に供給される果物や野菜の安全を確保し、消費者が我々の供給する農産物に最大限の信頼を抱いてくれるよう、全力で努力する。