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AMB-FUBINACAとは何?−専門家のQ&A

SMC NZ
What is AMB-FUBINACA? – Expert Q&A
September 15th, 2017.
https://www.sciencemediacentre.co.nz/2017/09/15/what-is-amb-fubinaca-expert-qa/
昨日ニュージーランド警察が7月以降合成薬物に関連した死亡20件を確認した。死亡した人の検体と警察が押収したもののほとんどからAMB-FUBINACAが検出された。
SMCはAMB-FUBINACAについてわかっていることのQ&Aを準備した。
オークランド大学薬理学者Michelle Glass教授
AMB-FUBINACAは脳にどう影響して「ゾンビ様」の症状が出るのか?
AMB-FUBINACAは最近合成カンナビノイドとして同定されたばかりである。今年初めにニューヨークでの「ゾンビアウトブレイク」につながった化合物として同定された。これは2016年7月12日に18人が入院した。質問に答えるのが非常に遅い、ぼんやりとした目つき、動きが遅いなど「ゾンビのような」精神状態の変化として説明されている。
AMB-FUBINACAは製薬会社Pfizerが医薬品開発の一部として開発したが私の知っている限り人や動物で調べられたことはない。
THCの影響の多くは脳のカンナビノイド受容体(CB1)への結合による。現時点でAMB-FUBINACAについてはそれが極めて強力で効果的な脳のCB受容体活性化作用をもとことしかわかっていない。つまりこの受容体を活性化するのにほんの少量しか必要なく(THCの100分の1以下)、THCより強い活性を生むということである。
このことが観察された症状にどうつながるのか現時点ではわからない。しかしほとんどの合成カンナビノイドは高用量で動物を強硬状態、反応せず筋肉が固くなる、にする。これが人々の経験していることと似ている。
これがどうして死につながるのか現時点ではだれもわからないと思うが、心臓への影響と発作に関連するようだ。この分野にはさらなる研究が必要である。
環境科学研究所(ESR)の法化学部長Kevan Walsh
ESRでは合成カンナビノイドのファクトシートを作っている
最近のオークランドでの一連の死亡の原因とされる合成薬物は何?
我々に提出された合成大麻の検査の結果、多くは危険な薬物AMB-FUBINACAが含まれていた。AMB-FUBINACAは大麻の向精神成分であるTHCの75倍強い効果があると報告されている。
それを使用するとどうなる?何故そんなに重大な結果に?
多くの合成カンナビノイドは予想できない効果があるため有害である可能性が高い。合成カンナビノイドは医薬品のように調べられていない。安全性も証明されていない。
ヒトの薬物への反応は異なる。例えばある人は他の人より重症になるだろう。他の薬物やアルコールの影響、精神状態、持病などでも変わるだろう。
何故合成大麻と呼ばれる?大麻と同じあるいは違う?
合成カンナビノイドは合成化合物である。それは大麻と同じように脳に反応するようデザインされている。国際的に同定されている合成カンナビノイドは約200ほどある。全て違う化合物である。それぞれ人体で異なる反応をおこす可能性がある
(略)
確認された今、将来の検査は簡単になる?
AMB-FUBINACAを検査するのは難しくはない−難しいのは新しく作られる薬物とその代謝物を予想し速やかに標準物質をつくることである。この種の薬物は常に新しいものが出続けていて、それが国際的な問題である。