食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 親の年齢と子どもの遺伝的変異を調べた研究への専門家の反応

SMC UK
expert reaction to study looking at parental age and genetic mutations in children
September 20, 2017
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-parental-age-and-genetic-mutations-in-children/
natureに発表された新しい研究で親が高齢だと、特に父親が、子どもの新たな遺伝的変異が多いと報告した
Kent大学遺伝学教授Darren Griffin教授
この論文はその範囲とサイズと徹底ぶりで印象的なものである。デノボ(新たな)変異の率が父親の年齢が高くなるほど高いという主な知見は、配偶子のDNA傷害感受性の性質を反映している。精子は男性の生涯にわたって作り続けられ、全体として分裂回数が多く、分化した後のDNA傷害修復機能は限定的である。一方卵は女性の年齢が高くなると染色体全体のエラーがおこりやすくなる。これはここ数年発表されてきた仕事と一致するが、この研究はこれまでで最も包括的なものである。これだけの規模で男性と女性の違いを直接比較したものとしては私が知っている限りこれが初めてである。このことの進化における特徴も興味深い。説明されているメカニズムはヒトとその近縁種に特有のようである。
エジンバラ大学遺伝と分子医学研究所MRCヒト遺伝学ユニットMartin Taylor教授
しばしばDNAの突然変異はランダムだと思われているがそうではない、それは偏りのあるサイコロである。この仕事が説得力をもって示したように、母親と父親のサイコロは違う。
この研究で報告されている新しい突然変異の多くが父親由来であるが、最もびっくりする新しい知見は高齢母親の卵でおこる追加の突然変異である。
精子を作るにはDNAが継続して複製されているので父親が年をとるにつれて変異の率が上がるのは予想されたし知られてきた。最近になって母親の年齢による影響も、それほど劇的ではないが同じようなものがあることも示されてきた。これは、女性の卵のDNAの複製は彼女が母親の胎内にいたときにおこり、高齢になっても一般的にコピーされないので驚くべきことである。この新しい論文は高齢母親の余分な突然変異の多くは、そして多分ほとんどは、同じDNA鎖に同時におこっていることを示す。
卵で染色体が切れると、時々修復されて小さな変異の傷跡が残るようにみえる。10程度の染色体領域では偶然で説明できるより遥かに多い傷跡があり、そこが特に壊れやすいあるいは修復しにくいことを示唆する。
(以下略)
シェフィールド大学男性病学教授Allan Pacey教授
UCL分子神経科学教授John Hardy教授

  • 今日の科学ニュースと情報

Science News and Information Today
September 20, 2017
http://www.journalism.org/2017/09/20/science-news-and-information-today/
アメリカ人の大多数は科学ニュースを一般紙から得ているが多くの人は科学について正しく事実をえるには専門情報源という
Pew研究センターの新しい研究によると、ほとんどのアメリカ人は科学ニュースを見るのは月に2時間以内で、それらは探して、ではなくたまたま目に入ったから、である。全体として約1/3の36%が週に数回科学ニュースを読み、10人中3人が能動的に探し、17%は両方する。
ソーシャルメディアユーザーはソーシャルメディアで見る科学ニュースを概ね信用していない。
活発な科学ニュース消費者のコアグループはニッチな情報源を追跡して科学活動に参加している傾向がある
(いろいろおもしろい調査)

Scienceニュース
Scientific society defines sexual harassment as scientific misconduct
By Maggie KuoSep. 20, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/09/scientific-society-defines-sexual-harassment-scientific-misconduct
米国地球物理学連合(AGU)が先週採択した新しい方針によるとセクシャルハラスメントは科学的不正の一形態。

  • 道具を使うサルがタイの魚介を脅かしている

Tool-using monkeys threaten shellfish population in Thailand
Sep. 19, 2017
http://www.sciencemag.org/news/sifter/tool-using-monkeys-threaten-shellfish-population-thailand
タイのKhao Sam Roi Yot国立公園公園のしっぽの長いマカクが牡蠣やカニやカタツムリを石を使って砕いたり開いたりして食べている。その結果牡蠣のサイズが70%小さくなった。もしこのままサルが食べ続けるとこの島の食糧は枯渇するだろう。そしてそうなったらサルは道具の使い方を忘れるだろう

WSU researchers see popular herbicide affecting health across generations
20-Sep-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-09/wsu-wrs091817.php
アトラジンが孫とひ孫の病気と関連
PLOS ONEに発表されたMichael Skinner教授のラットでの研究論文。
妊娠ラットにアトラジンを与えると子どもに体重減少以外の影響はないが孫とひ孫の精子と乳腺腫瘍に影響する。
Atrazine induced epigenetic transgenerational inheritance of disease, lean phenotype and sperm epimutation pathology biomarkers
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0184306
非近交系の妊娠ラットに25 mg/kg body weightを腹腔内投与。
(タイトルだけでSkinnerだってわかる。三世代影響を主張しているのは他にビンクロゾリンとDEET。相変わらずオリジナル系統動物で投与濃度も方法も観察された影響の大きさも書いてないのにアメリカ人の健康が害されていると印象づけるプレスリリース。もっとちゃんとした実験では再現できなかったという報告は無視するんだ。しかも痩せるのならアメリカ人にとってはむしろ喜ばしいのでは?)

  • 食品偽装報告書2017

Food Fraud Report 2017
https://www.nfumutual.co.uk/foodfraud
我々の報告書は消費者の食品産業への信頼が低下していることを明らかにした
2000人以上の消費者を対象にした調査で、33%の人が5年前より製品や販売者への信頼が低下したと言い、増えたのはたった9%。
目立った食品偽装事例が消費者の信頼や行動にどう影響したかを探った報告。

  • 妊娠中のフッ素暴露と子どものIQ低下を関連させる研究に対して研究者らが注意を呼びかける

Researchers urge caution over study linking fluoride exposure in pregnancy to lower IQs in children
September 20, 2017
http://nationalpost.com/health/researchers-urge-caution-over-study-linking-fluoride-exposure-in-pregnancy-to-lower-iqs-in-children
反フッ素活動家がこれを「フッ素議論における史上最大の機会」と呼んでいる。保健政策の専門家と、著者らの一部も恐れている
またEHP。
Prenatal Fluoride Exposure and Cognitive Outcomes in Children at 4 and 6–12 Years of Age in Mexico
https://ehp.niehs.nih.gov/ehp655/