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世界保健機構 化学物質管理ロードマップ

IPCS
WHO Chemicals Road Map
このロードマップは、2020年までの到達目標とその先に向けて、保健セクターが国際的な化学物質管理への戦略的取り組みに強く関われるようにするためのものであり、2017年5月30日、第70回目の世界保健総会で承認された。保健セクターは、様々なセクターや利害関係者と協力する必要性を認識した上で、主導的なまたは重要な支援を行う役割を担っているが、このロードマップはそのような保健セクターによる措置を確認するものである。これらの措置は、4分野で組織されている:すなわち、リスク削減;知見と根拠;組織や機関の能力;リーダーシップと協調である。
各加盟国とその他の利害関係者はそれぞれ固有の事情に基づいた優先事項を有しているので、保健セクターの行う措置には優先順位は付せられない。さらには、それらの措置には、非常に広範囲にわたるものもあるし、かなり限局的なものもある。このようなばらつきは意図的に設けられており、加盟国とその他の利害関係者がこれまで化学物質の管理にそれぞれ異なった取り組み手法を選択してきており、現在、それぞれ異なった実現段階にあるのだということを認めるためのものである。より広範囲の措置を含めることにより、各国が自分たちの事情に適したロードマップの実現するよう調整できる。
ロードマップは、国家、地域および国際的なレベルにおいて、関与を受けたり追加の措置を講じたりする場合に、第一に焦点を当てるべき分野はどこなのかを確認するのに役に立つツールとなることを目的として作られている。加盟国やその他の関係者には、このロードマップに照らして自分たちの実施計画を設定することが望まれる。その計画には、適宜、他者の関与や他者との協力の必要性が考慮に入れられることになろう。
持続的な発展のための2030アジェンダを採択するにあたり、各政府は、ヒトの健康を守るために化学物質の適正な管理が引き続き重要であることを確認した。特に、目標3.9では、2030年までに、有害化学物質、ならびに大気や水および土壌の汚染による死亡や疾病の件数を大幅に減少させることが示されている。同様に目標12.4では、2020年までに、ヒトの健康や環境への悪影響を最小限にするため、化学物質や廃棄物の適正な管理が求められている。
第72回と第74回世界保健総会では、ロードマップの実施を支援するためWHO事務局のとった行動についての進捗状況が報告されることになっている。また、ロードマップは、会期と会期の間における進捗状況に基づいて更新され、それにより2020年以降の戦略的取り組みに関しておよび化学物質と廃棄物の適正な管理について、提言が作成される予定である。