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EUとFAO、食品廃棄と薬剤耐性の問題に協力して取り組む

EU and FAO join forces to take action on food waste and antimicrobial resistance
Brussels, 29 September 2017
http://europa.eu/rapid/press-release_IP-17-3561_en.htm
欧州連合(EU)と国際連合の食糧農業機関(FAO)とが、協力して食品廃棄と薬剤耐性の問題に取り組むことになった。
2030年までに、1人当たりの食品廃棄量を半減する意向である。
薬剤耐性(AMR: antimicrobial resistance)の問題はヒトや動物にとっての世界的な脅威であり、疾病の治療にのみ使われるべきであり、特定の状況下では差し迫った感染を防ぐために用いられるが、成育促進に用いられるべきではない。
薬剤耐性(AMR: antimicrobial resistance)の問題では、FAOの支援を受けて、欧州各国では、農畜産業での抗菌製剤の使用が減るなど、かなりの進展がみられているが、今後もFAOとEU間で強い協調関係を持ち続けるのが重要である。
◆共有された懸念事項
人間の消費向けに生産された食料品の3分の1(13億トン)が浪費・廃棄されている。欧州だけでも年間8800万トンが廃棄され、金額にすると1430億ユーロが失われている。
一方で、抗菌製剤は乱用され、それらに耐性を持つ病原菌の増加を助長している。このような増加は、2050年には、年間1千万人の死亡につながり、世界経済に8500億ユーロを超える損失を与えることになる。
また、薬剤耐性の問題は、世界中で食品の安全性や農家の経済福祉と関連している。
◆根本的に味方同士
FAOは年間世界食糧損失指数(Annual Global Food Loss Index)を公表し、欧州議会(EC)は食品廃棄を計測する方法論の開発に努めている。FAOは、既に、食料の損失や食料廃棄に関するEUの枠組の一員となっている。
FAOとEUの組織が協働する場面は、以下に示すものをはじめ、多方面にわたる。
・食料の損失や廃棄の定量の同期化
・食料生産における抗菌製剤の使用状況に関する情報やAMR管理の良い実施例に関する情報の共有の強化
・抗菌製剤の節度ある使用を促進し農家の衛生水準を改善して抗菌製剤の必要性を減じるための支援や教育のための協働
・抗菌製剤の使用に登録制度を導入しようとする国への支援
・食品に関連した抗生物質の使用実態を追跡し、AMRの存在を地図で示す能力を国レベルで引き上げるための訓練や能力強化
FAOとEUは、さらに、国際食品規格委員会(Codex Alimentarius Commission)が採用した基準やガイドラインを実現しようとする政府を共同で支援する。
EUは、FAOが通常求めている賦課金をはるかに超えて有志献金を収めており、これら二つの組織の協働には長い歴史がある。
◇関連リンク
・AMRに係るEUの活動http://ec.europa.eu/health/amr/antimicrobial-resistance_en
・食料廃棄に係るEUの活動https://ec.europa.eu/food/safety/food_waste_en
・食料の損失廃棄に係るFAOの活動http://www.fao.org/food-loss-and-food-waste/en/
・AMRに係るFAOの活動http://www.fao.org/antimicrobial-resistance/en/
EUとFAOの連携http://www.fao.org/europeanunion/eu-partnership-home/en/
EUとFAOの連携http://www.fao.org/europeanunion/eu-partnership-home/en/
・飢餓ゼロを達成するためのECおよびFAOの協力体制http://www.fao.org/europeanunion/eu-partnership-home/en/