食品安全情報blog過去記事

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その他

  • ジューサーで絞ったフルーツジュースと丸ごとの果物を摂取した後の血糖値を調べた研究への専門家の反応

SMC UK
expert reaction to study looking at blood glucose levels after drinking nutrient extractor fruit juices compared with whole fruit
October 9, 2017
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-blood-glucose-levels-after-drinking-nutrient-extractor-fruit-juices-compared-with-whole-fruit/
Nutrition & Diabetesに発表された研究で、市販のジューサーで作ったジュースを飲んだ後の血糖は丸ごとの果物の場合と同じか低かった
オックスフォード大学食事と集団の健康教授Susan Jebb教授
これは果物を丸ごとあるいは搾って食べた場合の血糖応答を測定しようとした小規模試験である。人数は少なく、最初の研究では19人、二つ目は9人である。全員が若く健康な人で肥満ではなく糖尿病の兆候はない。最初の実験では果物ミックスを使い、グリセミック指数(GI)は絞ったほうが低かった。二つ目の実験ではマンゴーだけを使い、絞っても丸ごとでもGIは同じだった。この研究はGI測定には標準法を使っているが日常的な食生活に果物を取り入れることの影響は考慮していない。
食品の血糖への影響は食品の実際の詳細により変動することで悪名高い。丸ごとの果物と絞った場合に使った果物のGIが違う可能性が大きく、特に最初の実験ではバナナを含んでいてバナナのGIは熟し加減で大きく異なる。絞ったのは一回だけのようなのでどんな差も系統的に観察されるだろう。どちらの場合も果物は冷凍品を解凍していてそれは普通の果物の食べ方ではなくGIに影響した可能性がある。従ってこの結果は普通の食べ方にはあてはまらない可能性がある。
絞ることで果物のGIが下がるという納得できるメカニズムが無く、二番目の実験での再現性もないことから果物を絞ることとグリセミック応答について結論を出すのは時期尚早である。この研究では血糖制御に異常のある糖尿病の人や糖尿病予備軍の人は含まれないので、これらの結果を「2型糖尿病の人にとって重要な臨床上の意味があるかもしれない」と示唆するのは無責任である。
Quadram生命科学研究所食品健康プログラムPete Wilde教授
これが本当かどうか確認するにはさらなるメカニズムについてと何故マンゴーではおきないのかについての研究が必要である。これはシンプルな研究で因果関係を調べようとはしていない。
この研究は面白いかもしれないが、別の形での冷凍でない果物を使って確認が必要である。

  • 欧州のグリホサート議論に正気を取り戻す

Bringing sanity back to Europe’s glyphosate debate
‎By Pieter Cleppe 2017‎年‎10‎月‎5‎日
https://www.euractiv.com/section/agriculture-food/opinion/thursbringing-sanity-back-to-europes-glyphosate-debate/
世界で最も広く使われている除草剤の有効成分、グリホサートの運命が決まるのは11月6日だろう、とPieter Cleppe(Open Europe(リベラル系シンクタンク)のブリュッセル事務所長)は書く。
グリホサートの認可の延長を巡って。
新しいフランス環境大臣Nicolas Hulotはパリでグリホサートには反対の投票をすると言った。この立場は消費者の恐怖に誘導されたものでフランスの農家団体は困惑している。グリホサートの禁止はフランス穀物業界には年9億ユーロの追加コストになるだろうとAGPBは推定している。Ipsosはワインと穀物の両方で20億ユーロとしている。しかしグリホサートは本当に有害なのか、あるいはフランスはたいした根拠の無い自ら招いた過ちに沈もうとしているのか?
科学コミュニティが民主主義だったなら安全性にはほとんど問題はない。EFSA、ECHA、EPA、PMRA、BfRなどが全て同じ結論に達している。しかしそれらの一致した声がIARCによって退けられた。それから政治や裁判が入り交じり理性的議論が不可能になった。
その問題の中心にいるIARCの科学者Christopher Portierは歴史的に反農薬活動をしてきたNGOのEnvironmental Defense Fundに雇われているようだ。
規制機関にとってはグリホサートの安全性は実際の暴露量で評価すべきものである。しかしIARCにとっては暴露は関係ない、幾分かでもリスクがあるのなら禁止をする十分な理由になる。いわゆる予防原則というものである。これをもとに活動家はキャンペーンを行い130万のグリホサート禁止署名を集めた。
しばしばおこるように、グリホサートの議論で最も大きな声は科学的根拠がない。このことこそがEFSAの長官Bernard Urlが警告したことである。何かを有害かそうでないかを決めるのに、科学の専門家を信頼する代わりに署名を根拠にすべきではない。
政治家が科学の専門家ではなくオンライン署名で意志決定するようなものである。

  • Ben & Jerry’sは痕跡程度が検出された後、グリホサートフリーアイスクリームを発表する予定

Ben & Jerry’s to launch glyphosate-free ice-cream after tests find traces of weedkiller
Arthur Neslen Monday 9 October 2017
https://www.theguardian.com/environment/2017/oct/09/ben-jerrys-to-launch-glyphosate-free-ice-cream-after-tests-find-traces-of-weedkiller
Ben & Jerry’sは新しい調査で広範な製品から痕跡程度検出されたため、来年生産チェーンから全てのグリホサート汚染成分をカットし「オーガニック乳製品」ラインを作ることにした。
HRIラボの新しい検査で、英国、フランス、ドイツ、オランダの14製品中13製品から除草剤成分が検出された。米国でも同程度が検出されていて、科学者は「極めて低濃度で公衆衛生上の問題にはならない」と言っている。しかしB&Jの広報は「がっかりしたが驚きはしない」という。「グリホサートは農業で最もよく使われていてどこにでもある。でもどこにでもある、と単にいうのは戦略ではない。私達は2020年までにグリホサートを使って化学的に乾燥した(chemically dried)(?)作物は使わないようにする。さらにグリホサートの使用を終わらせる政策を提唱する」という。
(検出されたのは1-1.23 ppbとのこと。)

  • 卵業界はフィプロニルスキャンダルを受けて認可殺虫剤リストを作る

Egg industry draws up list of approved pesticides following fipronil scandal
9 October 2017
https://www.farminguk.com/news/Egg-industry-draws-up-list-of-approved-pesticides-following-fipronil-scandal_47596.html
英国卵産業協会(BEIC)は現在見直しをしている新しいライオンコードの一部として認可殺虫剤リストを検討している。オランダのフィプロニルスキャンダルを受けてのもの。英国の生産者に問題はないが、使用しているものをもっと厳密に管理したい。オランダの養鶏業者はスーパーや食品企業から損害賠償請求をすると言われて経済的破綻に直面している。
英国の業界主導者はリスクを避けるために英国産を買うようにと繰り返し呼びかけている
(競争の激しい業界だから英国業界には商機到来なのだろう)

  • 偽造動画を見つける科学者

Natureニュース
The scientist who spots fake videos
Elizabeth Gibney 06 October 2017
https://www.nature.com/news/the-scientist-who-spots-fake-videos-1.22784
Dartmouth 大学のコンピューター科学者で操作した画像や動画を検出する専門家であるHany Faridとのインタビュー。

Scienceニュース
Uganda removes key hurdle to GM crops
By Christopher BendanaOct. 6, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/10/uganda-removes-key-hurdle-gm-crops
ウガンダのバイオテクノロジー研究者らが長く待ち望んだ、GM作物の大規模野外試験と市販の方法を定めた法案の通過を祝福する。ウガンダにはいくつかの品種が待っていて、自国製GM作物を販売する方向に動くアフリカの国に加わるだろうと予想されている。
ウガンダの国のバイオセーフティ法案は2013年に議会に提案された。
ウガンダでこれまで研究されているのはxanthomonas葉枯れ病耐性バナナやキャッサバ茶条斑病耐性キャッサバなど。これまでアフリカで遺伝子組換え作物を商用栽培しているのはスーダン南アフリカの二ヶ国。

  • サプリメント業界、消費者団体がFDAの気が遠くなるようなODIリストについて討論

Supplement Industry, Consumer Advocates Mull Daunting ODI List Facing FDA
https://www.naturalproductsinsider.com/blogs/insider-law/2017/10/supplement-industry-consumer-advocates-mull-daunt.aspx
10月3日にCFSANで、ダイエタリーサプリメント計画オフィス(ODSP)の26人を含むFDAの役人が、消費者団体と業界代表とその他関係者と、法による安全性通知が必要ない成分リストの作成についての一日中の会合を主催した。
古い食品成分old dietary ingredients (ODIs)—あるいはDSHEA以前の成分−は新規食品成分(NDI)と区別する。NDIは市販前の安全であることを示す通知がないと合法的に販売できない。
四半世紀前の記録は存在しないあるいは入手困難であることが示唆された。リソースの使い方として通知の必要ない成分リストをつくるほうがいいのではという提案もされた
安全なものという用語を使うことへの反対もあった。

Those pesky unregulated food supplements!
Fri, 29/09/2017
http://fstjournal.org/features/those-pesky-unregulated-food-supplements
Sam Jenningsが食品サプリメントの世界は規制されていないという神話を暴く
英国では食品サプリメント業界は高度に規制されている、その成分や包装、表示、強調表示、宣伝をコントロールする法がたくさんある。しかし「監視」、つまり当局による法の執行、が残念ながら欠けている、主に過去10年の取引基準局のリソースカットのため。
以下説明
(英国はきっちり規制がある。それでもダイエット錠剤で死者が出たりする)