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違法なオンライン販売の医薬品に対しINTERPOLが最大規模の活動を展開、何百万もの医薬品を押収

国際刑事警察機構 (International Criminal Police Organization: INTERPOL) News
Millions of medicines seized in largest INTERPOL operation against illicit online pharmacies
25 September 2017
https://www.interpol.int/News-and-media/News/2017/N2017-119
フランス、リヨン − INTERPOLによる10回目のオペレーション・パンゲア(汎大陸作戦、Operation Pangea X)が、この種の活動としては最大の規模で、オンラインで違法に売られている医薬品および医療機器に的を絞って実施された。世界中で約400件が検挙され、危険性を有している可能性がある医薬品が、5100万米国ドルを超える金額に相当する分量押収された。
Operation Pangea Xには、最多となる123ヵ国から197の警察機構、税関および保健管理局が参加し、世界中で、はやり最多となる2500万件の違反医薬品や偽造医薬品が押収された。
この活動で、1,058件の捜査が行われ、3,584件のウェブサイトがオフラインとされ、3,000件の違法な医薬品のオンライン広告が停止に追い込まれた。
この国際活動週間(9月12〜19日)の間に押収された偽造医薬品および違法医薬品の中には、健康補助食品、疼痛軽減薬、抗てんかん薬、勃起不全治療薬、向精神薬および栄養補完製品が含まれていた。
医薬品の他に、Operation Pangea Xでは、歯科用機器ならびにインプラント、避妊具、注射器、医療検査用試験片、および外科用器具などの、違法な医療機器の販売にも焦点が当てられた。その結果、推定50万米国ドル相当の違法な機器が回収された。
ヨルダンでは、消費者の苦情に基づいて、偽造コンタクトレンズの販売が検挙され、当局は、偽物のレンズにより眼に重度の障害が及ぶことがあると警告した。
違法医薬品ウェブサイトにリンクされたアドレスを強制捜査すると同時に、税関および管理当局は約715,000個の商品を検査し、470,000個を押収した。
コンゴ民主共和国は、Operation Pangeaに今年初めて参加し、当局は、違法な抗マラリア薬約650 kgを押収した。
今年の活動では、アフリカからの参加国数が最多となり、多くの国が初めての参加であったが、違法なオンライン医薬品取引が実際に広く国際的なものとなっていることを浮き彫りにしている。
INTERPOLナミビア共和国中央事務局長のImmanuel Sam氏は、次のように述べている。「ニセのあるいは偽造の医薬品の取引については、購入した製品が安全に使用できると信じて疑わない消費者の健康が危険な状態に陥る例が生じており、アフリカ全体にわたって懸念が大きくなっている。Operation Pangea Xのような世界的な活動は、危険な医薬品の供給を止め、このような死の取引の裏にいる犯罪者を逮捕するために、非常に重要である。」
今年の活動では、オピオイド系鎮痛剤、特にフェンタニルも標的とされた。フェンタニルは強力な麻薬であり、ここ数年、不法に製造されたフェンタニルの流通に関連して、全世界で何千人もが過量服用を起こし死亡している。
いくつかの国では、違法なオンライン薬局で購入されたフェンタニルが押収されている。違法なフェンタニルの需要がある領域を重点的に取り上げたところ、薬を専門に販売するウェブサイトは、『処方箋無しでフェンタニルを買える店』と呼ばれたところも含め、数多くが営業停止となった
2008年にわずか8ヵ国だけで始められたOperation Pangeaは、この10年で飛躍的に大規模になり、2017年には、123の国から警察機構、税関、医薬品管理局が参加するに至った。
ベトナムにおける1.2トンの勃起不全治療薬の押収など、現場での介入の他に、この活動は、違法オンライン医薬品取引の組織化された犯罪行為に悪用される主要な領域、すなわち、偽装ドメイン名登録機関、電子決済システムおよび配送サービスも対象としている。不法な医薬品を違法に広告または販売しているソーシャルメディアサイトも、停止させている。
Operation Pangeaを10年間行ってきた間に、未承認の法管理されていないオンライン薬局が増え続けているという、大きな流れが確認された。そうした医薬品販売サイトは、世界中で増え続ける消費者の需要に付け込み、違法ないしは偽造医薬品を広告し販売している。
INTERPOLの警察部執行理事Tim Morris氏は、次のように述べている。「人々は、医薬品も含め、日用品を益々オンラインで購入するようになっており、犯罪者はこの流れを食い物にして、金もうけをしようとしており、その過程で生命がリスクに晒されている。」
さらにMorris氏は、次のように結論付けている。「Operation Pangeaが始まって10年経ってもなお我々がこのような厳しい現実を目にしているということは、違法医薬品のオンライン販売が、法律の強化や管理当局にとって難しい問題を提示しつづけ、そうした問題を増大させさえしているという現実を示すものである。」
以前のOperation Pangeaで立ち上げられた捜査は、良い結果を出し続けている。ヨーロッパ全土で勃起不全薬治療薬を輸入販売する犯罪ネットワークを対象に2010年に行われた英国での捜査を受けて、最近11人の人々が、数ヵ月から6ヵ月の刑を言い渡された。こうした違法販売を通して、犯罪ネットワークは1000万米国ドルを超える収入を得ていた。
フランスのリヨンにあるINTERPOLの事務総局本部に置かれた専従活動センターは、参加各国や諸機関の間で情報交換を行うための中心拠点としての役目を果たす。これを土台として、世界税関機構(World Customs Organization: WCO)は、保安メッセージングシステムを介して参加する税関の管理者とOperation Pangeaのチームとの間で活動内容を調整し、ハンガリーブダペストにある欧州刑事警察機構(European Police Office: EUROPOL)の携帯通信に関する事務局も、照合に参画する。
WCO知的財産権、安全衛生計画の責任者であるViggo Elster氏は、以下のように述べている。「WCOは、参加した世界中のすべての税関や機関に対し、10回目のOperation Pangeaの間にいただいた支援、努力および貢献について感謝申し上げる。おかげさまで2500万件の危険が疑われる医薬品および医療機器を押収することに結び付けることができた。Operation Pangeaは、WCOにとって、特に税関、警察および他の執行機関がそれらの協働を強固にする機会となるため、非常に重要である。
Operation Pangea Xでは、違法医薬品および偽造医薬品を販売することに係る犯罪ネットワークを壊滅することに加えて、オンラインで医薬品を購入することで生じ得る危険に対し、公衆の意識を高めることもねらいとされていた。