食品安全情報blog過去記事

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SMC UK

男性受精能の傾向についての専門家の反応
expert reaction to an editorial on trends in male fertility
October 10, 2017
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-an-editorial-on-trends-in-male-fertility/
BMJのエディトリアルで、男性の生殖健康の不穏な傾向を調査するための緊急対応を呼びかけている
Kent大学遺伝学教授Darren Griffin教授
精子の質の低下はいろいろな側面で報告されていて無視することは難しい。もしこの傾向が続けば、人類の存続に影響がある。何が原因?
IVFは多くのカップルに喜びを与えたがこの種の方法に頼るのではなく原因に対策することのほうが重要である。政府の出資機関や医学団体などは智慧を寄せ合ってこの現象の原因と回復法を探ることに資源を割りあてる時であろう。
Queen’s 大学 (QUB)生殖医学名誉教授Sheena Lewis教授
蓄積した根拠は精子の数と質の両方が下がっていることを示す。我々は男性の健康を守るためにその原因を探らなければならない。
Sheffield大学男性病学教授Allan Pacey教授
これは有用なエディトリアルで男性の生殖健康への脅威の可能性を強調しこの分野の研究をよびかける。25年この分野(男性病学)で研究をしてきた私は最初にこの種の研究のやりかたについてたくさんのコメントがある。
最初に男性の生殖能力について研究する価値があるとがんや糖尿病や心臓病とお金を奪い合う中で科学研究出資者を納得させるのはしばしば困難である。二つ目は英国や欧州で男性病学者が協力して重要な課題に取り組むことをしておらず、単独で動いている。三つ目にいくつかの重要な疑問に答えるためには何代かに渡る大規模観察研究が必要になるだろう。それには相当な投資が必要になる。
Skakkabaekのエディトリアルの中心となる主張のひとつは精子数が減っている可能性だが、それは25年前と最近の著者らのグループによるものを含むもので、先に述べたとおりこれが公衆衛生問題になるという十分な根拠ではない。しかし世界の工業化諸国で精巣がんが増えていることは確信できる。一方同時に生存率も増加している。このことについては研究する価値がある。
残念ながらSkakkabaek教授は生殖補助医療の使用が増えていることを根拠に生殖健康問題だと主張している。しかし私に言わせるとこれは社会の変化を反映している。外部環境の影響によって男性の生殖健康に問題がおこっている可能性を言うには最も弱い根拠である。