食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 農業生産システムの環境影響、農業インプット効率、食品選択の比較解析

Comparative analysis of environmental impacts of agricultural production systems, agricultural input efficiency, and food choice
Michael Clark and David Tilman
Environmental Research Letters Volume 12, Number 6
http://iopscience.iop.org/article/10.1088/1748-9326/aa6cd5/meta;jsessionid=B16134003478F96E24FE952E97F604E9.c2.iopscience.cld.iop.org
オープンアクセス
742の農業システムと90以上の食品のライフサイクル評価のメタ解析を行い、オーガニックシステムは食品の一定量あたりに必要な土地が多くより多くの富栄養化を引き起こし、エネルギー使用量は少ないが温室効果ガスの排出量は同程度であることを示した。環境影響が最も少ないのは植物食品で、卵や乳、豚肉、鶏肉、底引き網を使わない漁業などが中程度で、反芻動物の肉は植物の100倍ほど環境影響が大きい。慣行農法か有機農法かより環境影響の少ない食品への食生活の変化のほうが環境へのメリットは大きい。

Homeopathy is just a ‘trick of the mind’ according to latest study
Oct 15, 2017
http://www.express.co.uk/life-style/health/866559/Homeopathy-trick-of-mind-says-latest-study
王立ロンドン獣医学会のレビューによると動物にホメオパシーがメリットがあるというしっかりした根拠はない。この研究を主導したPeter Lees教授によると、ホメオパシーを使うことは非倫理的で言語道断である
VetSurgeonの編集者Arlo Guthrieは「動物は治療方法を選べないしプラセボ効果もない」と加える。
Lees, P., Pelligand, L., Whiting, M., Chambers, D., Toutain, P., Whitehead, ML.. (2017) Comparison of veterinary drugs and veterinary homeopathy: part 1. Veterinary Record 181, 170-176
http://veterinaryrecord.bmj.com/content/181/7/170

  • 学習と体重維持が長生きの鍵、研究が発見

Learning and staying in shape key to longer lifespan, study finds
13-Oct-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-10/uoe-las101217.php
研究によると過体重のヒトは余分な体重1kgあたり2か月寿命が短い。また教育が寿命の長さを導き、学校以外で1年勉強すると約1年長生きする。60万人の遺伝情報とその親の寿命を解析した研究。短命に最も影響するのは喫煙と肺がんに関連する性質。Nature Communications。

  • ヒト遺伝子調節のより個別的見解

Natureエディトリアル
A more personal view of human-gene regulation
11 October 2017
https://www.nature.com/news/a-more-personal-view-of-human-gene-regulation-1.22794
多くの人の人体の全ての主要組織における遺伝子の発現と調節を調べる長く計画されていた努力が結実しはじめた
今週GTEx (ゲノタイプ組織発現)というプロジェクトでの人体の44組織での遺伝子の変異とその遺伝子発現への影響についてのカタログを含む4つの論文とその解説がnatureに発表された。このプロジェクトは長く期待されていたもので2008年に提案された。その目標は科学者が遺伝的変異と遺伝子発現の関係を研究するのに使えるデータベースとバイオバンクの創設で、提案されたときには多くの人が非現実的だとした。

  • がんと肥満の関連

The Lancetエディトリアル
The link between cancer and obesity
Volume 390, No. 10104, p1716, 14 October 2017
CDCが先週がんと肥満についての新しい報告書を発表した。米国で診断されるがんの40%が肥満に関連することを強調した。男女差が大きく、女性では55%、男性ではわずか24%である。この差の多くは子宮内膜、卵巣、閉経後の乳がんで、これらが肥満関連がんの42%を占める。
米国では成人の2/3が過体重で1/3がBMI 30を超える肥満である。米国内では特に北東部と中西部で肥満関連がんが多い。肥満関連がんはほかのがんが減少しているのと対称的に増加している。
これまで肥満は主に心血管系疾患や糖尿病が懸念されたが今はがん予防のためにも重要である。
(食べ過ぎることの害は明確、だからって食品を販売するなとは言わない。他フィリップモリスが「タバコのない世界のための財団」を作るという話を巡る議論などが掲載されている。)