食品安全情報blog過去記事

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その他

  • ジェミーのイタリアンレストランでの砂糖入り飲料課税と売り上げを調べた研究への専門家の反応

SMC UK
expert reaction to study looking at sugary drinks levy and sales of sugary drinks in jamie’s italian restaurants
October 16, 2017
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-sugary-drinks-levy-and-sales-of-sugary-drinks-in-jamies-italian-restaurants/
Journal of Epidemiology & Community Healthに発表された研究で、砂糖入り飲料への課税後のジェミーのイタリアンレストランでのソフトドリンクの売り上げの変化を評価した
オックスフォード大学食事と集団の健康教授Susan Jebb教授
この研究はレストランでの砂糖入り飲料の価格の上昇が売り上げに与える影響についての英国で初めての根拠を提供する。この研究は強力な研究デザインというより現実的な時間に基づくため、得られた知見は決定的というより示唆的である。しかしながら注意深い解析で予想以上の販売低下が示されたことは公衆衛生にとって励みになる。驚くべきことに、そして他の国では経験されていないことであるが、同時に砂糖の少ないあるいは入っていない飲料も減少していて説明がしにくい。この論文に欠けているのはアルコール飲料のデータである。事業者は回転率への影響も理解したいだろう。
Reading大学食糧安全保証センター長応用経済学教授Richard Tiffin教授
この研究は値段が上がると買う量も変わるというこれまでの研究と同様である。かなり大きな価格の上昇があり、摂取量の変化は肥満に意味のあるほど大きくはない。特に食生活の酷い人たちに標的をしぼった対策のほうがより効果的だろう
Open大学応用統計学名誉教授Kevin McConway教授
この研究は解釈に注意が必要だ。これは砂糖入り飲料に10ペンスの課税が導入された2015年9月以降のジェミーのイタリアンレストランでの非アルコール飲料の摂取パターンの変化についての良い統計学的根拠を提供する。しかし論文のタイトルとプレスリリースの冒頭に記載されていないが、単なる価格増加以上のことがあったのは明確である。メニューはデザインを変え、税は子ども健康財団に行くことが説明され、新しい飲料が導入され、ジェミー自身が砂糖についてのテレビ番組に出ていた。従って砂糖入り飲料の摂取量の減少が全てあるいは主に10ペンスのせいかどうかはわからない。
著者らは10ペンスが働いたという状況証拠をいくつか提供しているが、この種の研究で因果関係を証明することはできないことを正しく明確にしている。実際のところジェミーのイタリアンレストランでの何らかの変化が摂取量の低下に寄与したかどうかすらわからない。他のレストランではどうだったのかのデータがないので。テレビで砂糖のことを指摘したのはジェミー・オリバーだけではないし、砂糖入り飲料が悪いのだということが広く知られるようになったことが摂取量に影響している可能性はある。
この研究では子どもメニューのフルーツジュースの摂取量も砂糖入り飲料以上に減っているのにメインメニューからのフルーツジュース摂取量は増えているというのが興味深い。レストランに行く子ども達の数が大人に比べて変わったのかもしれないが客が成人か子どもかについてのデータはないのでわからない。9月から2月ではなく1年間のデータがあればもっと明確になるかもしれない。
私はジェミーのイタリアンレストランでの変更が砂糖入り飲料の摂取量を減らし、その減少に10ペンスが関与していることはありそうだと思う。しかしありそうだということとしっかりした科学的根拠には非常に大きな違いがある。私は他のレストランやより長期での観察などのさらなる研究の要請を支持する

  • Casewatch

議会のヒヤリング
Congressional Hearings
https://www.casewatch.org/hearings/hearingsindex.shtml
1963年からの各種議会での詐欺的商売に関する証言の記録
1963年の高齢者を狙った詐欺やインチキの項目では
関節リューマチ治療用と宣伝されているガジェットは1892年から
ミネソタ大学Petersen博士の「免疫ミルク」とか
醸造酵母のビタミンBがDDTを解毒する
ビタミンEが欠乏したナチュラルでない食生活が病気の原因
この時代からフードファディストという単語が出てくる
彼らは健康食品を宣伝しニセの栄養情報を広める
人々は特別な食生活や食品の組み合わせや錠剤が活力を高めたり病気を治したり予防したりできると信じたがっている
現代の複雑な技術による食品加工や生産が有害だと消費者は信じてしまう
54年も前なのに今と変わらない。

The journey of a “doctor” who joined the cult of alternative medicine and then broke out of it
By Akshat Rathi September 30, 2017
https://qz.com/1088056/a-naturopaths-fight-against-her-alma-mater-shows-how-to-break-out-of-echo-chambers/
ナチュロパスからナチュロパス批判者になったBritt Hermesの物語。
彼女のブログ“Naturopathic Diaries”は2016年にThe SkepticsマガジンのベストブログOckham賞を受賞している。
彼女がナチュロパシーを学んだBastyr大学は彼女が批判をやめなければ訴えると脅迫しているが彼女は脅迫に屈するつもりはない。
筆者は彼女にインタビューして、こんな賢いヒトが何故虚偽の体系に取り込まれて気がつかないのか不思議に思った。しかしこの情報化時代にどうやってエコーチャンバーに閉じこめられるのか、一部の人がどうやって抜け出すのかを示す希な機会だと認識した。
以下長い記事。
カリフォルニア南部のお金持ちの、代替医療に親和的なコミュニティで育った。自分の皮膚病を代替医療で治したと信じ込んだことがひとつのきっかけ。ステロイドも使っていたのに。医者になろうと思った。正統派の医学部に入るにはナチュロパスでは課せられない試験に合格しなければならなかった。Bastyr大学でナチュロパスになるために25万ドル以上借金してしまっていて、疑問が湧いても周囲の同僚から抑える力が働き抜けだし難い。結婚してドイツに行ったことがきっかけでEdzard ErnstのTrick or Treatment?を読む。6か月この本とともに暮らした、など。

  • ドイツのベーカリー製品にフィプロニルが見つかって卵スキャンダルは続く

Egg scandal continues with fipronil found in German bakery products
By Gill Hyslop 16-Oct-2017
https://www.bakeryandsnacks.com/Article/2017/10/16/Egg-scandal-continues-with-Fipronil-found-in-German-bakery-products
ドイツの地元紙が、当局がペストリーやリキュールなどへの殺虫剤の広がりを隠そうとしている、と主張してフィプロニルスキャンダル再燃
規制値を超える値がベーカリーや卵サラダや卵リキュールからも検出されていると匿名の告発者が新聞にリークしたと報道されている。消費者団体が政府を批判し、ドイツ連邦農業省は我々の取材に答えない。

UBC responds after prof withdraws paper linking element of vaccines to autism
Oct 16, 2017
http://www.cbc.ca/news/canada/british-columbia/ubc-vaccine-autism-paper-pulled-1.4357568
UBCは、教授の一人が共著者である先月発表されたワクチンに含まれるアルミニウム成分がマウスの自閉症と関連するという論文にデータの改ざんがあったという主張のなかでその論文が取り下げられたため声明を発表した。
UBCの眼科学教授Chris Shawは、オンラインでの主張を見て自分たちで問題の図を解析したところ、画像に反転操作が施されているようだと結論した。UBCは木曜日にはコメントを拒否したがCBCニュースが月曜日にこの取り下げについて報道すると声明を発表した。
この論文はオンラインで「反ワクチンの疑似科学」と呼ばれている。
雑誌はJournal of Inorganic Biochemistry
批判はこんな感じ
Torturing more mice in the name of antivaccine pseudoscience, 2017 aluminum edition
http://scienceblogs.com/insolence/2017/09/21/torturing-more-mice-in-the-name-of-antivaccine-pseudoscience-2017-aluminum-edition/
(日本ではあまり盛り上がっていないような?)