食品安全情報blog過去記事

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論文

  • がんになるには1-10の突然変異が必要、科学者が発見

One to 10 mutations are needed to drive cancer, scientists find
19-Oct-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-10/wtsi-1t1101817.php
29種類の7500以上のがんを調べて、がんになるために必要な変異の数を推定した結果がCellに発表された。この結果からはがんの種類によって変異の数は相当異なることも示された。
この研究の驚くべき発見の一つは、体細胞での突然変異は安定しているということである。親から遺伝した突然変異は安定が悪く一般的に時代とともに人類から失われることを考えると驚くべきである。人体ではほぼ全ての突然変異が細胞の生存に影響することなく長く残る。
また29の異なるがんのがん遺伝子の目録を作った。いくつか新しいがん遺伝子も見つけた。
そしてがん研究における長い疑問、正常細胞ががん細胞になるのにどのくらいの変異が必要なのか?に答えた。答えは10程度以下である。例えば患者一人あたり約4の変異で肝臓がんになり、直腸結腸がんでは10程度が必要である。

  • 健康問題の治療のために補完代替医療の助けを求める

Help sought from complementary and alternative medicine to remedy health problems
19-Oct-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-10/uoh-hsf101917.php
欧州における補完代替医療の使用についての研究
20ヶ国以上約4万人からデータを集めて4つのタイプの治療法の使用について検討した:伝統アジア(中国伝統薬、鍼、指圧)、代替医療ホメオパシー、ハーブ)、手技(マッサージ、カイロプラクティックオステオパシーリフレクソロジー)、マインドボディセラピー(催眠療法、スピリチュアルヒーリング)。
調査対象の集団のうち4人中1人が過去一年に補完代替療法を使ったことがある。最も多いのはマッサージ(12%)、ホメオパシー(6%)、オステオパシー(5%)、ハーブ(5%)。多くは一種類のみ。また主に補助的に使用あるいは普通の医薬品と一緒に使われていた。
国により使用率は大きく異なりドイツでは40%、ハンガリーでは10%。違いの一部は保険でカバーされているかどうか。Scandinavian Journal of Public Health

  • 母親の食事は子どもの疾患リスクをプログラムするかもしれないが、その後のより良い栄養はそれを変えることができる

Maternal diet may program child for disease risk, but better nutrition later can change that
19-Oct-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-10/uoic-mdm101917.php
妊娠中の母親の食事、特に高脂肪食が、赤ちゃんの将来の糖尿病などのような病気のリスクをプログラムするかもしれないと研究が示してきた。イリノイ大学のあたらしい研究では、子どもの食事を低脂肪食に変えるとそのプログラミングが逆転することを示す。Epigenomicsに発表。ラットの研究。「このメッセージは、高脂肪食が悪いということではなくて、あなたはその後の人生でいつでも変えられる、ということである。あなたの両親があなたの人生の初期にしたことによって絶望することはない」

  • 目立つラベルは多くの健康な食品に烙印を押す

Eye-catching labels stigmatize many healthy foods
19-Oct-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-10/uod-els101917.php
研究がオーガニック、フェアトレード、ケージフリーといった表示は消費者の行動に影響することを発見
売店の通路を歩くとき、オーガニック、フェアトレード、ケージフリーといった表示の洪水に晒される。このような表示は目立つがしばしば何の科学的根拠もなく多くの健康食品に烙印を押す。Applied Economics Perspectives and Policyに発表されたDelaware大学の研究。
表示への消費者の反応を調べた90以上の研究をレビューし、研究者らはこれらの表示は消費者の品質保証への要求を満たし消費者と生産者の両方にとって価値を生むことができるものの、誤解がよくあり普通の方法で生産された食品が有害だという科学的根拠がないのに烙印を押す可能性がある。特に貧しい人にとってはどの食品が安全なのかについての誤解を生む危険がある。
製造方法についての表示は商品の重要な結果を無視する。政府は製造方法の表示を禁止するべきではないがカロリーなどのもっと重要な質に関する情報を強調するよう促すべきである。
生産方法についての表示は、例えば「フードマイルが少ない(地元で作った)」という表示は一見良さそうに見えるが実際には悪いことがある。気候条件に適した作物を栽培するほうが環境負荷は小さく、寒いところで温室を使って暖かい地方の作物を作るのは環境に良くはない