食品安全情報blog過去記事

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グリホサートの欧州での評価は品質保証された条件で独自に行われたものである

European assessment of glyphosate was conducted with quality assurance and independently
41/2017, 11.10.2017
http://www.bfr.bund.de/en/press_information/2017/41/european_assessment_of_glyphosate_was_conducted_with_quality_assurance_and_independently-202097.html
ECHAとEFSAは、欧州議会のグリホサートに関する公聴会で、欧州におけるグリホサートの評価が正しい手順で行われたことを論証した
モンサントの論文とグリホサート」という議題で、農業・農村開発委員会と環境・公衆衛生・食品安全委員会の合同公聴会が、2017年10月11日にブリュッセル欧州議会で開催された。欧州食品安全機関(EFSA; European Food Safety Authority)やNGOsや大学の代表など、参加した欧州機関の専門家が、評価結果や農薬有効成分グリホサートの認可手順を話し合った。EU加盟国それぞれとの協議および公聴会の後、EFSAが再認可した有効成分グリホサートのEUとしてのリスク評価についての結論が導かれ、その後、分類および表記に関して欧州化学庁(ECHA; European Chemicals Agency)が実施したEUとしてのハザード分析についての結論が導出された。申請者のオリジナルデータを調査した世界中の評価機関は、確立され国際的に認定されている標準的な毒物学的手順に基づいて独自に評価を行った後、現在得られている知見に基づいて、国際がん研究機関(IARC; International Agency for Research on Cancer)の提案と同様に、グリホサートを「おそらくヒトに対して発がん性がある」に分類するべきではないという結論に至った。BfR長官Dr. Andreas Hensel教授は、「世界中の機関による統一したこの評価を踏まえると、グリホサートの再認可の政治的決断に役立つ、科学的に構築された根拠が確立されたと言える」と述べ、「世間の議論は、いつも科学的評価の結果に関してなされているわけではなく、それよりも手続き上の問題に関して行われることが多い。BfRは、欧州の評価が完全に理解されるよう、オリジナルデータの透明性を高めることを提起し続けてきた」と付け加えた。BfRは、欧州議会の農業・農村開発委員会(AGRI; Committee for Agriculture and Rural Development)に、特に必要であると認められた場合には、EU議会の一般公聴会に参加するよう提案した。
再評価に欠かせないのは、農薬有効成分グリホサートのリスク評価である。これについては、EU加盟の全28ヵ国、EFSA、およびECHAによる協議を経て結論が導かれた。申請者のオリジナルデータを調査した欧州と世界中の各評価機関も、確立され国際的認定された毒性学的手順に基づいて彼ら独自の評価を実施した後、現在得られる知見に基づき、グリホサートは発がん性物質に分類すべきではないという結論に達した。IARCの報告書が公表された後、グリホサートの評価書作成者であるBfRは、IARCの評価に基づいて作成された追加の公表文献も再調査した。
EU議会の公聴会には、NGO顧問のChristopher Portier氏も参加し、オリジナルデータを評価したのはBfRだけだと主張したが、これは事実とは異なる。評価報告担当国はドイツ共和国だった。EFSAとECHAは、彼らと彼ら独自の専門家パネルも、BfRの評価と加盟各国の指摘事項に加えて、オリジナルデータを自由に利用できていたことを明確にした。Portier氏は、欧州委員会の委員長宛の2017年5月の公開状の中で、動物実験の腫瘍の知見が欧州のリスク評価で考慮されていないという主張も行っている。一方、EFSAは、これに対し、関連する試験のオリジナルデータをありのままに参照して異議を唱えている。言及された全ての試験のオリジナルデータは、信頼性と関連性に基づいて適切と考えられる欧州機関の評価において考慮されており、調和のとれた科学的原則や根拠のあるEUの技術ガイドラインに則って評価されている。
ある団体は、グリホサートの件で、BfRが申請者の見解と関係する試験についての申請者の解釈を批判や審査することなく採択していると主張しているが、EFSAはこの日の公聴会で、BfRがそのようなことを行ってはいないことを再確認した。評価報告国が評価報告書(RAR)を作成する際には、まず批判的なレビューを行うが、その後、申請者のオリジナル試験と試験の要約から文章を構築することも、それらの内容が同意できるものであるならば、標準的な実務である。
公聴会の動画http://audiovisual.europarl.europa.eu/Assetdetail.aspx?id=1d326827-91e9-4234-b0b4-a8090086e779
ドイツは、グリホサートの欧州における認可手続きの報告国として任命された。BfRはこのケースでは、農薬の有効成分グリホサートを評価した唯一の機関ではなかった。他のドイツの機関Julius-Kühn研究所(JKI)、ドイツ連邦環境省(UBA; UmweltBundesAmt)、およびドイツ連邦消費者保護・食品安全庁(BVL; Bundesamt für Verbraucherschutz und Lebensmittelsicherheit)も、申請者の書類に基づき、RARのための文章を作成した。このRARは、付属文書も含め、その後の手続き段階で、協力機関であるEFSAも利用可能であった。
BfRの全ての業務分野―科学、評価、情報、管理―は、品質基準DIN EN ISO 9001に整合するものとして2010年から認証されている。これに加えて、科学、評価、管理の業務分野は、DIN EN ISO 9001:2008に整合するものとして、2010年からTÜV Nord(ドイツの認証機関)により認証されている。BfRはこれらの認定を備えて、特に科学的品質水準の高い国際文書を提供しており、消費者の健康保護という重要な任務に真剣に向き合っていることを行動で示している。