食品安全情報blog過去記事

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論文

  • スパイシーな食品は塩への不健康な渇望を和らげるかもしれない

Spicy food may curb unhealthy cravings for salt
31-Oct-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-10/aha-sfm102617.php
Hypertension.に発表された研究。スパイシーな食品が好きな中国人は塩の摂取量が少なく血圧が低いように見える。606人の中国人成人が参加。

  • 低用量での出生前のBPA暴露は発達中のラットの脳の遺伝子発現に影響する可能性がある

Prenatal exposure to BPA at low levels can affect gene expression in developing rat brain
31-Oct-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-10/ncsu-pet103117.php
ノースカロライナ州立大学のHeather Patisaul生物学教授らによる新しい研究によると、FDAのNOAEL 50 micrograms per kilogram of body weight per dayより少ない濃度でBPAに出生前に暴露されたラットの脳の遺伝子発現に変化がある。
Prenatal bisphenol A (BPA) exposure alters the transcriptome of the neonate rat amygdala in a sex-specific manner: a CLARITY-BPA consortium study
Available online 28 October 2017
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0161813X17302097?via%3Dihub
NCTR-SDラットに大豆とアルファルファを含まない餌を与えてBPA (2.5, 25, 250, 2500, or 25000 μg BPA/kg bw/day), あるいは EE2 (0.05 or 0.5 μg EE2/kg bw/day)を妊娠6日から出産まで強制経口投与。子どもは生後1日で断頭、頭を冷凍。凍結切片を作って扁桃体部分をパンチで集めRT-PCR
(結果は用量反応相関が全然無くてものにより上がったり下がったりのEEとの違いも説明できそうにない微妙な差(相対量で2倍以下程度の)を「影響があった」と主張している。単なる誤差だと思うけど−遺伝子発現にスイッチが入る、ってそんなレベルじゃないから。)

  • カボチャのゲノム配列決定、普通でない進化の歴史が明らかに

Pumpkin genomes sequenced, revealing uncommon evolutionary history
29-Oct-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-10/bti-pgs102917.php
Molecular Plantに発表。
ハロウィーンネタ)

  • 科学者はとうとう小麦ゲノムを完了

Scientists finally complete wheat genome
31 October 2017
http://www.nature.com/articles/d41586-017-05312-1
パン小麦のゲノムはマンモスのゲノムのサイズの3倍以上
小麦は作物遺伝学者の最善の配列決定努力に何年も抵抗してきた;そのゲノムは150億DNA塩基以上の長さで、各染色体6コピーとたくさんの配列決定が難しい反復配列を含む。こうした課題にもかかわらず、研究者らはパン小麦(Triticum aestivum)のほぼ完全な配列を組み立てた。
国際共同体はゲノム配列の大凡を2014年に組み立てたが多くのギャップがあった。それを改善するためにSteven Salzbergらのチームは対になった配列決定技術を用いた。
The first near-complete assembly of the hexaploid bread wheat genome, Triticum aestivum
https://academic.oup.com/gigascience/article/doi/10.1093/gigascience/gix097/4561661

Scientists develop groundnut resistant to aflatoxin
1-Nov-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-11/ddps-sdg103117.php
この発見は食品廃棄を減らし貿易を改善する可能性がある
Plant Biotechnology Journalに発表された遺伝子組換えピーナッツ。二つのアプローチが採用され、アルファルファやクローバーのディフェンシンタンパク質をピーナッツに入れてAspergillusの感染を防ぐことと、Aspergillusのアフラトキシン合成経路に関与する小さなRNA分子をピーナッツに導入してカビが攻撃してきた時のアフラトキシン合成を不活性化する方法。この技術はトウモロコシや他のナッツにも使える。

  • 世界の2012年の20–39才の若年成人のがん発生率と死亡率:集団ベースの研究

Cancer incidence and mortality among young adults aged 20–39 years worldwide in 2012: a population-based study
Dr Miranda M Fidler et al.,
http://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(17)30677-0/fulltext
2012年に世界で新しくがんになったこの年代の人は975,396でがん関連死は358,392と推定

これに対するコメント
若年成人の世界がん負担を減らす
Reducing the global cancer burden among young adults
Tara O Henderson, Kevin C Oeffinger
http://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(17)30701-5/fulltext?dgcid=email-tloweekly_newsletter_31-10-17
どちらもオープンアクセス
この年代のがんを減らすためにできることは?子宮頸がんの予防(HPVワクチン)と検診、標的を絞ったBRCA変異の検出、タイムリーな治療
(数少ない「できること」をしっかりしないがために比較的若い人が子宮頸がんで死亡し続けているのは政治の失敗であると)