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スルホキサフロール:ANSESは入手した新データを精査する

Sulfoxaflor: ANSES examines the new data available
20/10/2017
https://www.anses.fr/en/content/sulfoxaflor-anses-examines-new-data-available-0
2017年9月27日付でフランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は、使用条件を厳しく制限することを条件として、DOW Agroscience SAS社が販売する有効成分スルホキサフロールを含む2つの農薬、CLOSERとTRANSFORMの販売を認可することにした。スルホキサフロールは、殺虫剤の有効成分で、スルホキシミンと呼ばれる化学物質類に属し、2015年8月18日から10年間、詳細なリスク評価を受けて欧州レベルで認可されていた。スルホキサフロールは、作用機序がネオニコチノイドと似ているが、土壌や植物内での持続性がかなり低い点で違いがある(120〜520日に対して1〜4日)。水生生物への毒性もより少なくなっており、その代謝物質は花粉媒介動物に対する毒性を持たない。
ミツバチへのリスクに関しては、欧州レベルでの有効成分の認可の枠組みにおいて調べられている。その枠組みの中で、EFSAがミツバチとミツバチコロニーに対する急性・慢性リスクについて評価を行っている。その結果、この物質への花粉媒介動物の暴露が適切な管理手段で制限されている場合には、許容できないリスクは何も認められなかった。
◇ミツバチへのリスクを防ぐための使用条件の制限
認可された2つの農薬CLOSERとTRANSFORMは、特定の穀物の地上部分に対する処置、および穀粒が小さい穀物(小麦、スペルト小麦、ライ小麦、大麦)と亜麻に使用することが企図されている。受粉動物を引き付ける主な穀物への使用は禁止されている。EC規則No 1107/2009の枠組みの中でANSESが実施した評価では、推奨される使用方法ならびに推奨さ入れる使用条件において、それらの農薬は有効であり、ヒトの健康、植物相や動物相、あるいは環境にリスクを生じないという結論に達した。それでも、ミツバチや他の花粉媒介動物を守るために、市販の認可に際し、使用条件について厳しい制約が課された。それらの制約には、特に、開花や滲出液放出の間およびそれらの前の5日間、あるいは開花中の雑草が存在する時期に、これらの製品の使用を禁止することが含まれている。
◇評価対象の新データ
2015年に欧州レベルで有効成分スルホキサフロールは認可された。しかしながらその際、ミツバチや他の花粉媒介動物に何らかのリスクが生じるかもしれないという観点から、使用条件をより細かく規定できるようにするため、確証的データを申請者が今後提出すべきだということが明記された。これらのデータはこの有効成分の評価の責任を負う報告担当加盟国に渡されており、現在アクセス可能である。ANSESは本日、生態学的および包括的変革を担当する国務大臣と農業・食品省大臣から、即刻これらの新データを評価し、この2製品CLOSERとTRANSFORMの市販認可の内容を変える必要がどの程度生じるかを判断できるようにするよう、要請を受けた。
さらに、この新物質はフランスで最初に市販認可されたので、ANSESは、ミツバチコロニーの衰退や崩壊の報告がスルホキサフロールを含む製品の使用と何らかの関係を有するかどうかを解明できるようにするため、植物医薬品安全性監視ネットワークを結成する予定である。植物医薬品安全性監視の目的は、対策が必要となることにつながる何らかの徴候をできるだけ早く検出し、農薬に関連してリスクが生じるのを防ぎ、抑制することである。