食品安全情報blog過去記事

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欧州における動物用抗生物質の販売量、2011年から2015年の間に13%減少

Sales of antibiotics for animal use decrease by 13% in Europe between 2011 and 2015
European Medicines Agency - News and press releases, 16 October 2017
http://www.ema.europa.eu/ema/index.jsp?curl=pages/news_and_events/news/2017/10/news_detail_002827.jsp&mid=WC0b01ac058004d5c1
合計販売量は減少しているが欧州各国によりばらつきがある
欧州医薬品庁(European Medicines Agency: EMA)は、欧州において2015年に獣医用に販売された抗生物質の総量を公表した。それによると、ほとんどの国で減少傾向が確認された。この好ましい傾向は、動物において節度ある抗生物質の使用を促し、薬剤耐性に立ち向かうためのEUのガイダンスおよび各国の運動が効果を表し始めたことを示している。
その報告書は、欧州における獣医領域での抗菌剤消費調査(European Surveillance of Veterinary Antimicrobial Consumption: ESVAC)*2事業が作成した。ESVAC事業は、欧州議会の要請に基づいて2010年4月に発足した。今回で報告は7回目となり、初回は9ヵ国であったが、今回はEUおよび欧州経済領域(European Economic Area: EEA)の国にスイスを加え、30ヵ国のデータが含まれている。また2010年からの年次変化も見ることができる。
2011年から2015年の間に、動物の処置に使われた抗生物質の量(mg/PCU; PCUは個体数調整単位population correction unit: 畜種別に設定された生体重または屠殺時体重)は13.4%減少した(2011年以降データが得られている25ヵ国について)。
国別でみると、これら25ヵ国のうち15ヵ国では5%以上の減少であったが、8ヵ国では5%を超える増加が認められた。かなりの減少を示している国があるので、他の国でも潜在的に減らすことができると考えられる。
ここ数年、重要なガイダンス文書が公表されている。2016年、EMAと欧州食品安全機関(European Food Safety Authority: EFSA)は、EUの畜産で抗菌剤を使う必要性を減らすための方策に関する科学的な共同見解(RONAFA*5)を採択した。そこでは、動物での抗菌剤の使用を減らす具体的な方法が、『減らす、換える、考え直す』方式に基づいて提唱されている。2015年には、欧州議会により、節度ある抗菌剤の使用を推進する戦略の制定と実現のための実用的ガイダンスを加盟国に提供する指針が公表された。こうした取り組みはこれからのデータに反映されることが期待される。
報告書のすべてのデータにESVACの双方向データベースを介してアクセスすることができ、そこで検索、分析、図やグラフの作成を行うことができる。そこからさらに、欧州疾病予防管理センター(European Centre for Disease Prevention and Control: ECDC)、EFSAおよびEMAが2017年9月に採択した、ヒトや食用動物における薬剤耐性や抗菌剤使用の調査についての成績指標のリストに関する共同見解にアクセスできる。