食品安全情報blog過去記事

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論文

  • あたらしい研究は先の知見を支持する−オメガ6脂肪酸は低グレード炎症を促進しない

New study backs up earlier findings -- Omega-6 fatty acids do not promote low-grade inflammation
13-Nov-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-11/uoef-nsb111317.php
European Journal of Clinical Nutrition。オメガ6多価不飽和脂肪酸の摂取量が多いと低グレード炎症を促進して慢性疾患のリスクを増やす、という説がある。その理由はリノール酸はアラキドン酸に代謝されてそれが各種炎症メディエーターになるから、というものである。東フィンランド大学の1984-1989心疾患リスク要因研究で、42-60才男性のC反応性タンパク質(CRP)濃度を測定した。血中リノール酸濃度が低いこととCRPレベルの高さに関連があった。
リノール酸悪玉説は奥山治美先生が典型。しかし彼は別の世界へ旅立って行き、彼の賛同者である脂質栄養学会もかなり独自路線。)

  • 合法化された州では大麻を使用する成人は多い

More adults use marijuana in states where it is legal
13-Nov-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-11/cums-mau111317.php
Prevention Scienceに発表された研究。医療用大麻が合法化された州では毎日大麻を使う26才以上の男性は16.3%から19.1%に増加、女性は9.2%から12.7%に増加した。
娯楽用大麻の合法化の影響については今後の課題。

  • 高い認知能力は陰謀論や超常現象を信じることから守らない

High cognitive ability not a safeguard from conspiracies, paranormal beliefs
13-Nov-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-11/uoia-hca111317.php
月面着陸や地球温暖化は嘘で米国政府は9/11攻撃を知っていてUFOがニューメキシコに墜落した。こうした根拠のない信念を疑うかどうかは認知能力の問題なのだろうか?イリノイ大学の心理学者の新しい研究によるとそうではない。Personality and Individual Differencesに発表された二つの研究によると、陰謀論や超常現象への懐疑は、比較的高い認知能力を必要とするだけではなく、理性的であろうとする強い動機が必要である。
米国では100年にわたって教育の機会は向上し知能のスコアは上昇しているが、現代社会には根拠のない信仰はたくさん残っている。その理由の一つが、信念は理性的根拠の上に形成することが重要であるとみていないせいである可能性がある。

  • ヒト健康を守るために緊急の環境保護が必要

Urgent protection for the environment needed to safeguard human health
13-Nov-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-11/aoms-upf111017.php
Samuel Myers博士が医学アカデミーとLancet国際保健講義で述べる。
(この人の主張は大気中二酸化炭素濃度が高いと作物の亜鉛や鉄などの濃度が減るので栄養不足になる人が増えるというものなのだけれど)

  • 全てのアメリカ人が菜食主義になったら何がおこる?

Scienceニュース
What would happen if all Americans went vegan?
By Katie LanginNov. 13, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/11/what-would-happen-if-all-americans-went-vegan
ハンバーガーを考えると、パテ4つを作るのに動物用の飼料25kg、25平米の土地、220Lの水が必要になる。この種の統計が一部の科学者や環境活動家に、肉を食べる量を減らせば炭素やその他の温室効果ガスの排出に大きな影響があると考えさせてきた。しかし全てのアメリカ人が植物しか食べなくなったらどうなる?新しい研究によると菜食主義者が3億2000万人になると農業由来の温室効果ガスの排出は28%程度減る。畜産業界由来の排出量よりはるかに少ない。さらに著者らはカルシウムや一部のビタミン類などの重要な栄養素の欠乏につながると主張する。
主著者の動物学者Robin Whiteは「我々は極端なシナリオから始めることにした」という。畜産で使用している全ての土地をヒトの食糧生産に使うことの影響を推定し始めた。それにより農業廃棄物が増える。トウモロコシの茎やジャガイモの廃棄物やその他ヒトの食用にならないが家畜に与えられているものの廃棄が増える。それらを燃やすと大気中に200万トンの炭素が放出される。さらに家畜の堆肥が無くなるので肥料の需要が増える。
PNASに発表。

  • 食糧安全保証のための試練

Crunch time for food security
10-Nov-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-11/uon-ctf111017.php
昆虫を食べることに関しては感覚がしばしば大きな障害である。Nutrition Bulletinの昆虫食に関するレビュー。
(そう言いながらサバクトビバッタの巨大写真を見せるのはどうなのよ)

  • 男性の菜食と鬱症状

Vegetarian diets and depressive symptoms among men
Joseph R. Hibbeln et al.,
Journal of Affective Disorders January 1, 2018Volume 225, Pages 13–17
http://www.jad-journal.com/article/S0165-0327(16)32391-6/abstract
菜食主義男性の鬱の可能性が高い。
何らかの栄養素の不足、あるいはもともと精神衛生上に何らかの傾向があると菜食になりやすいのかもしれない(?)