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アントラノイドを含む全葉アロエ組成物入り食品サプリメントは健康リスクを生じる

Food supplements with whole-leaf Aloe preparations containing anthranoids are associated with health risks
BfR Opinion No. 032/2017 of 2 November 2017
http://www.bfr.bund.de/cm/349/food-supplements-with-whole-leaf-aloe-preparations-containing-anthranoids-are-associated-with-health-risks.pdf
アロエ属には、乾燥地帯のおよそ250種の多肉植物(乾生植物)が含まれる。最もよく知られた種はアロエベラ(Aloe barbadensis、同意語Aloe vera)で、葉の内側の葉肉はアロエベラジェルとして食品や化粧品分野に多くの用途がある。
アロエベラに加えて、他のアロエ種も、多くの様々な用途に使用されている。特に、キダチアロエ(Aloe arborescens、キャンドラブラアロエ)は、葉の全体を皮をむかずに圧搾して得た樹液が、食品サプリメントの形で市販されている。ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、そのような食品サプリメントで生じ得る健康リスクを検討した。キダチアロエの葉の外層は毒性学的意義を有する。全てのアロエ種がそうであるのだが、外層には植物由来のアントラノイドが含まれており、この物質は長い間、遺伝毒性や発がん作用を持っているのではないかと疑われてきた。純物質についてのデータ収集に加え、アロエの葉から作られるアントラノイドを含む組成物の試験もその間に実施されてきている。これらの長期試験の結果も発がん性の疑いを強めるものであるが、がん発生の詳細部分と機序に関し、埋めなければならないデータの欠落がある。
BfRは得られたデータに基づいて以下のような結論に達した。:植物製剤の評価に関して欧州食品安全機関(EFSA)が示した最新のガイドラインによると、キダチアロエの皮をむいていない葉の組成物を含み、それによりアントラノイドを含むことになる製品は、現在の知見に基づくと、「安全性に懸念のない」と明示できる植物性食品サプリメントの区分に属さない。植物由来のアントラノイドにヒトに対する発がん作用があるという疑いがあるため、BfRは、アントラノイドを含む組成物は食品サプリメントなどの食品へ使用するのは適切ではないと判断する。この評価は、EUで一般に食品や化粧品に使用される、アロエ種(大部分はアロエベラ)の葉から得られるアントラノイドを含まないジェルや内側の葉肉で作られる組成物には当てはまらない。BfRの見解では、アントラノイドは一般に食品に存在するべきではない。アロエ属の植物の葉で食品を生産する際には、発がん性の疑いのあるアントラノイドの混入がないように、アントラノイドを含む葉の外層をできるだけ注意深く取り除く必要がある。