食品安全情報blog過去記事

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日々のリスクを一目で — 平易な可視化により高いリスクリテラシーでの決定を促進

Everyday risks at a glance - Promoting risk-literate decisions with transparent visualisations
45/2017, 02.11.2017
http://www.bfr.bund.de/en/press_information/2017/45/everyday_risks_at_a_glance promoting_risk_literate_decisions_with_transparent_visualisations-202478.html
BfR(Bundesinstitut für Risikobewertung)とリスクリテラシーハーディングセンター(Harding Center for Risk Literacy)の研究協力
一般にわかりやすい方法で健康リスク評価の結果を可視化する目的で、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)とマックスプランク人類発達研究所のリスクリテラシーハーディングセンターとは、2017年8月から2年間協力することで合意し、実行に移された。「グラフィックを用いることには、決定に係る重要な因子を一目で見えるようにできる利点がある。こうした利点のため、グラフィックはリスクコミュニケーションではなくてはならないものになっている」と、BfR長官Dr. Andreas Hensel教授は説明した。「私達は、リスクに関して行った調査において、リスクコミュニケーションを文字とグラフィックを組み合わせて行うことで、間違った評価を減らすことができ、高いリスクリテラシーを持って決定することが促進できるという認識を確立している」とベルリンのリスクリテラシーハーディングセンター長官Gerd Gigerenzer教授は付け加えた。
リスクについての科学的議論が開始されて以来、リスクはしばしば、簡単に伝達するために、危害発生の可能性とそれによる損害の程度で表わされてきた。そこでは、リスクデーターの並びをリスク描写に標準的に用いられる形式で捉え、危害発生の可能性と損害の程度との比を色の変動で図示している。だが、これは二次元表現に制限されているため、情報の有用性が低すぎ、リスクの描写や評価の不確実性の説明を十分に行うことはできない。現存の可視化モデルは特に、その問題についての先進的で専門的な知見を持たない消費者にとって、現在得られる最良の科学的事実に基づいて健康リスクについて個々の決定を行うに当たっては、部分的にしか役に立たない。このため、BfRとハーディングセンターはこの夏、有益で、平易な、証拠に基づいた、一般に理解できるリスク可視化構想を共同で開発することを決定した。
リスク評価の結果を伝えるためのグラフィックを利用した教本―「BfRリスクプロファイル」―が2013年にBfRで作成されている。この教本では、リスク評価の重要局面を要約して提示しており、情報の受け手にとって、影響を受ける対象集団、健康障害の深刻さの程度と可能性、データの品質、取ることができる一連の行動など、潜在的なリスクが推定しやすくなっている。科学的見解にBfRリスクプロファイルを取り込むことは国際的に歓迎され、国際的パートナーや圧力団体からも前向きに評価された。リスク情報の可視化は、いつでも複雑な結果を簡潔化した図解である。だが、特に一般人では、そのような簡潔化した図解が誤解を招く可能性がある。特定の状況下では、無いことが明確に有ることにされてしまう可能性がある。誤った解釈をさせないために、BfRリスクプロファイルは、現在もなお改良が続けられている。
この目的のためには、認知心理と意思決定の分野の科学的専門知識を一連の過程に結び付けるべきである。マックスプランク人類発達研究所のリスクリテラシーハーディングセンターは、BfRの科学的専門技術を補完して、様々な医療方法や健康の話題が有する潜在的な利点と欠点を判断するために最良な証拠を入手し、それを、グラフィックで訴えかける一般に理解しやすい形式に変換している。認知心理や意思決定の分野から得られた知見や方法論は、BfRリスクプロファイルのさらなる改良を促すと考えられ、食品および消費者製品が有する可能性があるリスクを描写する迅速で簡便な手段、すなわち門外漢でも簡単に理解できる手段が提供されることにつながる。 この共同計画は"VisRisk"と略称され、心理学者、健康科学者、および自然科学者で研究チームを作成し、2年間にわたり、どのようにすればリスク評価の文言を、文字とグラフィックの両方を用いて一般に理解しやすい形で提示できるかを、科学的に検討することにしている。