食品安全情報blog過去記事

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AMRおよびCodexへのWHOの関わり:WHOとのQ&A

WHO on AMR and Codex: Q&A with WHO
14/11/2017
http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/roster/detail/en/c/1062574/
国際食品規格委員会(Codex委員会: Codex Alimentarius Commission)は、2016年7月、薬剤耐性(AMR: Antimicrobial Resistance)に関する政府間専門委員会を再度設立し、AMRに対処するためのCodex規則の改訂および更新を行い、Codexの加盟国に受け入れられる統合的なAMR調査のガイドラインを設定することを承認した。
Q: 政府間専門委員会の会議にWHOが期待するものは何か?
A: Codexは、国際社会の要求に答え、2つの分野で新しい業務を立ち上げることを承認した。それらは、(1)食品の生産により発生するAMRを最小限に封じ込める方法についての既存のガイドラインを更新すること、および(2)動物やヒトにおける抗生物質の使用状況に関するデータと動物、食品、ヒトおよび環境の試料における薬剤耐性細菌保有率とを結び付けて、統合的なAMR調査の新しいガイダンスを策定することである。(1)は、WHOが11月7日に新しいガイドライン*1を公表しているため、特に重要である。Codexは、これらのガイドラインから適切な助言を何でも取り入れて、Codexの文書を作成するよう申し入れられている。(2)は、我々が状況の進展を追跡するのを助け、WHOやCodexが作成するガイダンスの将来の改訂に示唆を与えるという点でやはり重要である。
*1: http://who.int/foodsafety/areas_work/antimicrobial-resistance/cia_guidelines/en/%20
◇政策および活動
WHOは、世界的に調査を重要視することおよび証拠に基づいた調査を行うことが政策や活動を伝えることにつながり、それらの政策や活動により、加盟国や政府間機関がAMRに対する増え続ける健康安全確保策に対処できるようになる、と述べている。
Q: Codexの業務はこの目的にどのような影響を与えることができるか?
A: 動物やヒトにおける抗生物質の使用状況に関するデータと動物、食品、ヒトおよび環境の試料における薬剤耐性細菌保有率とを結び付けて、統合的なAMR調査の新しいガイダンスを策定する。これは、我々が状況の進展を追跡するのを助け、WHOやCodexが作成するガイダンスの将来の改訂に示唆を与えるという点で重要である。WHOは今年の6月、統合的調査に関するガイダンス文書を更新した。Codexはこの文書から手がかりを得ることができる。
◇国家行動計画
世界保健総会は、すべての加盟国が2017年までに、世界的な行動計画の目的と同調したAMRに関する国家行動計画を策定し、制度化するよう勧告している。
Q: AMRに関する国家活動計画のどの側面がCodexと特に関連があるか?
A: 世界的活動計画の目的2(objective 2; AMRの調査)と目的3(objective 3; 抗菌剤の最適な使用方法)に関連する事項である
◇リンク
世界抗菌薬啓発週間(World Antibiotic Awareness Week, 13-19 November 2017)
http://www.who.int/campaigns/world-antibiotic-awareness-week/en/

  • Steve Wearne氏、CodexにとってのAMRについて語る

Steve Wearne talks AMR for Codex
13/11/2017
http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/roster/detail/en/c/1062314/
Steve Wearne氏は、英国食品基準庁(FSA: Food Standards Agency)の政策および科学作業部会の責任者。2017年7月にCodex委員会(Codex Alimentarius Commission)の副委員長に選任。2016年には、ロンドンにあるCodexの薬剤耐性(AMR: antimicrobial resistance)に関する実務作業部会の責任者を務めた。
◇AMRの問題の重要性は?
医療の根本を揺るがす重大で世界的な脅威である。世界的な行動を起こさないと、今世紀中ごろには毎年1000万人がAMRのために死亡することが予想され、がんによる死亡者数を凌駕すると言われている。
◇農業での抗菌剤の使用が問題なのか?
食物の消費を介して薬剤耐性細菌が家畜からヒトへ伝播する。動物やその排泄物との直接接触でも伝播する。
食品供給網が動物からヒトへの伝播の経路となっていると理論上言えるが、証拠は少ない。だが、動物や農業で不必要な抗菌剤を使用することに重大な懸念があることは確固としたコンセンサスになりつつある。こうした使用を削減することが、世界的なAMR戦略の重要な柱である。
◇何が起きているのか?
ここ2、3年でAMRに対し、国際的な大きな取り組みが行われるようになった。昨年9月に国連総会でAMRに関し、節目となる宣言が出された。
英国は、複数種の動物における抗生物質の平均使用量を2018年までに20%減らして50 mg/kgにすると表明した。さらに、ヒトの健康にとって極めて重要な抗生物質の動物に対する使用は、他に治療策がない診断された疾患に対して、感受性テストを行った上でしか行わないこととする。
また、英国は、Fleming基金に3億7千5百万米国ドルを拠出し、中・低所得国における薬剤耐性菌感染症の調査等に役立てることとしている。
◇Codexの役割は?
2016年7月、AMRに関する政府間専門委員会を再度設立し、AMRに対処するためのCodex規則の改訂および更新を行い、Codexの加盟国に受け入れられる統合的なAMR調査のガイドラインを設定することを承認した。これらの新しい規則やガイドラインは、多くの国が立ち上げている国家計画を惑わすものではなく、補完するものである。
政府間専門委員会の業務を下支えするのに科学の役割が非常に重要で、FAOやWHOにとって科学的優先度が高いいくつかの案件に最初に取り掛かる。
機運を逃さないことがカギとなるため、今年の後半に政府間専門委員会の最初の会合を開き、活動が成功するように努力する。
FAOの世界抗菌薬啓発週間のサイト
http://www.fao.org/antimicrobial-resistance/world-antibiotic-awareness-week/en/
WHOの世界抗菌薬啓発週間のサイト
http://www.who.int/antimicrobial-resistance/en/